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#04 てんかん老犬とのくらし その3

梅雨に入った矢先、1日に発作を7回起こすという新記録を樹立したつみれ。特に3回目から6回目まではほぼ1時間おきにけいれんを発症。頼みの綱だった坑けいれん薬もあまり効かないようで流石に7回目の後、病院に連れて行った。

獣医からはもう投薬の種類も量も充分で、これ以上増やすことは難しいけれど、発作続きで脳が腫れて(むくんで)いる可能性が高いことから、炎症を和らげるステロイド注射を勧められたので、数少ない選択肢としてまずはその処置をお願いした。

ステロイド。それを聞いて思い出すのは昨年夏に17歳で逝ったパイセンのちくわ。彼女はある意味それで命を長らえた。15歳頃に膵炎から腎臓を痛め、当時通っていた病院からは「もう長くはない」と宣告され、その足で半泣きでセカンドオピニオンを求めた別の病院で出会った先生から勧められたのも正にステロイドだった。この先生はターミナルケアが専門で、特に高齢犬の終末期のQOLに重きをおいていた。前の病院では毎日必要と言われた点滴も、彼の見立てでは「まだまだ大丈夫ですよ。涙も出てるし、本当の脱水状態はこんなもんじゃないです。ただやはり弱ってはいるのでステロイドを使って内臓全体の炎症を落ち着かせてあげたほうが良い」その言葉で私はどれほど救われたか。一時は今生の別れかと見つめたちくわとまだ一緒にいられるかもしれない喜び。前の先生も一生懸命に毎日検査をしてくれたけれど結果ちくわの血管はだいぶ痛み、それも消耗させていた要因かもと言われ、ちくわにひれ伏したい思いだった。

そんな思い出のステロイド。ちくわ逝去後は違う病院でつみれを診てもらったが、その先生と話しても副作用について色々賛否はあることは理解しているが、ちくわはたしかに救われ、そしてつみれもそのステロイドという最終兵器を使用する段階となった。パイセン同様につみれもよろしく頼みます。

動物医療も、もはや人と変わらず最後は薬に頼らざるを得ないことに何となく不条理さを感じつつも、結局これにより1日でも一緒に居ることができている。「あるべき姿」と「エゴ」との葛藤も、老犬介護についてくる課題なのだろうと思う。

つみれはサツマイモとササミを潰して混ぜた朝ご飯をきれいに完食したので、錠剤をすり潰してリンゴジュースに混ぜてシリンジで与えると音を立てて美味しそうに飲んでいる。
さて、今日も1日が始まる。
共に闘おうぞ。

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