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コロナウイルス連作短編その202「バーミヤンのあのCMの曲」

 頭のなかで何の脈絡もなしにとある曲が響きはじめると,そんな瞬間が間藤麻にはある.まるで耳の奥にスイッチがあり,何かの拍子でそれがカチッとONになり,曲が自動再生されるといった感覚だ.そんな時,昔使っていたiPodや今使っているタブレットというより,親世代がミックステープを再生していたラジカセになったような気分になる.
 こうして再生される曲を,しかし自分の意思でOFFにすることができない.むしろ消したいと思うと音量が大きくなっていく.そんな時は,自分はラジカセを動かしている高校生でなくラジカセ自体なのだと受け入れ,いっそ逆に音色に身を委ねてみるなら割に気分がよくなるのだが,そうなると逆にスッと音が消えてしまうのだから不思議だ.自分の体はままならないものだと,麻は感じざるを得ない.
 例えばここ1年でそうやって頭に流れた,頭に流れまくった曲はタマホームのCMで流れていたAdoの曲だ.“ハッピーライフ ハッピーホーム タマホーム”というお馴染みのフレーズを,彼女は正に弩迫の勢いといった感じで歌っているのだ.もはや“絶叫”と形容すべきかもしれない.曲を初めて聞いたのは去年だったが,その爆発的な切実さが妙に心に残って2022年末の今ですら,時折頭に響くのだ.
 音楽の趣味として,麻は英国のロックバンドばかり聞いていた.今のお気に入りはThe Vegan LeatherとDEADLETTERSだった.最近,Apple MusicのアルゴリズムにTemplesが出てきて,胸を締めつけるような懐かしさから1stアルバムの“Sun Structure”を何十回も再生したりもしている.
 その趣味からするとAdoなんてそもそも眼中になかった.あの“ハッピーライフ! ハッピーホーム! タ!マ!ホ!オ!ム!”といった絶叫が妙に心に残った.何度も何度も頭で響くようになった.なのでとうとうApple MusicでAdoを聞くようにもなり「ONE PIECE」の最新映画の主題歌に彼女の曲が起用された時には,なにか“聞いててよかった”という気分にすらなった.
 その他にも麻の頭では『アナと雪の女王』の挿入歌“Let It Go”や,アニメオタクだった時に聞いていたALI PROJECTの『亡國覚醒カタルシス』に,昔流行っていた曲でもエイジアエンジニアという一発屋の『誰にも負けない』という曲が時々流れる.我ながら選曲が謎に満ちていると麻には思える.
 だが彼女のなかで最も特別な位置を占めるのはこれらではない.

 バーミヤン! バーミヤン!
 モリモリ! パクパク! モォリパクパク!
 ワッハハァ! ワッハハァ!
 みんなでバーミヤン!
 中華で笑おう! バーミヤン!

 彼女の頭で最も流れる曲はこの,中華レストランであるバーミヤンのCM曲だった.おそらく小学生か中学生の頃にテレビで見たはずだが,子供の麻は一目,いや一耳聞いただけでこの阿呆さながら元気爆裂な曲に魅了されてしまった.まるでおとぎ話で白馬の王女さまにあれよあれよとさらわれる姫になったような心地だった.
 その日から麻は家でも学校でもどこでも,何度も何度もこの曲を歌った.聞くのも楽しかったが「バーミヤン! バーミヤン!」とあらんかぎりの声で叫ぶのは,心が弾けるような経験だった.特に親の前で歌うのが好きだった.声があまりにもうるさすぎて父は汁でも浮かんでくるのではないかと思うほど深く皺を寄せて叱ってくる一方で,母はいっしょになって何度も何度も歌ってくれた.「ワッハハァ! ワッハハァ!」の下りなどは,母の爆笑が迫真にすぎて,こちらが本気で笑ってしまい後の句を継げなくなるほどだった.
 その記憶は大人になってからも暖かな,いや暑苦しいほど心地よい記憶として麻の頭には残っている,母が亡くなった今にはよりいっそう.逆にあのCMに関する記憶はほとんどない.いつ流れた曲かも曖昧だ.だがある時期にCMを何度も見たことだけはハッキリ覚えている.
