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「コーヒーの品質」の再定義②

今回からは、よりコーヒーにフォーカスを当ててお話したいと思います。
なお、ここでは私自身が提唱したい定義について検討しておりますので、予めご了承いただければ幸いです。

「コーヒーの品質」の定義について

主題では「再」定義と申しておりますが、実は現時点でコーヒーの品質について確固たる定義があるわけではありません。本やネットでざっと調べてみましても「高品質=美味しい」くらいの定義しか提唱されておらず、客観性に乏しいといわざるを得ません。

「スペシャルティコーヒー」の定義について

現在、もっとも品質が高いと認識されているスペシャルティコーヒーですが、こちらは定義があります。

「スペシャルティコーヒーとは、消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。」
「風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。」
「カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。」
「具体的には、生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正になされ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆であること。
そして、適切な輸送と保管により、劣化のない状態で焙煎されて、欠点豆の混入が見られない焙煎豆であること。
さらに、適切な抽出がなされ、カップに生産地の特徴的な素晴らしい風味特性が表現されることが求められる。」
引用:SCAJのホームページより

定義だけあって小難しい感じですが、論法としては明確ですね。ざっくりまとめてしまえば、いわゆるトレーサビリティ(追跡可能性)がしっかりとしていて、生豆も焙煎豆も欠点豆が極めて少ない、美味しいコーヒーのことを意味しているといえます。明確です。ここで「美味しい」については「生産地の特徴的な素晴らしい風味特性が表現され」ていることと書かれていますが、具体的にどんな風味がそうだといえるのかについては、カッピングやフレーバーホイールなどで表現化に取り組まれています。

スペシャルティコーヒーは「高品質」といえるかどうか

スペシャルティコーヒーの定義は前述の通り明確です。しかし、それが「高品質」を意味しているかどうかは明らかではなく、事実、定義内でも「高品質」「品質が高い」といった表現は一つもありません。そのためスペシャルティコーヒー=高品質というのは、消費者やメディアがイメージ付けた認識といえます。
ここで前回の記事内でお話した「品質の定義」について思い出しますと、品質とは「製品やサービスなどが、顧客からの要求事項やニーズにどれだけ合っているかを示す程度」のことでした。いうまでもなく、「顧客からの要求事項やニーズ」は「顧客」毎に変化します。そのため、「トレーサビリティ(追跡可能性)がしっかりとしていて、生豆も焙煎豆も欠点豆が極めて少ない、美味しいコーヒー」のことであるスペシャルティコーヒーも、それを求めているわけではない顧客にとっては高品質とはいえない可能性もあるのです。
例えば、以前私が一緒にコーヒー屋に行った知り合いにスペシャルティコーヒーを飲んでいただいたところ「酸っぱいし何か薄い。インスタントの方が美味しい。」と言われてしまいました。少しショックではありましたが、同時に「そういう意見もある」と気付かされました。美味しさについては結局個人の好みに左右される部分が大きいため、そこを品質基準に据えるのは無理があるといえます(以前の記事では、自分の中の「美味しい」を考えたい積極的な顧客を想定しているため、今回のお話とは分けて理解していただければ幸いです)。

当店が提供する「高品質なコーヒー」とは

当店では口酸っぱく「高品質なコーヒーを提供しています」と宣言しており、決して「美味しいコーヒーを提供しています」とはいいません。それは、ここまでお話してきたような事情を鑑みているからです。当店では「製品やサービスなどが、顧客からの要求事項やニーズにどれだけ合っているかを示す程度」=品質を高めるために、お客様ひとりひとりにヒアリングを行い、お客様だけのオリジナルブレンドを作成したりしております。場合によっては、自社製品でないインスタントコーヒーを勧めることだってあります(それがよりニーズに合っていると感じた場合)。「高品質なコーヒー」とは、お客様に寄り添い、要求事項やニーズに合わせたコーヒーといえるかもしれません。

さて、国語的な論法による定義付けができました。しかしこれではあまりにも具体性に欠け、またそのために必要なことも明らかにできておりません。そのため次回はそのあたりについてお話したいと思います。

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