守破離

守破離

若いときは如何に自分のデザインを認めてもらうか、如何に新しいことができるか、他人と違うことができるかなんかばかりを考えていて、そしてバブルって事もあって、正に生き馬の目を抜くような広告業界で兎に角技術と名声の向上だけに腐心してきたと思う。結果、まったく有名にもならなかったけど(笑)
クライアントのことも、エンドユーザーのこともただのお題目で、ただ自分のためだけにデザインを振り回していた20代な気がします。

その後、純粋な知的好奇心と本来のデザインについて深く考えるようになり、たくさんの機会に恵まれて素晴らしい人たちに出会い、その人や生み出されたものや事象などあらゆることやもの、人に敬意を払う事を学び、少しは大きな世界を知るようになったのかなぁ。

最近は自分のデザインということすら飛び越えている気がするんだけど、それでも僕がデザインしたものは、どこか自分の癖のようなものが色濃く残っていると思う。20代の頃の、自分のデザインを残したくて仕方なかった頃よりも、ひょっとしたら色濃いかも知れない。

「守破離」という言葉は、剣道をしていたから知った言葉だけれど、その剣道というフィールドでは見ることができなかった、その守破離の世界をデザインでは少し見られるかも知れないなどと最近は思ったりします。まだまだ、やることはたくさんありますが。何よりも、ありがとうと素直に言えることに喜び、感謝したいです。