 そしてこのバーミヤンの曲が“自動再生”という名のプレイリストの1曲として頭に爆発するように響くのだ.他の曲に関しては煩わしく思える時もある,特に“Let It Go”なんかがそうだった.
 しかしバーミヤンは曲自体の大音量ぶりとは裏腹に,不思議とうるさいとは思わない.聞くたびに元気が出るのだ.特に仕事で失敗したであるとか,恋人の赤根亜紀子と喧嘩したであるとか,物価が高くなる様を味わい深刻になっているとかそういった瞬間,頭に“バーミヤン! バーミヤン!”と流れる時がある.まるで脳みそだか耳だかが“元気出せよ!”と励ますため,あのスイッチをONにして曲を流してくれるといった風だ.それがとても有り難くて,時々涙が出そうになる.
 だけれども,この曲が頭のなかで初めて流れたのはいつだろう?
 そうして頭のなかで何度も流れるようになったのはいつからだろう?
 そういった疑問がふと心に浮かぶ瞬間がありながら,いつだって明確に答えられることはない.
 別にそれでいいのだろう.
 バーミヤンがいつでも耳にいてくれる,それだけでいいのだ.

「これ,先輩がいつも言ってるCMじゃないですか?」
 仕事場で,後輩の溝呂木大雅が麻に携帯の画面を見せてくる.“バーミヤン! バーミヤン!”と,この音声を聞いただけで,麻はあのCMだと分かる.様々な思い出がまるで走馬灯のように込みあげてくるのを感じた.その圧倒的な感覚に翻弄されるなかで,呆然と動画を眺める.

「うーわ,懐かしい!」
 見終わった後,麻は思わずこう叫んだ.だが直後,その言葉を不思議に思う.あれだけ頭のなかに曲が響いていて,ほとんど日常的に触れていたと言っても過言ではない.なのに今,自分はこのCMを懐かしいと思ってしまっている.それが不思議だ.
 麻は大雅から携帯を受け取り,もう1度CMを確認する.CMはアニメーションだった.お世辞にも上手いとは言えないゴチャゴチャした画風で,頭の大きな老若男女がバクバクと中華料理を喰らいまくっている.巨大な顔面は真っ赤に染まり汗がダラダラ出ているが,その熱すぎる美味しさに辛抱たまらんといった風だ.そんな人々が画面にひしめくなか,あのアップビートな曲が流れ,本当にとんでもなく底抜けの明るさだ.子供の頃の自分が気に入るのも無理はないと,麻は合点が行かざるをえない.
 このクセのあるアニメーションをマジマジと見ていると,込みあげてきた走馬灯が明確なイメージとなる感覚がある.
 父親が書いた落書きを「あのバーミヤンよりヘタ!」と馬鹿にしたこと.
 曲を歌いながら踊っていたら右足がつって泣き喚いたこと.
 バーミヤンへ両親と行って,頼んだハーフラーメンに辣油をえげつない量ブチこんだこと.
「うーわ,懐かしい……」
 今度は叫びでなく,囁きだった.
 そして感じた懐かしさにも説明が少しつく.おそらく映像記憶と音声記憶は脳のなかで別に収納されているものなのだろう.そして自分が抱く懐かしさは映像記憶の収納部を刺激されたゆえのものなのではないか.麻は最終的にこう結論付けた.
「これ,最近まで“実在してないCMなのでは?”とか言われてたらしいですよ」
 大雅がそんなことを言う.
「……は? どういうこと,意味わからんけど」
 半笑いでそう尋ねてしまう.
「いや,何かですね,まあ詳しくは迷宮入りCM捜索wikiってのを調べてほしいんですけど,このCMって結構長い間,ネット上で目撃証言はあるけども実際のCM動画が流れてこないから実在を一部で怪しまれてたらしいんですよ」
「ええ? いや……私は子供の頃見てたし,頭のなかでも曲がずっと流れてたし,実在するに決まってるじゃん」
「でもYoutube時代に動画が流れてこないのはおかしい,それは目撃者の記憶違いで本当は存在しなかったのでは?みたいなことが,ずっと言われてたと」
 麻には全く納得がいかない.足下が揺れているような感覚がある.
