詩 / 暗示

私はことばにすると私だけど
ほんとうの私ではない

わたしそのものと
ことばでいう わたし には
かいりがある

私ということばのかわりに
あなたをつかうと
乖離が大きくなるから
そうならないように
私を使う

発された言葉は揺るがない
揺れ動く私と違って

ことばと現実に乖離があれば
揺れる私が隙間をうめる

わたしはげんきといえば
げんきということばがゆるぎないので
わたしのほうがげんきということばに
あわせていく

私はしんどいといえば
しんどいと言う言葉が揺るがないので
私の方がしんどいによせていく

わたしにかのうせいがあるといえば
わたしはかのうせいをさがしにいく

私に可能性が無いといえば
私は可能性を探すのをやめる

私の自我はふらふらしている
そんな私の発した言葉には
流動性がなくその場に固着する

固着した言葉は
揺れる私をそこに束縛する

じぶんで いしをもっててっかいするまで
ことばはうごかない

私は私に合った言葉を探している
それは揺れ動く私をささえてくれる

私に合わない言葉は
私に望まない束縛を与える


ことばはゆたかで
いろいろできる

でもこわい部分もある
暗示について思ったこと

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