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2023年は始まる年にします

新年のご挨拶

皆様、大変ご無沙汰しております。
そして、あけましておめでとうございます。
2023年も、どうぞよろしくお願いいたします。

2023年1月4日をもちまして、当店は開業4年目に入りました。
この3年間は、このnoteでもポツポツ投稿してきたように、本当にいろんな活動をしてきました。
基盤となる製造業はもちろん、コンサルタント業や、カフェ運営など、手探りに手広く活動しました。
開店したと思ったら閉店したり、たいへんお騒がせしてきた3年間でした。
方方にご心配・ご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした。

2023年は、当店としてもとても大きな変化がある年になります。
詳細は3月まで発表できないのですが…
そこに繋がらずとも遠からずなお話を、2023年最初の投稿として綴りたいと思います。
よろしければお付き合いいただければ幸いです。

スペシャルティコーヒーとコーヒー文化

もはや聞き馴染みのあるコーヒー用語として市民権を得つつある雰囲気も漂う「スペシャルティコーヒー」。
当店の発信を追ってくださっている方々でしたらなんとなくお察しいただけているかもしれませんが、私はスペシャルティコーヒーをほとんど推奨しておりません。
より正確に申し上げるならば、「スペシャルティコーヒー」を取り巻く業界の動きに憂いがあるのです。

あらためてスペシャルティコーヒーの説明はするのも野暮かもしれませんが、簡単にまとめるならば「氏素性がはっきりしている、上質な香味をもったコーヒー」のことです。ここでいう氏素性とは、生産国はもちろん、生産地域、生産者、品種、収穫年度、他にも様々な情報を指します。また、上質な香味とは、国際的な有資格者がカッピングという作業でもって80点以上をつけられる水準であることを指します。

氏素性がはっきりしていれば、どんな条件で生み出された香味であるかを特定できるのはもちろん、特に生産者や生産地域の風味特性を保存できるため、持続可能なコーヒー生産に寄与できます。加えてそれが上質な香味であれば、生産者や生産地域のブランド形成が成され、ワインのように、上質な香味に高い価値が認められるようになります。優れたコーヒーを生産しようとする努力が、収入増に繋がる市場が形成される。コーヒー業界としては、一つの正解と思えるかもしれません。

しかし、現実的にはコーヒー業界がその理想形に向かうことは難しいかというのが正直なところです。

まず第一に、スペシャルティコーヒーの上質な香味は、浅煎り寄りの焙煎度でのみ活きます。なぜならコーヒーは本来は果実の種子であり、フルーツ由来の酸や糖を活かしてこそだからです。もちろんコーヒーに含まれる成分はもっと複雑で、深煎りでこそ活きるものもあります。しかし、スペシャルティコーヒーの黎明期に脚光を浴びた、かの有名な「パナマ・ゲイシャ」がもつ、浅煎りで感じられるレモンティーのような衝撃的なフレーバーによって、スペシャルティコーヒーのあるべき姿が一意に定められてしまいました。これは多少過言ではありますが、実際にスペシャルティコーヒーを複数味見させると大多数の顧客はフルーティで複雑な明るい酸を感じさせるものを「これが特別」と指します。深煎りに仕上げたマンデリンの深みのあるコクに対しては「コーヒーらしい」という感想こそ抱いても、フルーティさの強いコーヒーの方を「なんか違う、高そう」と言う傾向にあります。

第二に、スペシャルティコーヒーが登場したとしても、コーヒー1杯への支払額は大多数の人が高めないと思われます。2013年以降、気がつけば今年で10年目になりますが、コンビニで100円程度でかなりコスパの高いコーヒーが楽しめるようになりました。スペシャルティコーヒーに対して「なんか違う、高そう」という感想を抱く人が増えたのも、コンビニコーヒーによってコーヒー好きの味覚・嗅覚が強化されたことに一因があります。しかしながら、逆に言えば日常的にコンビニコーヒーを飲んでいる人にとっては、スペシャルティコーヒーにわざわざ1杯1,000円前後も出せませんし、継続的に出す意味が見いだせないのも無理ありません。とはいえスペシャルティコーヒーは1杯数百円で出し続けられる代物ではありません(500円とか600円で出しているお店があるならばそれは生産者を搾取する企業と何も変わりありません)。

第一、第二の話から、コーヒーを飲む人々が「浅煎りのスペシャルティコーヒーこそ志向」派と、「コンビニコーヒーがコスパで優れるしわざわざ高い金額出して飲むほどの価値をスペシャルティに見いだせない」派に二分するのは、想像に難くないかと思います(実際にご自身がどちら派かであるかを考えてみてください)。そしてこれも想像できる通り、その2派はほぼ相容れることはありません。どちら派が正しいということもないのですが、景気後退の社会情勢を鑑みると、嗜好品への支出額を増やす方向にはいかないと思われますので、スペシャルティコーヒーにおけるコーヒー文化の醸成は難しいのではというのが当店代表の筆者の見解です。

補足的に、第三の問題としては、スペシャルティコーヒーの上質な香味は、複雑さを呈しつつも結局単純化すると思われることが挙げられます。例えばコスタリカのゲイシャ・ナチュラル精製の豆などでは、微妙なセンテンスでの差異はあれど、パナマ・ゲイシャと香味の方向性としては大差ありません。特に昨今のスペシャルティコーヒー専門店を開業する方はスペシャルティの経験は豊富であれど一般流通品の経験に乏しいため、生産国由来の風味特性の活用技術に欠けるケースが目立ちます。さらに厄介なことに、店主が好みの銘柄を取り揃える傾向にあるため、商品数が多くてもどれも似たような香味であり、どれを選んだら良いのかわかりにくいなんてこともザラです。微妙なセンテンスを感じ取れるコーヒーマニアが生半可な知識を語り合う場としてカフェが機能する場面が増えましたが、それはあくまでマイノリティですので、コーヒー文化として醸成することは難しいと思われます。

コーヒー屋として取り組むべきこと

以上のことから、少なくとも当店は(というより筆者としては)スペシャルティコーヒーの啓蒙よりももっと本質的なコーヒー文化の醸成に取り組みたいと願っております。
具体的なことはまた話せませんが、
2023年は、
当店の信念に基づく活動に注力できるよう、
より一層尽力していきたく存じます。

今後とも、ご声援のほど、何卒よろしくお願いいたします。


GreenFive Coffee
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