「その疑念に拍車をかけたのがですね,ほら“モリモリパクパク”の下りあるじゃないですか,これが“ガンガンボワボワ”だったっていう証言があったんですよ」
「“ガンガンボワボワ”? は? 何それ全く聞いたことないけど」
「そうなんですよ.バーミヤンCMの目撃者も“モリモリパクパク”派は“ガンガンボワボワ”を知らないし,逆に“ガンガンボワボワ”派は“モリモリパクパク”を知らない.目撃者内部でも意見の相違が現れて,だから別のCMと混同してるんじゃないかとか言われてたと」
 麻は“ガンガンボワボワ”という言葉を口にしてみる.何の馴染みもない,不愉快さすら感じさせる言葉だ.
「で,マンデラ効果っていうのがあるんですよ.ネルソン・マンデラ大統領が実際は生きていたのに“彼は獄中死した”って事実を異なる記憶を不特定多数の人が共有していたっていう出来事があり,このバーミヤンのCMもこういう誤った記憶を何故か多数の人が共有しているまでで,実際には存在していないのではないか?って言われてたと」
「でも……そんなんありえない,だって私は覚えてるし……」
「で,とうとう今年始めにバーミヤンCMが“発掘”されてネットにアップされたんですよ.今見せたやつですね.ここでとうとう麻さんとかの正しさが証明されたと」
「ああ,よかった……でも“ガンガンボワボワ”は?」
「それがですね,このCMは2バージョン作られていたらしくて,それぞれ曲の歌詞が変わってるんですよ.それが“モリモリパクパク”と“ガンガンボワボワ”だったと.結論としては“どっちでもあった”みたいで」
「へえ……」
 そこはかとない動揺を覚えながら,麻はもう1度バーミヤンのCMを眺める.
「いや,いやでもバカみたいだね,信じらんないよ」
 彼女は喉の奥から笑いを響かせようとする.“一笑に伏す”という行為を成そうとする.
「レリゴーとかが頭から離れなくなってうるさい,みたいな話とか昔あったでしょ.私も正にそんな状態になったことあるけど,このバーミヤンの歌はマジでずっと頭から離れなかった,ずっと鳴ってた,そういう風な状態で私は20何年間生きてきたくらいだよ.それが実在しなかったみたいな,そういう風に語られるのってマジでめっちゃ変,バカ」
「でも“本当は実在していないのかも”とか一部では言われてたわけですよ」
 大雅はあえて強調するように,またそう言ってみせる.
「面白くないですか?」
 麻はそれを面白いことだと思おうと,笑った.その声の響きは擦りきれた雑巾のように思えた.

 仕事の帰り,いつもの駅で高槻園子と待ち合わせをする.
 だが実際,ここに来るのは本当に久しぶりだった.
 この駅はすこぶる小さい.おそらく歩いて3分ほどで駅の全てを踏破することができるのではないか,そう思える.改札の前には3つの出口があるが,左右の出口へはそこから歩いて10秒で行ける.真正面の出口は遠くに位置しながら,それでも20秒歩けば端に辿りつくだろう.その間の広い通路の両側に店が並んでいるが,1/3にシャッターが降りている.コロナで潰れ,引き継ぐものもいないのだろう.
 改札の横から伸びる銀の柵に凭れかかり,彼女が来るのを待とうとする.
「あっ,いた」
 後ろからそんな呆けた声が聞こえたので振り返ると,そこには園子がいた.マスクの上の目が麗しく細まるのが見える.そして髪が前よりもずっと伸びているのに気づく.だがその“前”とはいつだったか,ちゃんと思い出せない.
「久しぶりだね,ほぼ1年ぶりだね」
 まるで自分の心を見透かしたようにそう言うので,少しまごつく.皮膚の下で腕の筋肉が痙攣するような感覚を覚えた.
「待った?」
「……ううん,待ってない」
「本当に? 本当?」
「ほ,ホントだよ.別に嘘つく必要ないでしょ……」
 園子は前へと歩き始めるので,麻もついていく.正面出口まで歩いて何秒か数えようかとも思うが,彼女は右の出口に向かっていったので,結局諦める.
