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35 タイムスリップ

お店に着いた。

座敷のある部屋に通される間も、

少し緊張していた。

すでに彼ら二人は到着していて飲んでいた。


久しぶり

彼の正面の席に座ることになった。

会ってしまえば、想像以上に普通に接する事ができた。


久しぶりに会った彼は、

当たり前だけど、あの彼だった。

私が衝撃的に一目惚れをした、好きで好きでたまらなかった、

あの彼がそこにいた。

相変わらず、私の好きな要素を沢山持っている人だった。


だけど、前と違うのは、

もう期待はしない自分になっていた。

それと、少し前にさよならした人が、

少し・・心の隅にいた。


きっとだから。

普通にいられた。

カップルも普通に楽しそうだった。

いい感じだった。


私は、こんな風にこのカップルを通して、友達付き合いが続いていくのかな?

このカップルが結婚とかしたら、永遠に続くのかな・・。


たわいもない話で盛り上がる。

そして、又今度はどこどこに行こうと、沢山の案が出る。


そんな中、

私の一目惚れの彼A君が突然私に言ってきた。


”二人で会った時なんだけど、、、”

え・・・??・・ 

ドキっ


”俺あのとき緊張してて・・・ごめんね”

えっ??

あの全身からの拒否の空気が・・?

・・・・・・・・・

き・・緊張?

半年も前の事・・

今更・・・?

とは思ったけど、口にはしなかった。


”・・・私も緊張してたから、なんだかごめんね・・”と答えた。


帰り道、

なんとなく二人で並んで駅に向かう。

こんなに自然にあの時も話せたりしたら良かったのにな。

今日はすごく普通に話せる。

そんな事を考えていたら、

”今度、〇〇で飲もう”と言ってくれた。

その場所は、何度か来てくれた私の家の最寄り駅だった。

”うん、飲もうね”


私たちのやりとりを

カップルの二人は、いい感じだね。

うまくいくといいね。なんて言いながらニコニコ楽しそうに見ていた。

半年の間、何も無かったかの様に

まるでこの間の事の様に

そして

またね。とバイバイした。


やっぱり嬉しかった。

嬉しかった。

彼に会えて話せて

嬉しかった。

すごく。



カップルの二人はよく心配してくれて話をしてくれていた様だった。

だから、今日はあの時のこと、謝れよ。と彼に言っていたに違いなかった。

だから突然、謝ってきた。

みんなの前で・・・笑



私は謝って欲しい訳じゃない。

むしろ謝ってほしくない。

Aくんは何も悪くない。

私は急に大好きになっただけで、彼にも好きになってもらいたかっただけ。

彼は別に私を特別好きじゃ無かっただけ。

私と同じ気持ちじゃ無かっただけ。

たったそれだけのこと。

それは仕方がないこと。

この世の男女の間によくある片思い。


頭では分かってる。

でも好きだから、ものすごく好きだから、

ものすごく悲しかった。

受け入れる時間がかかった。


私はあれから

何度も泣いて、忘れられなくて、苦しくてもがいた

忘れる努力をして今ここにいる


私はこの半年、

もがいた。

それを受け入れて乗り越えてきた。

つもり。


ねぇ・・誤解ならもっと早くに言って欲しかった。

もう半年も経過していた。


今日だって、私の友達が連絡したから急に会うことになっただけで、

連絡しなかったら会う予定なんて無かった。

別に気にもとめて無かったくせに、、

なんだかすごく腹が立つ。



多分彼はこの半年

私とは違う感情で過ぎたんだろうな。


なんだか

くやしい。

けど。彼らなりの

多分精一杯の優しさなんだろう。




でも結局

再会出来て、嬉しかった。


あの時にタイムスリップした。




つづき





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