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「私のために命を懸けて会いに来てくれた。」  子供との死別体験記 -後編

こんにちは。死別の悲しみに寄り添うことはできるのだろうか?という問いを掲げて活動しているGrieFuuです。

前回から引き続き、産後約3週間で子供を亡くしたお母さんの死別体験をまとめています。後編となりますので、前編を読まれていない方は前編から読んで頂けると嬉しいです。

死別体験を通じて変化したことはありますか?

その子は私のために産まれてきてくれたと思っています。

本当は帝王切開の予定でしたが、自然分娩で産まれてきてくれたり、自分にとっても良いことでした。もし帝王切開だった場合、次妊娠した時に子宮破裂の原因になってしまったりするそうです。今後さらにハイリスクな妊婦になりうるかもしれなかったことをコウノドリ(ドラマ)で知りました。

他には、今離婚してシングルですが、もしその人と一緒だったら今みたいに好きなことはできていないだろうし、自分を殺して生きていたと思います。その子は私がやりたいことをするために命を駆けて会いにきてくれたんだと思っています。

当初はなんのために産まれてきたのか分かりませんでした。3週間ただただ病院で手術してたくさんの管につながれて痛い思いをして亡くなってしまったから。
けれど調べていくうちにその子が産まれてこれるタイミングがそこだったんだなと思うようになりました。もしそこで産まれなかったら生きた状態で会えなかったと思います。

最期のお別れで後悔はありますか?

最後に可愛くできなかったのはずっと心残りです。全部が最初で最後の瞬間なのに写真などもあまり撮れずでした。小さい子だけで言うと全然洋服も無いし、棺も大きく、段ボールでできています。送る時にその子を可愛くするすべがありませんでした。現在は経験した人たちが小さい子のためのものを作って販売したり、ボランティアで作って病院に届けたりなどがありますが、販売していたとしてもその時に検索したり購入したりする気力も無いのでたどり着けないのが現実です。

私の病院は良くして下さって、毎日少量ですが母乳を届けていたのを全部解凍してお風呂にしてくれました。最期に母乳風呂で体をきれいにしてくれました。看護師さんたちが持ち寄った化粧品でお化粧もしてくれました。手形足形も看護師さんたちがとってくれて色画用紙や色鉛筆で可愛くしてプレゼントしてくれました。

全部の病院がしてくれるわけではないので、葬儀会社などもそのようなプランはないのでなにもせず辛い思い出で終わって後悔してしまう人たちもいます。

どのタイミングでポジティブな考えに変わっていきましたか?

初めは、周りの人たちは元気に産まれてきていたからどうして私の子だけと思ってしまっていました。誰も責められないし、責めてもこないし、誰のせいでもないって1番辛かったんです。なんでというのをどこにもぶつけることができませんでした。

そこからたくさん調べるようになって、思ってみればこの子が亡くなった後にやりたい仕事とご縁があるようになってきました。なんとなくこの子からのプレゼントなのかなと思うようになってきました。
全て奇跡が重なっていることに気付き、前を向き始めました。

死別体験を経て伝えたいことはありますか?

どうしてこの子は産まれてきたんだろうというのを調べていくうちに、産まれてくる時にみんな自分の人生を知っているっていうのがあって、どんな人生だとしても産まれる順番を笑顔で待っているらしいんです。それは必ず誰かのためになるから。

きっと彼女も私のために産まれてきてくれたんだと思うようになったら、人生思いっきり楽しまなきゃと思うし、自分が今生きているということは、まだ私が助けられる人たちがいるということなのかなと思っています。

また、亡くなったことをもっと話していきたいから、”センシティブなこと”ってひとくくりにしないでほしいと思っています。そんなに気を使わないでもっと聞いて、じゃないと話せないからと思います。

ふらっと、「私子供を亡くしたことがあって。」というとその場が凍ることがあります。私が聞いている立場だとしたもびっくりするので仕方ないことです。

話すことが億劫になってしまうのですが、今話すことは重いことじゃなくてもっとプラスのことなんだっていうのを伝えて行きたいです。私が経験した奇跡をもっと多くの人に知ってもらいたいです。そしたら悩んでたことが軽くなることがあるかもしれないですよね。

話せないっていうのが一番辛いです。気を使ってくれるし、気を使ってしまうし。かといって死を軽く受けうれろというわけでもないし。

執筆・編集
猪股佳奈(Kana Inomata)


死別体験から生じる感覚は1人1人異なり、特別なものです。人によって、悲しみも感情も、向き合い方も違います。自分の感情に素直になって、これからどう生きるのかをじっくり考えられる、そんな記事をこれからも作成していきたいと思います。

このnoteの感想や自分の死別体験などを教えてくださる方がいらっしゃいましたら、TwitterのDMなどでご連絡いただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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