 しばらく2人だけでただ外を歩いていく.どちらも何も言わない.
 痛い夜だった.凍ては猛烈で,マスク越しに皮膚を突き刺してくるほどだ.
 何も話さない代わりに,麻は自分たちと同じように凍てに晒される建物の数々を眺めている.どぎつい光を放つスーパーマーケット,剥き出しのコンクリートでできたアパート,設えられながら没個性的な一軒家の数々,トタンでできたようなボロボロの小屋.
 不思議な町だった.いつ見ても不思議で,どこまでも静かな町だった.
「ねえ」
 園子の声が夜に響く.
「“美穂”はこの1年どうだった?」
 その名前が,鼓膜で鋭く痛む.その刺激が瞬間に全身をめぐる.
 心臓が早鐘を打つ.
 唾が大量に込みあげる.
 背中から汗が分泌される.
 ヌラヌラした欲望がせりあがる.
 心にまたヒビが入る.
「あなたって,私の大切だった人に似てる.もう死んじゃったけど」
 そんな言葉を思いだし,体全体がビクンと震えた.
 だがすぐに気づく.
 それは“思い出した”でなく“自動再生された”の方が正しいと.
 1年経っても結局は何も変わらなかったことが今分かり,少し笑いたくなる.予想通りの落胆が,しかし鮮烈に迫ってくる.それなのに園子に会えて,心の底から嬉しかった.だから悲しかった.
「今日,面白いことあったよ」
 そう言ってから,自分があのバーミヤンの話をし始めたのに麻は驚いた.これは“この1年どうだった?”という問いに合致する答えではないと自分自身ハッキリ理解している.
 だが何故か,麻の口はずっとこの話を紡いでいき,止めることができない.
 そのうち両手はもちろん,マスクに隠れた口許さえも大仰に動きだし,自分の体全体がバーミヤンの話に乗り気になっていくのが分かる.
 自分を端から見れたするなら,親の前で大はしゃぎしながらバーミヤンの曲を歌う小学生の頃の自分をそこに見出だすだろうと,麻は思った.
「懐かしいね」
 園子が目を細めながら,そう言った.
「出会ったとき,そんなこと話してくれたよね」
 その返事が一瞬理解できない.
「えっ……ああ,昔から頭のなかでバーミヤンの曲が流れてたっていうの,前に話してたっけ……ごめん忘れてた」
 取り繕うように麻はそう言う.
「何言ってるの」
 呆れちゃったとでも言うふうに,園子の目がさらに細まる.
「それだけじゃなくて,CMが実在しないって思われてたけど最近Youtubeで発見されやっと実在が確認されたっていうの,一番最初会ったとき話してくれたでしょ?」
 彼女の返事がまた理解できない.本気で理解できない.
「えっ,いや私のことおどかそうとしてる? このバーミヤンのCMが発見されたの今年の1月くらいだよ,だから……」
 麻は思い出す,前に園子と会ったのは今年の1月,1月6日だと.
 本当に“ほぼ1年ぶり”だ.
「……最初に私たちが会ったのその1年前なんだよ,なのに私があなたにバーミヤンのCMが発掘されたなんて話してるわけない.話してるわけない!」
 思わず語気を荒げてしまう.だが結果的にそれで園子は“嘘だよ!”とでも言ってくれると思えた.だが彼女は頬を平手打ちされたように後退り,本当に,本当に驚いたような表情を浮かべる.剃刀で切り裂かれたように,その両目が見開かれる.
「な,何でそんな怒ってる,怒ってるの?」
 園子の体が震え始める.
「だって美穂,話してくれた,話してくれたよ.あの時,本当に話してくれた.バーミヤンのこととか,小学生の時のこととか全部」
 園子は絞り出すように言葉を続ける.
「美穂も,私の記憶なんて全部嘘だって,そう言うんだ」
 その言葉を聞きながら,麻は今こそ頭であの場違いなまでに明るいバーミヤンの曲が流れてほしいと,心の底から思った.
 だが流れることはない.
