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ある書団体の展示会に参加していた障害者施設入所者の書作品

今、墨と筆を持たされたとしたら、自分は何か書けるか?書道などしたことがないから、筆の運び方も字の書き方も分からない。絵のような字を書ける人は、普段の字を書いてもとてもきれいに書けるはずだ。自分に作品などできるはずがない、などといろいろなことを気にして、筆は進まないだろう。

この展示会に参加した障害者施設。おそらくだが、ここに作品を展示された人たちは、他者の評価などほとんど気にすることなく、自己の中の感覚をありのまま表現しているのではないか。もちろん筆を持ちたくない人も楽しめていない人もいるだろう。一見、全面を塗ったように見える作品も、実は最初にいろいろな形を書いて、その上からさらにそれを塗りつぶしていることがある。他人から見れば「もったいない」と思うが、彼にとってはそれがしたいことなのだ。そしてそれが立派な作品になっている。何か意義を見つけて美化するつもりは毛頭ないが、作品からこの人たちが持つ独自の鋭い感性、何の見返りも求めない素の感情が伝わってくる。

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