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流行りと廃り、そしてブランド戦略

ソーシャルメディアが台頭する前、流行とは雑誌やTVが作るものであり、ある程度計画的に運用されてきました。
ソーシャルメディアを利用した、インフルエンサーマーケティングが一般的になってくると、消費の速度は飛躍的に伸び、あっという間に消費されてしまうようになってきました。現在は流行というよりは、バズりというようなより一過性の短い期間での小さな消費が色々なところで起きてはあっという間に消えていきます。

このような世の中で商業的に成功するにはある程度の勝ちパターンに沿って運用するしかありません。何度も小さなバズりを起こして、システマチックに小さな成功を積み上げていくものです。

しかし、ブランド戦略としてはこれはなかなか厳しいものがあります。確かに短期的な利益は生み出すかもしれませんが、ブランドを支え続けてくれる「ファン」がつかないからです。

流行は2年で終わる

流行ると廃るので流行って欲しくない。と言っている人がいました。
昔はある程度計画的に運営できていた「流行」ですが、現在は2年で終わります。

1年目は感度の高い人たちが、インフルエンサーやブランドに注目し始めます。そしてSNSで良く見かけるようになってきます。
2年目には流行りと呼べるような状態になり、商品は売り切れたり手に入りにくくなったりします。急に供給を増やすことはできないので、予定以上の売上は見込めなかったりします。

そして3年目には、販路が拡大し、生産数も確保できます。そして、なぜか大きく売上を落とすことになるパターンです。

結果、2年目で期待した売上は3年目で確保できず、在庫を積み上げることになり、累計してもさほど美味しい思いはできなかったね、というパターンです。

支えてくれていたファンも逃げる

現在のインフルエンサーマーケティングの辛いところは、注目を得るために手段を選ばない(選べない)ところにあると思います。

人の目を引くサムネイルやSNSへの書き込みに引っかかる人たちは、言い方は悪いですが、良い購買層にはなり得ません。

インフルエンサーマーケティングについても、現在はもう飽和している状態です。鳴物入りで上場したUUUMの業績も思うように伸びないのを見ても、すでにインフルエンサーマーケティングのバブルは終わっています。

SNSには同じようなサムネイルが溢れ、多くの人たちは飽きてきています。

そのような広告スタイルを続けていると、流行する以前からそれまでブランドを支えてくれていたはずの「ファン」も失ってしまう結果となるわけです。

これは本当に都合の悪い話です。沢山の人の目に触れるように頑張って広告した結果、ブランドを支えてくれるファンを失ってしまう結果につながってしまうのです。

ファンをどんどん増やして成長するブランドにある「特別感」

では成長するにはどうしたら良いのか。私は常々、「ルイヴィトン」を作るにはどうしたら良いか、と考え続けています。

ルイヴィトンに私たちはどんなイメージを持っているでしょうか。
ちょっと思い浮かべてみてください。

細かいイメージは、人それぞれだと思いますがおそらくは、

ヨーロッパの高級なラグジュアリーブランドで、とても高級で、格式が高い。⚪︎⚪︎さんが身につけている。かっこいい。お金持ち。・・・などなど

そんなイメージがあると思います。
(もちろん価値感は人によりますが)なんとなく持っていると特別な人間になれたようなそんな気持ちもあると思います。

私はブランドとして成功するには、この「特別感」が大切なのだと考えています。

特別感を失わず、広く人に知られていくには。

私はインフルエンサーマーケティングにも「特別感」が必要になってくると考えています。なぜインフルエンサーマーケティングがこんなにも受け入れられたのかと考えた時、それは「親近感」なのだと思いました。

いつもSNSを見ればそこにいて、対話してくれる「親近感」

それが「特別感」につながっていたのだと思います。
この「親近感」は、毎日流れてくるタイムラインにいること。
そして「対話」があること。
そこに魅力を感じ、人は惹きつけられるのだと思います。
近年、ラグジュアリーブランドは、その国に合わせたモデル、インフルエンサーの起用に積極的です。いつも見ている⚪︎⚪︎くんが持ってる、⚪︎⚪︎ちゃんが起用された!そんな親近感と特別感に訴求しているのだと思います。

有名なラグジュアリーブランドにおいても、過去に何度も危機が訪れています。その度に、大きく舵を切ってきました。革新的であることが付加価値を高めてきたのです。

3年目のジレンマから抜け出すには、革新的で大きな舵を切ることだと思います。

つまりそれは、「同じものを売らない」ことです。
とても良いものができて、せっかく認知されたものを簡単に変えてしまうのはなんだか合理的出ない気がします。
ですが、一言で「同じものを売らない」と言っても色々あります。

日本のブランドは、デザイナーを変えることに消極的です。
付き合いもあるでしょうし、そこにお金をかけられないという場合もあるでしょう。
中身が同じもの、本質的には変わらない、変えられないのであれば、パッケージは革新的に変えていくべきです。

ちょっと自分のプロダクトから顔を上げて、自分では想像もつかないような大きなブランドをよく研究してみるのもいいかもしれません。

絶好調に売れているはずなのに、ガラリとモデルチェンジをする。
それには理由があるはずです。

広告は継続こそ力なり、新入生への訴求

広告が溢れる世の中だからこそ、継続した広告が必要になります。一過性のバズりではなく、ファンを積み上げる継続的な広告が必要です。

日本の経営において、真っ先に削られる費用は広告費です。
経費削減はすぐに利益につながり、経営者の評価があがります。

しかし、実際には将来の売上を切り売りしているだけであり、広告費を削るということは、ファンの新入生を少なくするということに他なりません。

サラリーマン社長は、任期中に会社の業績が盛れれば良いということもあり、なかなか長期的な成長にコミットしません。

良いIPを持っている(いた)はずなのに、育てることが下手くそな会社は、継続的な広告戦略が壊滅的です。

私はそこにインフルエンサーマーケティングの活路があるのではと思ったりしています。継続的な広告にインフルエンサーマーケティングは最適だからです。

これからの中小インフルエンサー戦略

これから駆け出しブランドとしてのインフルエンサー戦略はどうあるべきか。
これまでのテーマとして「広告の継続」「同じものを売らない」「特別感」という課題が見えてきました。

インフルエンサーという新しい言葉に拒否反応を示す人もいますが、結局は昔からあるスポンサーとして、インフルエンサー活動を支えるというものになっていくと思います。

インフルエンサーは、基本的には多くの人に情報を拡散していくことが仕事ですが、情報を拡散するだけではなく、深く理解し、本当の意味で情報をインフルエンスしていくのです。

その場合、フォロワー数はあまり意味をなしません。

インフルエンサーマーケティングの元締め的な会社は、クオリティが求められるようになってきます。つまりエンゲージメントがこれからもっと重要視されてくるはずです。もちろんこれからも有象無象のなんちゃってインフルエンサーも現れては消えていくと思いますが確実に生き残りは難しくなっています。

中小企業、駆け出しのブランドとしては、まずはしっかり広告戦略(ストーリー)を練ることです。
そして、認知を得られたら3年目にはもう「同じものを売らない」ことです。

同じものを売らない、つまり革新的であれば、例えそれがパッケージの変更だけだったとしても、インフルエンサーもネタに尽きることはないでしょう。

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