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2050年に向けた再エネ導入量の計画案に見る日本政府の危機感欠如

今朝の日経新聞で、政府が2050年の再エネ発電目標を50~60%で検討する方針という報道がありました。日経の記事では「海外並み」としていますが、その内容には政府の危機感のなさを感じ取るべきだと思います。

「遅れているから」海外並みの目標でもいいのか

記事中にもありますが、日本の発電電力量に占める再生可能エネルギーの比率は18%程度に止まります。一方でドイツが42%やイギリスが39%という高い水準だと言及されており、これだけ水をあけられている中で各国並みの目標を掲げるのはスゴイ!というのが日経の記者さんの感覚なのかも知れません。

しかし、これからのエネルギー転換はまず「電化」が進むことが前提です。再生可能エネルギーというと発電ばかりが取り上げられますが、日本国内の電化率は2018年度時点で26%程度なので、国内で使われるエネルギーの74%は電気以外です。

ということは、今のままではどれだけ再生可能エネルギー電気を増やしていっても社会の脱炭素化にはほど遠いことになります。発電の再エネ比率を50%にしても、社会全体で使うエネルギーの13%にしかなりません。

電化社会の到来を見据える

最近になって自動車のEVシフトが話題になっていますが、こうした化石燃料を使っている分野も電化を進めることによって再生可能エネルギー電気を利用するようにし、脱炭素を果たしていくというのが基本路線です。

そうなれば、社会の基幹的なエネルギーとなる再生可能エネルギー電気の比率が高まるだけ、脱炭素に向けた動きも進むことになるわけですから、2050年にゼロエミッションを目指すなら再エネ発電比率が50~60%というのは現実を見ていないという解釈になります。

日本の再エネ導入が明らかに諸外国から周回遅れになっている中では、野心的な目標を示して追いつき追い越すことが必要であるはずです。これまでの議論の延長線上で数字を積み重ねるような状況には、著しい危機感の欠如と本気度のなさを感じざるを得ませんし、マスメディアもそれを追認するべきではないと思います。

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