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ケーススタディで身につける技術対応力

コーヒーの美味しい淹れ方を説いた本は数多くあります。ハンドドリップに限らず、サイフォン、コーヒープレス、エスプレッソ、エアロプレスなど、淹れ方を問わず世の中には情報が溢れています。
しかし、実際の現場(店舗に立つプロに限りません)においては、情報通り、理想通りの状況で淹れることはほとんど不可能ではないでしょうか。コーヒー豆の鮮度は日々変化しますし、気温が変われば抽出中の冷め具合も変わってきます。一般家庭ではコーヒーミルの清掃も怠りがちですので、前の味が混ざることもあれば、最悪は刃が劣化して挽き具合が変わってしまうこともあります。
なんでもいい、適当で大丈夫、という考えでなければ、どうせなら上手に淹れたいと思うのが人情だと思います。そこで今回は、抽出における技術対応力の身につけ方についてお話いたします。

コーヒー豆の鮮度変化に対応するには

もっとも対応力が求められるのは、コーヒー豆の鮮度変化に対してです。
コーヒー豆は、焙煎してから1〜2日目くらいは内包するガス量がとても多いです。そして3〜10日目くらいで香味のピークを迎え、それ以降は徐々に劣化していきます。加圧包装でなければ、1ヶ月を過ぎると本来の香りはほとんど喪失し、苦味と収斂味が立っています。
特に自家焙煎をしている方は、日々変化するコーヒー豆の状態に対応しなければなりません。大まかにいえば、ステージ1(焙煎日〜2日目)、ステージ2(3〜10日目)、ステージ3(11〜30日目)、ステージ4(それ以降)の4段階では、最低でも抽出方法を変えるべきです。
ステージ1では、ガス量が多く蒸らし不足になりがちですので、蒸らしに使用する湯量を増やす、あるいは蒸らし時間を伸ばすなどの対応が必要です。
ステージ2では、比較的理想的な環境で抽出が可能です。
ステージ3以降は、ガス量が変化しているのはもちろん、空気にさらされたコーヒー成分の劣化にも注目しなければなりません。特に、酸化したコーヒーオイルは要注意です。蒸らし時間を短くする、あるいはトータルの豆量を増やした上で粗挽きにするなど、雑味を低減する対応が必要になります。
こうしたステージ別の対応は、豆の個性や焙煎度、あとは当然お好みに合わせても変わってきますので、経験が物を言う世界になります。ただ、鮮度が落ちるとどんな香味になる、挽目や蒸らし時間を変えると香味にどんな影響が出るかは、ある程度勉強すれば身につきますので、知識を得た上で経験を重ねるようにして下さい。

気温などの環境変化に対応するには

夏場や冬場といった極端な環境下では、コーヒーの抽出における温度変化は注目すべきポイントです。最近では抽出前にポットの中に温度計を刺して湯温を測る方も増えてきましたが、環境変化で注意すべきは、そこではなくむしろ抽出中の湯温です。特に冬場は冷めやすいため、保温性のあるドリッパーを使用するなどのインフラ面の強化、あるいは抽出時間の延長(温度が低いと抽出不足になりがちなので)をするなどの技術的な対応も必要です。

粒度の変化を敏感に感じ取る

ミルの劣化や、前回抽出分の粉の混入などは、メンテナンスをするしか対応方法はありません。しかし、ミルはなかなか買い替えが難しい器具ですので、技術的な対応で乗り切る必要があるタイミングも必ず出てきます。
突然ですが、お手元のペンの先で、二の腕を触ってみて下さい。指で触っているわけではないのに、柔らかさを感じられますよね。では、次に同じくペン先で、テーブルを触ってみて下さい。こちらも硬さを感じられるかと思います。このように、人間の感覚器官は、物を介しても十分に働くことができます。
同様のことを、ドリップポットのお湯でできるんですよね。お湯を粉に注いだ時、粉面の感触をお湯先で感じ取ることで、「いつもより挽目が粗い」「細かい粉が多い」などの情報を得ることができます。
これは上級者向けの技術対応力ですが、かなり有効ですので、ぜひ身につけてみて下さい。

ケーススタディを重ねる

ここまでお話してきた技術対応力は、知識はもちろんですが、経験も重要です。そしてその経験とは、自宅で自分一人のためにコーヒーを淹れる、理想的な状況だけで重ねても、決して身につきません。理想的な状況と、現実のケースとのギャップを体験し、それを重ねる「ケーススタディ」でのみ身につきます。
コーヒーを淹れるお仕事でなくても、コーヒーを少しでも上手に淹れられるようになりたい方は、ぜひケーススタディを重ねてみて下さいね(^^)

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