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OJTってなんだろう?

研修担当になると大概に言う&言われるのが
「うちの人材育成はOJTと研修、あと自己啓発の三本柱になってまして。。。」
というやつです。

職場内で業務に伴って行うOJT
職場を離れて研修などをうけるoff-JT
業務以外の能力開発を支援する自己啓発

この3つを人材育成の施策としてやってますよー、ということですね。

研修担当に配属されると「ほんほん、そうかそうか」とか言いながら、
「てことは研修を実施しつつ、自己啓発の補助金とか出せばいいのね。OJTは職場がやるんだもんね」みたいな理解をするわけです。

OJTって何?

アタマ悪そうなこの人(モデル自分)の台詞の通り、この3種類のうち「off-JT(研修)」と「自己啓発」は、業務として何を実行するのかは明確です。
研修は研修を開催し、自己啓発は様々な仕組みがありますが大体補助制度です。
(それぞれほんとにそれでいいのかは別の話なので、今はおいておきます)

一方でOJTって実際に誰が何をするんでしょう?
「みんなわかっているのかしら、自分はわからない」と急に不安になったので
調べてみました。

OJTってほんとに行われている?

Wikipediaさんに聞くとOJTってこういうものだよ!とお返事がありました。

OJTとは、職場の上司や先輩が、部下や後輩に対し具体的な仕事を与えて、その仕事を通して、仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを意図的・計画的・継続的に指導し、修得させることによって全体的な業務処理能力や力量を育成する活動である。

なるほど、仕事を与えてそれを通して育成するということのようです。
そして、どうも「意図的」「計画的」「継続的」がキーワードのようです。

・・・実際に行われている感じがしない。
OJTと言いながら単に仕事を教えているだけということが多い気がします。能力の開発を「意図的」「計画的」「継続的」に行なっている職場ってあるのでしょうか?

と思っているとこんな記事を見つけました。

この記事によると、そもそもちゃんとOJTが計画的になされたことは(ほとんどの場合)なく、「何も意図的にOJTを設計しなくても、OJTが職場でうまく機能しちゃうような諸条件」があったということです。
その諸条件とは、

1)職場が村落共同体を継承していたこと
2)終身雇用が存在しており、長期間の雇用が可能だったこと
3)職能制度賃金の報償システムによって右肩上がりの収入が確保されており、モティベーションを確保することが容易だったこと
4)しかも、継承するべき技術が、世の中の環境変化に対して比較的、頑健で、変化のないものだったこと
5)何よりも、OJTという概念が曖昧で、ともすれば、職場で起こる教育的活動に、容易にOJTというラベリングがなされがちであったこと

ということでした。
なるほど、この記事をふまえるとこれまでのOJTはまぐれ当たりのような状態であり、実際には計画性などをもって行われていたわけではないようです。
OJTという言葉が多く言われる割によくわからないのはそういうことだったのかと納得しました。

OJTはどうやったらいい?

でも困りました。
70:20:10の法則というものがありまして。

米国のリーダーシップ研究の調査機関ロミンガー社の調査、分析結果から生まれた法則で、同社が、リーダーシップがうまく発揮できている経営幹部に対して「どのようなことが成長に役だったか」という調査を行ったところによると「70%が経験、20%が薫陶、10%が研修」であることが分かったというのが、「70:20:10の法則」です。

この法則が正しいと仮定すると、OJTが機能しない場合は人材育成に役立つ部分のうち70%はコントロールできなくなっちゃいます。
経営の視点から見た場合、これは大きな問題です。

実際自分を振り返ってみても、受けてよかった記憶に残る研修・心に残る上司の言葉はそれぞれありますが、仕事での成長ってなんだかんだ自分でやった仕事が重要なんじゃないかなと感じます。
そこに寄与するOJTは重要です。

OJTのやり方指南書はないものかと思い、こんな本を読んでみました。

本書はOJTのセオリーとしてデービット・コルブさんの「経験学習モデル」を活用するというものです。

経験学習を「仕事の経験をした後、その経験をきちんと振り返り、うまくいったこと/いかなかったことを内省し、そこから教訓を導き出し、新しい仕事に適応することで深い学びを得る」ものと定義し、

◯指導の土台作り
◯目標のストレッチ
◯進捗確認と相談
◯内省支援とポジティブ・フィードバック

の流れでOJTを進めていくというものです。

ポイントのキーワードは

◯育成対象者との信頼関係を作る
◯考えさせる「ガードレール型の指導を行う」
◯短期と長期に分けた目標を立てる
◯資質の1.2倍くらいの負荷をかける
◯全体像をイメージできるように任せる
◯日々の声かけと聴ききるミーティングを行う
◯問いかけながら経過や現状を見える化する
◯適切に褒め、叱り、振り返らせる
◯うまくいってもうまくかなくても、振り返らせて、教訓を言語化させる

という感じです。

個人的にはこれにそもそも論として、どういう人に育ってほしいのか、を設計することが必要だと思います。
それに基づいて仕事の割り振りを行い、割り振られた仕事によって経験が生まれます。
どんな経験をさせ、どんな人に育ってほしいかのビジョンがないと、経験学習の効果が薄れてしまいそうですよね。

OJTのあり方は模索した方が良い

・これまでのOJTはあまりちゃんと設計されたものが少なく、参考にならないかも。
・まずは人を育てる気持ちを持つ。
・どういう人に育ってほしいかを考え、してほしい経験を考える。
・それに基づいて仕事を割り振る。
・経験学習の基本に沿って内省が得られるよう支援する。

まとめるとこんな感じでしょうか。
経験学習を軸に考えると色々得るものがありそうです。

なんにせよ、まずは人を育てるという目的と意思をもって仕事を割り振り、どんな内省を促せるかを考えながら職場で接していくということでしょうか。

人が足りないと言われる中で、割り振りもコントロールしながら実践していくのは、かなりハードル高い感じはします。
そのへんもなかなかちゃんと実行されていない原因なのかもですね。

ただ一方でちゃんと育てていかないから人が足りないと言われているという面もあります。
ちゃんと職場で取り組んでいかないとですね。

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