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いい「まちなか」って、なんだ? のと共栄信用金庫

Happy life with booksの記念すべき10回目にふさわしい本を地元の信用金庫の 窓口で見つけてしまった。
ちょうど田中元子さんの「マイパブリックとグランドレベル」読後の余韻が残る私の目の前にこの本というか冊子が飛び込んできたのは偶然ではあるまい。一冊読み終えると次に読みたい本というか読むべき本が目に飛び込んでくるということは決して少なくない。今回もそんな感じなのだと思う。

繰り返しになるが、今回紹介するのは本ではなくて無料の冊子である。のと共栄信用金庫が定期的に発行しているNinjinという冊子は、なかなか出来のいい冊子だと私は思う。こんな冊子を作っている金融機関が他にあるのかどうかわからないけど、こうした取り組みこそ地域密着でなければできない大切な取り組みにちがいない。

七尾版”マイパブリックとグランドレベル”がここにあった

さて、先述したように前回のnoteでは田中元子さんの「マイパブリックとグランドレベル」という本を紹介した。

たくさんの人にnoteを読んでもらうためのコツの一つとして写真や動画を効果的に取り入れるというのがある。私もできるだけそうしたいと思って書いてはいるのだが、この投稿では自分が書いている内容に沿っていて、なおかつ地元をうまく切り取った写真が無くて文字ばかりの投稿になってしまった。事実、自分でも読んでいただくのが大変だなと思いながら投稿したのだ。

しかし、今回紹介するNinjinでは表紙や最終ページにおいて、私が「マイパブリックとグランドレベル」のイメージを共有してもらうのにぴったりなグラフィックが載っていた。私がたくさんの言葉を使って伝えたかったことが、ここにこうして一目でわかるように表現されている。アートって素晴らしい。

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さらにここに一つの問いがある。

このまちの「根っこ」って、なんだろう?

素晴らしい解答を得るためには素晴らしい問いが必要だということがよく言われるが、この問いは地方に住む私たちがもう一度立ち止まって熟考するに値する問いではなかろうか。

この問いに対する解はこの冊子において明示されているわけではない。
もちろん解は一つでもない。
だから、このページではこの問いに対する解へと、まちに暮らすひとりひとりがたどり着くためのヒントが書かれている。引用しよう。

ひとつひとつの小さな営みが、このまちをつくっている。
自分が誰かを支え、誰かに自分も支えられている。
これかはじまる新しい日常の中で、今できること。
このまちを、もっと歩こう。
このまちを、もっと愛そう。
このまちの根っこを、守り、育て、未来につなげよう。
できることは、
きっと一つじゃない。

なかなかに素敵なヒントだとは思わないだろうか。

「もっと考えよう」でも「もっと話そう」でもなく、「もっと歩こう。」

これはまちのグランドレベルをそこに暮らす人たちがもっと観察しようということに違いない。観察などという大げさなことではなく、まちの風や空気を感じようということだったり、ご近所さんとあいさつしようということだったりするのかもしれない。このまちの息遣いを感じることなくして、まちの「根っこ」が見えてくることはないからだ。

そういう意味では、信用金庫の職員の皆さんは、たくさんまちを歩いている人たちだといえる。そして歩けば歩くほどに、もっと歩かなきゃならないことに気が付くのだろう。

鶏が先か卵が先かという話になるのであるが、まちに暮らす人たちがもっと歩くように、そんなまちのなかの仕掛けがもっと必要なのだと思う。田中元子さんはそれを「パーソナル屋台」で実践しているわけだ。

これはある意味、私にとってはマイクロEVの事業に通じるところもあると考えている。自転車以上で軽自動車未満の存在ともいえるマイクロEVでまちなかを移動することは、「もっと歩こう」のコンセプトに近いものがあるのではないだろうか。コムスには窓もドアもないけど、だからこそ感じられるものがあるのだ。乗ったまま魚屋のお母さんに元気よく挨拶だってできるし、通学中の子どもたちの元気な声だって聞こえる。店の軒先にちょこんと止めて買い物や立ち話だってできる。

マイクロEVでまちのグランドレベルをバージョンアップする!

また新しい気付きとミッションが私の中に生まれた。本当にワクワクする毎日に感謝しかない。

経済の地域内循環を強化せよ!

この冊子の中ではもう一つ大事な話題が提供されている。

地元のお金を地元で回すことが、地方の元気のそもそもだ

キャッシュを血液に例えることがよくあるが、地元のお金が外に出ることはその地域にとって出血を意味する。お金の出入りで入る方が少なければ、一時的に安い買い物ができたとしても地域内の人たちは長期的には貧しくなっていく。これはある意味必然であり。これが昭和後期から平成にかけて地方が通ってきた道だといえる。七尾市も例外ではない。

経済がグローバル化している今日、国内においてもネットを含めボーダレスにサービスが展開されている中で経済の地域内循環を強化することは簡単ではない。しかしここに例外的にうまくいっている取り組みがある。それが飛騨信用金庫のさるぼぼコインである。以下のようになんとあのNEW SPICKSでも取り上げられているではないか!

高山市に観光に行けばわかるが、本当に多くの店で利用可能なだけでなく、結構な高齢者の皆さんも利用していることに驚く。決済手数料を取る方式ではなく、換金の際の手数料のみ発生するとのことであるから、地域内であれば店側はさるぼぼコインで仕入れ調達もしやすく、市民税の支払いなどにも対応していると聞いている。

アプリのデザインがかわいいので、私のスマホにもちゃんと残っている。

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ぜひとも、のと共栄信用金庫は行政と協力してこれと同じようなものを取り入れることができないか検討してほしい。

そこで提案したい!
さるぼぼコインに対抗して、七尾では”わくたまペイ”を採用しようではないか。なんとなく語呂もいいし、アプリのデザインもしやすそうな気がする。などとまた妄想が膨らんでくる。

最後に

この冊子には耕作、風太、里子の三人が登場していろいろな語りを展開する。Episode6”お気に入りの一冊に出会える場所”において里子がのと共栄信用金庫の本店ロビーをライブラリーにしたらどうかという提案をする。来店した人が「ここは本当に金融機関か?」と驚き戸惑うようなスペースになったらいいね。と三人の話は盛り上がる。
最後に耕作の「戯言で終わらせたくない話だよ。ふーむ。なんとかならないものかな?」というセリフでこのエピソードは終わるのだが、それが実現する際にはお手伝いさせてほしいものだ。

短い冊子なので、短くまとめようとしたが、熱くなってたくさん書いてしまった。勝手にいろいろ書いてしまい、のと共栄信用金庫の皆さんや制作に携わった方々にご迷惑をかけることになったかもしれない。さきにお詫び申し上げます。
ごめんなさい。

とはいえ、楽しく読ませていただきました。ありがとうございました。
冊子の背表紙のようなまちにするために、自分も商店街でできることを頑張ってみようと思います。

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おわり

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