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「理に適っている」という言葉の罠

今回は少しクリティカルな話題です(笑)。え、いつもですって?そんなことないですよ〜(笑)

さて、コーヒー業界に限らないかもしれませんが、一定レベル以上〜高レベル未満の方が好んで使用する言葉として「理に適っている」というものがあります。コーヒーに関しては、有名な方(バリスタチャンピオンなどの入賞者であることが多い)の淹れ方や言葉、思想を引用して「非常に理に適っていると思います」などとSNSに投稿されているパターンが多いですね。

「理に適っている」とは

さて、毎回恒例の、言葉の定義のコーナーです(笑)。

「理に適っている」とは、理屈・道理に合うことである。
…デジタル大辞泉

…うん、まぁそうだよねって感じですね(笑)。
正直、コーヒーのような嗜好品において「道理」も何もないと思うので、「理屈に合う」の意味に捉えても大丈夫です。そしてそれは、「合理的である」ともいえます。これ以上説明しようもないので難しいですが、屁理屈をこねない限り「1+1=2だよね」レベルで納得できる理論である、と説明できます。

本当に「理に適っている」かどうか怪しいケースが多い

非常に遠回りな説明をしてしまいましたが、実際には明確に「理に適っている」理論で説明が果たされている抽出方法って、結構少ないんですよね。まぁ正直、理に適っているレベルでの説明なんてほとんどの人が求めていないですし、メディア化してもうるさく思われるだけなので、抽出方法を提示している本人が「理に適っている」という言葉を使うことは少ないです。
むしろ、本や動画を引用して、第三者が「理に適っている」と説明しているパターンのほうが多いですね。だから、理に適っているわけではないのに「理に適っている」と言われる事象が発生します。ある意味風評被害ですね…

つい最近も、とある有名な淹れ方を「理に適った方法ですので紹介します」という動画を投稿している人が、動画内で「この淹れ方で濃度を調整できます→この淹れ方だと薄くなりがちなので濃い目が好きな方は豆の量を多めにすると良いと思います」と説明していました。いや濃度を調整できるんちゃうんかい!

便利な言葉で武装するのはやめよう

マーケティングの世界では「誇大広告」という言葉があります。大げさな表現や、過度に良く見せようとする表現を用いた広告は、「不当景品類及び不当表示防止法」という法律で規制されております。しかし、日本のコーヒー業界では、有機やフェアトレードといった「認証」や、重量ベースで30%以上の配合が定められている「ブレンド」を除けば、誇大広告のような規制はありません。

まして抽出方法、焙煎方法においては、何の規制もないと言っていいです。今年の6月から施行されるHACCP準拠の規制も、あくまでも品質管理の話であって、抽出などは好き勝手に広告しても問題ありません。もちろんドリップをサイフォンと言うようなウソはいけませんが、「理に適った」「合理的な」「計算された」というように、それっぽく見せやすい便利な表現は規制されていません。

ただ「身に合わぬ袈裟」という言葉もある通り、便利な言葉で自らの言論を武装することは、かえって災いと転じます。もちろん他人から淹れ方を教わるのは大切なことですが、自分なりに消化して身に付けないと、深くツッコまれたときに簡単にボロが出てしまいます。そうなると、自分自身の信用を失うだけでなく、その淹れ方の提案者すらも評価を落とすことに繋がりかねません。

安易に「理に適っている」という言葉は、使わないようにしましょう。そして、真に「理に適っている」方法が正しく広がる世界に、みんなでしていきたいです。

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