見出し画像

フィルムピッカーの思い出

前回フィルムピッカーがあるとなにかと便利と書きました。
と言ってもパトローネからフィルムの先端を引っ張りだすだけのものなんですが…

私の父親も写真が好きでかつてはフィルム現像から手焼きプリントまでこなしていたようです。
写真屋でバイトしてたって話しも聞いたことがあります。
そういうわけで私はこどもの頃からこのフィルムピッカーの存在自体は知っていたのです。

しかしその当時は、このルックスだけでは一体なにに使うものなのか検討もつきません。
こどもというのはそうした謎めいたものを手にするとなんとかその使い道を模索しようとするわけです。

栓抜きや缶切りのようなものなのか、しかし薄っぺらいプラスチックが3枚、その内2枚がただ前後に動くだけだ。
そうして辿り着いたひとつの答えが、

そうか、これは貯金箱を開けずに中の小銭を取り出す道具だ!!

そう思ってまだ幼かった私は父親の部屋へ行き、500円で10万円貯まる貯金箱を手に取り、フィルムピッカーの先をコインを入れる穴へとおもむろにつっこんだのです。

そしてフィルムピッカーの薄っぺらいプラスチック部を最大まで伸ばし、その先がコインに触れる感触を感じました。

これいけんじゃね?!
これでミニ四駆が買えんじゃね?!

そう思って興奮していた矢先父親に発見されゲームオーバー。
フィルムピッカーと貯金箱は取り上げられその後フィルムピッカーの存在はこの苦い思い出とともに記憶の引き出しのなかにしまったまま長い月日が経ちました。

フィルムピッカーの本当の使い方を知ったのはそれから10数年後のことです。

始めにフィルムピッカーがあるとなにかと便利と書きました。
例えば午前中よく晴れていてISO100のフィルムを装填したとします。
そのフィルムをすぐ使い切ることができればいいのですが、午後から曇ってきてISO100だと露出不足、しかし装填したばかりのフィルムもまだ余っているという状況はよくあるかと思います。

その場合はISO100のフィルムを一回巻いてISO400のフィルムに交換し撮影を続行します。
余ったISO100のフィルムはフィルムピッカーでフィルムの先端を引き出し、何枚撮影したかフィルムの先かパトローネに書いておいてまた次回使用することができます。

多重露光になっちゃうんじゃないの?と思われるかもしれませんがレンズキャップをしたまま最も早いシャッタースピード、絞りを1番大きい値まで絞って前回使用枚数より+1枚程度多めに空シャッターを切れば多重露光することなくフィルムを途中からでも使い切ることができます。

デジタルカメラと違い、状況に応じてISOを変えることができないフィルム写真ですがフィルムピッカーさえあればフィルムを無駄にすることなく撮影を楽しむことができます。

私が聞いたことのある話しでは、北海道で撮影したフィルムを沖縄に住む友人に送りそのフィルムの上から多重露光で沖縄の写真を撮りひとつの作品を作って楽しんでいるという話しを聞いたことがあります。

写真文通みたいで素敵だなと思いました。
どなたかフィルム写真やってて多重露光して遊んでみたい方コラボしませんか?



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?