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間違われやすいコーヒー用語

私は大学院時代、コーヒーに関する研究を修士論文にまとめました。その中で、コーヒーに関する用語の表現や読み方について、一語一語細かく注意して使用するようにしていました(学術論文なので当然ではございますが…)。そして、いま改めてコーヒーに関する本や記事を読むと、本当に多くの間違いを散見することが、かねてから気がかりでした。そのため今回は、間違われやすいコーヒー用語の表現や読み方について、ざっと思いつく限り列挙していきたいと思います。

スペシャルティコーヒー

はい、まずこれですね。近年は大手ニュースサイトなどでも気軽に使われつつある用語ですが、これが結構な頻度でスペシャ「リ」ティコーヒーと表記されています。
まずはそれぞれの違いについて。細かいことですが、「スペシャルティ」はアメリカ英語で、「スペシャリティ」はイギリス英語なんです。そして日本においてはSCAA(米国スペシャルティコーヒー協会)に準拠しているSCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)が設置されているため、日本語表記としてはスペシャ「ル」ティが正解なのです。
もちろん、ヨーロッパにはSCAE(ヨーロッパ・スペシャリティコーヒー協会)があるため、そこから明確に仕入れているのであればスペシャ「リ」ティの方が正しいです。ただ日本で取り扱うならば、基本的にはスペシャ「ル」ティと表記したほうが無難です。

生豆(なままめ)

次はこれです。これもいろんなところで「きまめ」と表記・呼称されているのを見聞きしますが、「なままめ」が正解です。
「生」という漢字をどのように読み分けるかについては、実はソースによって定義が異なります。ただ食品業界において、「なま」と読むときは「そのままの状態(火を入れていないなど)」「き」と読むときは「まじりもののない状態」とされています。
「なま」「き」の例としてはネット上でもいろいろと取り上げられているのでここでは省略しますが、とにかく生豆については「なままめ」が正解ということがご理解いただけるかと思います。

脱殻(だっかく)

これは表記も呼称も間違われやすいのですが、まずは「コーヒー豆とはなにか」を理解する必要があります。
コーヒー豆は、「豆」と言われていますが、正確には豆ではありません。正しくはコーヒーの実の種です。いろんな方法で果肉と殻を取り除き、残った種を焙煎することで、あの見慣れた茶色のコーヒー豆になります。ということで、コーヒーとは豆でもなければ、もちろん穀物でもない、果実なのです。
さて、コーヒーの実から果肉と殻を取り除くと言いましたが、この殻を取り除く工程を「脱殻(だっかく)」と言います。しかし、これが本や記事によっては「脱穀(だっこく)」と表記・呼称されているのです。「脱穀(だっこく)」とは穀物からもみがらを取り除くことを意味するため、コーヒー豆に用いるには誤った用語です。微妙に漢字も違うのですが、端末やOSによっては変換できなかったりもするので、コーヒー関係の話を電子媒体で執筆している方は要注意です。

おわりに

いかがでしょうか。今回は、私が論文執筆の中で高頻度で使用した用語3つについてお話いたしましたが、まだまだ誤用されている用語はございます。ある程度まとめましたら、またこうして記事にしようと思います。

なお、ネット上でも多くの方がまとめられていますが、こうした話はとても細かく厳密にする必要がない部分だったりもします。まして、趣味でコーヒーを飲むのが好きな人同士が「ここって良い生豆(きまめ)使ってるんだってさ〜」「あのさ、"きまめ"じゃなくて"なままめ"だよ。」なんて会話をするなんて、想像するだけで恐ろしいです(笑)
ただ、コーヒーのプロを目指す方であれば、しっかりと押さえておくべき知識ではありますので、参考までにしていただければと思います。

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