![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/112820906/rectangle_large_type_2_644b16b4a5b191bf55ae3d527c8e7d66.jpeg?width=1200)
六甲高山植物園にて森和男先生の植物ガイド
2023年7月15日
六甲高山植物園にて
海抜865mの六甲高山植物園。この日は濃い霧に包まれ、幻想的な雰囲気が漂っていました。
園内を歩きながら、森和男先生の植物ガイドをお届けします。
![](https://assets.st-note.com/img/1691379244038-JEMq75NtIu.jpg?width=1200)
1949年兵庫県西宮市に生まれる。1968年大阪府立園芸高等学校卒業。現在、植物自由業、東アジア野生植物研究会主宰。
六甲高山植物園アドバイザー、白山高山植物研究会理事
白馬五竜高山植物園顧問
第26回 松下正治記念賞受賞(公益財団法人松下幸之助記念財団)
![](https://assets.st-note.com/img/1691379371536-S5XNL1QtmF.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1691379426540-JDGhbnmwAK.jpg?width=1200)
◆アリマウマノスズクサの発見と牧野富太郎博士
![](https://assets.st-note.com/img/1691462263086-D0SGtB08vt.jpg?width=1200)
牧野博士が神戸で見つけたアリマウマノスズクサは、新たな種でした。興味深いことに、同じ日に阪神電鉄や西宮高等女学校の教師も同じ植物を採集していました。しかし、牧野博士が東大講師であることや、ホソバウマノスズクサとアリマウマノスズクサが同一のものであることなどが明らかになり、牧野博士が発見者として認められることとなりました。
このように、牧野博士は植物学の分野で多くの偉業を達成しましたが、その成功には様々な人々や出来事が深く関与していたことがうかがえます。
◆夕方咲く魅惑の花
![](https://assets.st-note.com/img/1691458478133-oTonGSapc2.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1691380012196-A4VRXZsNF7.jpg?width=1200)
ユウスゲは、日本各地に広がるヘメロカリスの仲間で、夕方に美しい花を咲かせます。その花は鮮やかなレモンイエローで、上品な香りが漂います。森先生によれば、ユウスゲを玄関に植えると、夕方に訪れるゲストに控えめな魅力と心温まるもてなしを感じさせることができると言います。また、ユウスゲのつぼみは中華料理の金針菜としても楽しまれています。
◆キレンゲショウマの魅力
![](https://assets.st-note.com/img/1691458594001-ZWU8i1hBSz.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1691458647607-Up13f4m0oH.jpg?width=1200)
「らんまん」で矢田部良吉教授(田邊教授)が命名したキレンゲショウマ、学名はキレンゲショウマ・パルマータです。四国の剣山では8月上旬に見事な満開を迎えます。
六甲山では、日本の植物園の中でも最大級の群落が広がっています。この植物は5年ごとに植え替えることで増えやすく、花壇を埋め尽くして手入れの手間を減らす利点があります。ヨーロッパやアメリカでも庭園のおしゃれな装飾として愛されています。
キレンゲショウマは一年にわずか一週間しか花を咲かせませんが、森先生はその瞬間を楽しみに待つことの素晴らしさを語ります。また、種を蒔いても自分が亡くなってから花が咲くかもしれないし、咲いたとしても見ることができるかどうかは分からない、それでも良いと述べています。また、長期間花が咲き続けるように改良された植物は飽きてしまうことがある。本来咲く時期にその美しさを楽しむべきだと森先生は考えています。
◆“六甲ブルー”ヒメアジサイ
![](https://assets.st-note.com/img/1691458758177-0dXsiAtDbs.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1691458799016-2QBqS4PokL.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1691458849066-jsa29OB77E.jpg?width=1200)
戸隠で牧野富太郎博士が見つけた新しいアジサイですが、実はその前に六甲山にも咲いていました。アジサイを植えるアイデアは、阪急電鉄の創業者である小林一三氏からの提案でした。彼は六甲山を活性化させるため、阪神電鉄にアジサイの植栽を依頼したのです。そしてその結果、美しい青い花を咲かせるヒメアジサイが登場し、その景色は「六甲ブルー」と称される美しい風景を創り上げました。
◆六甲山の自然に咲く美しいアジサイ
![](https://assets.st-note.com/img/1691459365151-03Xw1NtdTx.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1691459398188-g07W85nmQn.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1691459463728-YexzDEf16i.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1691459501410-kAMzQXd8KJ.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1691459834599-wnwKpEtVtz.jpg?width=1200)
六甲山には多くのアジサイが自生しています。
その中でも特に魅力的なのが、6月に咲く可憐なコアジサイです。しかし、アジサイの仲間の中でも、コアジサイは育てるのが一番難しいとされています。こぼれ種は発芽しても、種をまいてもなかなか発芽しないことがあり、また挿し木も上手くいかないことがあります。そんな中でも、花が咲いている時期に挿し木を行うと、成功率が高くなります。アジサイの仲間は花だけを切り取って挿すと、比較的容易に根付く性質を持っています。
◆園内の様子
![](https://assets.st-note.com/img/1691462051055-XmQpD3aubQ.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1691460177185-75tTEGSdvk.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1691460233153-5WiSesW6Gg.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1691460275007-0Fv8ZnuDMU.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1691460387027-hx8jlLopXW.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1691460970064-hzgt5xd94f.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1691461218034-iOCxUgDs5t.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1691463988214-37oyZ34LOE.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1691461389587-qjLJMkbdBf.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1691461508097-6A7AoWys8Q.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1691462723642-K0OaTYtjVb.jpg?width=1200)
◆ウチョウランの驚くべき復活と自然の教訓
ウチョウランは明治40年頃、芦屋川で見られ、のちに乱獲により姿を消しました。しかし、40年後、自然の力で再び咲き誇りました。その後、山が緑化され、日当たりが悪くなると再び姿を消しました。森先生は、二次林の時期には植物が多様で豊かであることを強調されています。
山を守るため、ボーイスカウトがニセアカシアやヤシャブシの種を配ったが、それが逆に山を埋め尽くす結果となり、生態系が破壊されました。また、ヤシャブシは花粉症の原因ともなりました。森先生は、湿地帯ができ、貴重な植物が生えていた二次林の時期に触れ、ススキなどが生えることで湿地帯が乾燥し、貴重な植物が失われたことを指摘しています。六甲山の自然を守るために湿地帯の保護が必要だと訴えています。
このあと「六甲山ボタニカルフェア 牧野の足あと」の様子もアップします。
森先生のインタビューも後日掲載します。