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伏竹短弓(複合弓) オオバケヤキ+竹 Bamboo backed short bow


以前に投稿した槻弓。

この槻弓の完成以前に、折れてしまったものがある。
入手した材の目が切れていたため、スカーフ接合で継いで製作した。
膠で継いだが剥がれてしまい、継手をちょっと工夫してエポキシで再度継いだのだが、結局、継手の基部で折れてしまった。

スカーフ継ぎ
接合部付近が弱い
結局折れた。接着部は剥がれず。

捨てるのは惜しいので、Z-スプライスで継いでみる。
全長120cm。

Z形の継手を切る
タイトボンド IIIで接着し、整形。
亜麻糸巻で補強
やはり継手付近が弱いが、弦掛はできそう。

結局、弦掛け中に折れた。
やはり継手基部から。接着面は剥がれていない。

結局折れた。
Zの頂点が起点
また短くなってしまう。

しぶとくV-スプライスで継ぐ。Zに切るだけの幅がない。。
全長100cm。接着剤はTitebond III.

少しでもストレスを分散すべく、頂点部に丸みをつけてみた。
整形
かなりまずい。
少し放置していたら、折れていた。

もういいかと思ったが、もう一度、V-スプライスで継ぐ。
このままでは間違いなく折れるので、背に竹を貼ることにした。
やむを得ず複合弓化。伏竹弓となる。もはや92cm。

足りない部分は別の木片で補う。それほどの強度を期待していないので、これで良い。
整形

3年ほど前、竹の二枚合わせ弓を製作した。

竹を二枚貼り合わせた弓。150cm

材料にした竹(自然に乾燥した生竹)が残っていたので、これで外竹を作る。
火を入れずに放置していたため、虫に食い荒らされていた。
一年ほど前に、大量の竹粉を発見、虫の存在に気づき、焼いて駆除した。
既に手遅れであった。

節の形状(一輪)と入手場所から、孟宗竹と推定。
内側は脆くなっており、簡単に節を飛ばせる。ぼろぼろ。
削る

食い孔(溝)を完全には除去できないが、何とかなる程度に削ぐことができた。約3mm厚。

炙って真っすぐにし、更に削って完全に直滑な面を作る。

継いだオオバケヤキの背を削り取る。

もう引き返せない。

膠で接着。Titebond Genuine Hide Glue.
何故かは公開されていないが、常温で液状膠となっている優れもの。

臭いは間違いなく膠
オープンタイムが普通の膠より長いので、少し余裕がある。
余分な竹を削り落とす
それらしくはなった。

ティラーリング。ヘロヘロの竹を貼っただけだが、とても硬くなった。
しかし、片側だけが曲がり出す。末端付近の接着面が剥がれていた。
引きながら触ると、遊動しているのが分かる。

薄竹一枚で張力も成りも大きく変化。
急に片側が曲がり出す。
膠なので母材破壊には至らず、再接着できる。
再接着。

再接着後、何度か引くと、今度は再接着した部分のみ残して剥がれた。
膠の良いところは母材破壊が起きにくいこと。

再接着しなかった側が剥がれた。

母材が無事なら再接着できる。

亜麻糸補強。

微修正(削り)を繰り返す。
亜麻糸で作った弦を掛けて引く。同時に弦伸ばし。

何とかなりそう。

何とか形になった。
弦を引かない状態では、未だ若干いびつだが、これ以上は削りでは対応できない。引いた時にはかなり対称形に近づく。また、弓を押すことで微妙に形を変えることはできる。根気よく続ければ良くなりそうである。
この辺は、木の単弓では感じない性質である。

もう削らないので、補強亜麻糸を追加。
黄麻紐を鉄媒染して握りにする。
Brace Height(弓把)が低く、普通なら確実に弦に打たれる。
弦を顔によせてから弓のほうを押し、肘が曲がった状態で離す。親指は弓の中心に置く。
こうすると弦に打たれない。
アパッチ コマンチ射法がこのような感じらしい。


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