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まずは、お話を聞かせてくださいね

つつじの花もそろそろ終わりかなぁ~。
ピンク色も、きれいね!

少し前、友人からSOSがありました。
お世話になった人なんでなんとかしてあげたいんだけど、あふれるモノの処分をどうしたらいいか困っていると。長年ブティックを経営されていて 閉店以来20年ほど自宅および倉庫に商品を保管したままになっている。
今年の始めにご主人が亡くなられたのを機に片づけたいけど手に負えないということでした。
私が以前友人に渡しておいたチラシを 見せてくれたようです。
こんな人がいるのよ、相談してみませんか?


「ぜひ、来てもらってください」とお返事頂き、
お話だけでもお聞きしましょうか、と友人と一緒にご自宅を訪問しました。

80歳代の一人暮らしの女性。さすが高級品ばかり扱っていらしたブティックの経営者だったので、外国製のブランドに関する知識が豊富です。たくさんのセレブなお客様にご贔屓頂いていたそうです。
小さなブティックだったそうですが、土地柄 有名人も多く、高価でも品質の良い、長く使えるモノを求めるお得意様に囲まれていらっしゃったのですね。びっくりするようなお話をたくさん聞けました。

「グッチはね・・・」 から始まり、、、シャネルや、フェラガモ、ディオール・・・古き良き時代の贅沢な造りのお話は、知らないことばかりでした。
あまり、ブランド物に興味なく育った私でも、知ってる名前ばかり。
ホースヘア(馬の毛)のバッグなど貴重なものも見せて頂きました。

本物の職人の縫製の話、良いものを選ぶ目利きの話、時代とともにデザインも変わってきた話、感心することばかりで大変勉強になりました。

話はつきませんが、かれこれ2時間ほどが経過して
「ところで、処分なされたいものは、どのようなものでしょうか?」



まずは、亡くなったご主人のモノ、とのことでした。
そしてここからが、ご主人のお話。ジャズの世界ではちょっと(じゃないな、かなり)有名な方で追悼コンサートまで予定されています。いっさい家庭には仕事の事を持ち込まない徹底ぶりで、奥様は一度もステージを見たことがないとか。TV放映も知らぬ間に過ぎていたりしてね、、、なんて笑っていらっしゃいました。
逝去されたことは新聞やニュースでも流れていましたので、お名前だけは知っていた私も、目にとめていました。

亡くなってはじめて、ご主人が色々な学校のジャズオーケストラの指導をされていたことも知り、お弟子さんの数の多さに驚かれたそうです。
仕事のことは家庭ではいっさい口にしなかったそうで、
「知らなかったんです、外国に行くときはただ『行ってくる』とは言ってくれましたけどね(笑)」ご主人の顔を思い出しながら話してくださいました。
ご葬儀の折に、ご主人の仕事ぶりをあらためていろんな人から聞くことになって、こんなにも感謝されているのを知ることになり、影響を与えていた人の多さに驚くやら、嬉しいやら、ありがたいことだとしみじみと語ってくださいました。



最初は「処分するしかないんです」とおっしゃっていたのだけれど、、、。
お話をすすめるうちに。

できればそれだけ慕ってくださっていたお弟子さん達に譲るというのはどうでしょう?イタリア製のスーツや衣装、靴、身体に合えばきっと喜んで もらっていただけるのではないかしら??

「あっ、そうね。ネクタイピンやカフスボダンなんかもいいかも。ベルト、もね!」少し気持ちが楽になったように見えました。

手放すか、手元に残すか、心が揺れ動く期間がまだ少し続きそうな気がします。

ゆっくり、でいいと思います。
踏ん切りがついたらお引き受けしますから。


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