 耳に神経を集中してそのどこかにあるスイッチを押そうとしながら,それは押されることがない.何も流れることはない.あんなにいつも励ましてくれていたのに,あの高槻園子という女に弄ばれる自分を今は馬鹿にする.静寂によってせせら笑ってくる.
 と,何かが触れる感覚があった.
 そして気づく,自分の耳を園子の指がすがるように触れてきていると.
 冷えた指先に撫でられるなかで,耳がどうしようもなく熱くなっていたことにもまた気づいた.
 触られるがままでいるうち,激熱の過剰さが収まっていくような感覚がある.心地よい.彼女に触れられることの嬉しさ.久しぶりに心から楽しむことができる.
 これがずっと自分の求めていたものだと,麻は思う.
 だが,そのうちある音に気がついた.
 耳の裏側を触られる時,ソファーの革に体を擦りつけるようなくぐもった,厭な音が響く.
 それがどんどん大きくなる.
 どんどん.
 そしてあのくぐもった音が歪んでいく.
 彼女の指が,耳の内側に入っていく.そんな気がする.
 自分に近づいてくる.
 園子の指が小さな穴に入ってきて,外耳道を我が物顔で突き進んでいく.そうして薄い鼓膜を事も無げに突き抜けていく.奥には中耳という空間が広がっていた.ここには耳小骨と呼ばれる,音を神経に伝えるための3つの小さい骨が存在していたんだった.それぞれがツチ骨,キヌタ骨,アブミ骨と呼称される.そしてその奥が内耳となっていて,この空間には蝸牛と平衡覚を司る前庭,それから3つの半規管,いわゆる三半規管が収納されている.まず蝸牛とは“かたつむり”の別名なのだが,これは形が正に“かたつむり”に似ていることから名付けられていた.ここにはリンパ液が入っており,先述した耳小骨の振動によってそれが揺れることになる.この揺れを有毛細胞が捉えていき,電気信号に変えた後に,蝸牛神経に伝えていくということなのだ.この具体的な作用は次のようなものとなる.ここにおいて鍵となる存在がコルチ器だ.この器官は蝸牛にある膜の1つ,基底膜の上に2種の有毛細胞を持つ感覚器官である.蝸牛軸に対しコルチ器は螺旋状に曲がっているため,ラセン器と呼ばれることもある.この器官においてリンパ液を伝わってきた音の振動を有毛細胞が感知するけれども,有毛細胞は蝸牛の内側に並んでいる細胞で,場所によって担当する周波数が異なるという特徴がある.振動が刺激へと変換された後,有毛細胞からは神経伝達物質が放出されるのだが,聴神経の終末部も刺激され,活動電位と呼ばれる電気信号が発生していく.このようにして生じた信号は,音情報として詳細に分析されながら蝸牛神経を通じて大脳に伝えられて,そして大脳皮質の聴覚をつかさどる部位がその信号を処理する時,人間は“音が聞こえた”と認識するのだ.
 園子の指がその一連の反応を見たあと,おもむろにピンと伸びる.
 美穂の頭のなかで何かがカチッと鳴った.

 バーミヤン! バーミヤン!
 モリモリ! パクパク! モォリパクパク!
 ワッハハァ! ワッハハァ!
 みんなでバーミヤン!
 中華で笑おう! バーミヤン!
 バーミヤン! バーミヤン!
 モリモリ! バーミヤン! パクパク! モォリパクパク! バーミヤン! バーミヤン! ワッハハァ! ワッハハァ! バーミヤン! バーミヤン! バーミヤン! バーミヤン! みんなでバーミヤン! バーミヤン! 
バーミヤン!バーミヤン!バーミヤン!
バーミヤン!
バーミヤン!バーミヤン!バーミヤン!バーミヤン!バーミヤン!バーミヤン!バーミヤン!
バーミヤン!バーミヤン!バーミヤン!バーミヤン!
バーミヤン!バーミヤン!バーミヤン!
バーミヤン!バーミヤン!
バーミヤン!
バーミヤン!

私の文章を読んでくださり感謝します。もし投げ銭でサポートしてくれたら有り難いです、現在闘病中であるクローン病の治療費に当てます。今回ばかりは切実です。声援とかも喜びます、生きる気力になると思います。これからも生きるの頑張ります。