エアロプレスで味わうコーヒーそのものの味わい

当店がカフェ店頭で使用しているコーヒー抽出器具の一つに、エアロプレスというものがあります。お手軽かつ安定性が高い、また1杯分を淹れるのに最適な器具というメリットがある器具ですが、最大の特徴は「豆の個性を引き出す」というところではないでしょうか。

ピストンにより圧をかけて抽出する

エアロプレスは巨大な注射器のような器具で、コーヒー粉とお湯をなじませて、ピストンでフィルターからコーヒー液を押し出すようにして使用します。このとき、エスプレッソほどではありませんが、圧力を伴う抽出がなされます。そのためコーヒーの個性が強く引き出され、ハンドドリップよりもお手軽にコーヒーそのものの味わいを楽しむことができます。
ただ、コーヒーの個性を簡単に引き出せるという点では魅力的ですが、見方を変えれば、美味しくないコーヒーはちゃんと不味くなる、ともいえます。これはランクとして低級なコーヒーもそうですが、経験的にはむしろ鮮度が低いコーヒーの悪い香味が際立つ傾向が出やすいです。実験のために、粉で挽いて数時間経過したコーヒーで抽出したことがありますが、劣化したコーヒーの典型的な苦渋味が強く感じられ、とても飲めたものではありませんでした。

誤魔化しが効かない「ペーパーコーヒー」

ハンドドリップにおいては、素材そのものの香味をいかに引き出し、あるいはいかに抑制できるかが肝といっても過言ではありません。しかし逆説的ではありますが、低級なコーヒーでもそれなりに美味しくすることも可能であるのが、ハンドドリップのメリットでもあります。これは自家焙煎店としては、ある程度は誤魔化すことができることを意味します。当店も、焙煎後十数日が経過した豆を使用することもありますが、個性を引き出しつつクリアな口当たりになる落とし所に着地させるドリップを行っております。
しかし、同じくペーパーフィルターを使用するエアロプレスは、豆の鮮度に合わせた調整というのはほぼ不可能といえます。これが金属フィルターで濾す「コーヒープレス」ならばまた少し話も変わるのですが、ペーパーフィルターで濾す「ペーパーコーヒー」では、なまじクリアさがある分、誤魔化しようもないのです。ある意味、趣味でコーヒーを飲む分には、エアロプレスでの味わいをものさしとすることができるため便利ですが、店舗でエアロプレスを用いる場合は、お客様に劣化がバレやすい分、注意が必要です。

ご自宅でお手軽に素晴らしい風味をお楽しみください

すこしマイナス方面のお話をいたしましたが、趣味でコーヒーを飲まれる分にはエアロプレスはとてもおすすめです。ドリップよりも安定した抽出が可能ですし、特に自家焙煎店が近所にある場合は、いろんな豆の個性を簡単かつ正確に、美味しく楽しむことができます。
エアロプレスは残念ながら当店でのお取り扱いはございませんが、Amazonなどのショッピングサイトでお買い求めいただけます。コロナ渦のなか、ご家庭でコーヒーを飲まれる機会も増えたかと思いますので、この機会にぜひ導入してみて下さいね(^^)

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