見出し画像

オンラインサロン運営2年間の軌跡〜苦悩と挫折、サロン価格の大幅値下げ価格変更に至った3つの理由〜

皆さん、こんにちは。データラーニングギルド代表の村上です。

この1年〜2年程度の間に、オンラインサロンと呼ばれる有償のオンラインコミュニティが一気に増えたように感じます。コロナでなかなか外に出られないような状況の中、新しい出会いや学びを得られる場を求めているという背景もあるのではないでしょうか?

私も、データ分析特化のオンラインサロンであるデータラーニングギルドを立ち上げ、運営して2年程度経ちました。データラーニングギルドは、データ分析に関わる人達がお互いに専門的なことを教え合あったり、中上級者がキャリアの構築をサポートしたり、仕事を紹介しあったり、仕事をする上でのチームメンバーを見つけたりといった所を目指しています。その名前の通り、ギルド的な組織を目指して運営を行っています。

そんなデータラーニングギルドですが、今までは月額4,980円で運営して来たところを2周年という節目で月額980円と大幅値下げに踏み切りました。

価格の改定、2周年記念のキャンペーンで2021年の6月、7月分の会費に関しては無料にさせて頂きますので、興味がある方は是非このタイミングで遊びに来てください!(※一度決済頂いたものを返金するような形で対応させて頂いております)

今回は、何故値下げに至ったのか、その理由に関して執筆したいと思います。オンラインサロンをやる上での難しさや課題感、それに対してどのように考えているのかなどを解説していこうかと思います。オンラインサロンを運営している方、オンラインサロンをこれから運営しようとしている方の参考になると幸いです。そんなに大きな挫折をしている訳ではないのでタイトル詐欺感は否めないのですが、色々なことに悩みながら運営をしています。

価格改定に至った理由を大きく整理すると、大きく三つの理由がありました。それぞれ解説していきたいと思います。


理由①:多様な参加者によるコラボレーションが生まれる相互扶助組織を目指したい

一つ目の理由としては、敷居を下げることで多様な参加者に参加頂くことができ、よりコラボレーションを促進できると考えたからです。現在の4,980円という会費では、非常にモチベーションが高い人だけが残るような状況になってしまっており、緩い繋がりによるメリットの享受がしにくいような状況になっており、それを改善する狙いがあります。

データラーニングギルドの目指すべき姿として、以下のようなデータ人材のキャリアに必要な機能を網羅することを目指しています。

データラーニングギルド_ビジョン発表

こちらの画像を簡単にまとめると、以下のような内容になります。

・体型定期なカリキュラムで学んだり、実際にデータを使って分析してみる体験を通したスキルアップしたりする機能

・仕事の獲得や転職、採用、受託チームの構築といった仕事に直結する機能

・多様なメンバーが集まることによる共同研究的なプロジェクトの発足、同業種間での情報共有などの人脈構築機能

・過去のQ&A集の蓄積、多様なメンバーが参加することにより専門的な質疑応答等が可能になるなど、集合知的な機能

単純な学習塾的なコミュニティではなく、名前の通り、ギルド的な、多様なメンバーによる相互扶助的なコミュニティを目指しています。しかし、運営をしていく中で、教育にニーズがあるメンバーを中心に参加頂き、残って頂いているというのが現状です。コミュニティを立ち上げる際も学習塾や習い事をベンチマークとしてプライシングを決定したのですが、良くも悪くも「新しいことを学びたい」という、学習意欲の高い方に残って頂くような結果となりました。

しかし、上記のような目的を果たすためには、学習者だけでは実現できません。中上級者のデータサイエンティストの方、発注者サイドの方、エンジニアの方、非データ系職種だけど専門的なアドバイスが欲しい人など、様々なメンバーに参加頂く必要があります。その人達に参加頂く理由として、「データ関連の人達の話をなんとなく聞いてみたい」、「フリーランスとして活動しているのでとりあえず接点は増やしておきたい」、「データ関連の職種の方が気にしている情報に関してキャッチアップして、ディスカッションしたい」など様々モチベーションが考えられます。しかし、そのような方にとって4,980円というのは継続的に捻出するのはためらう金額だったのです。仮に少し興味があって入って来たとしても、1ヶ月、2ヶ月程度何もしない期間というのは生まれることがあります。そういったタイミングで、「何もしていないのに1万円もかかっている」という状況が発生して退会に至る。という例が多く発生してしましました。特に、中上級者の方に関しては既に複数のコミュニティに所属していたり、会社で実務的な課題に直面していたりと、常にコミュニティが必要という訳ではなく、そういった状況が発生しやすくなってしまいます。

そういった方でも価値を感じて頂くためには、価格の変更が必須であると考え、今回の価格変更に至りました。


理由②:スケールメリットを最大化したい

二つ目の理由は、人数によるスケールメリットが出るような状況を作って行きたいと考えたからです。データ関連職種に関しては専門性も広く、業種、業界によって必要とされる知識は様々です。また、仕事を発注したい人、仕事を受けたい人、kaggleでチームを組みたい人など様々なニーズを持った人が参加されていますが、アクティブなメンバーが少ないと、なかなかマッチしないということも発生してしまいます。多くの人数が参加することにより、マッチングの比率が高くなったり、人数が居るからこそやれることが増えたりと、多くのスケールメリットを得ることができます。また、コミュニティの熱量を維持するためにも、一定のアクティブなメンバーが必要になってきます。

そういった状況を作ることで、コミュニティメンバーの学習や成長も促進され、強い組織に育てて行くことができます。強い組織によるデータ分析業務の請負などをすることにより、オンラインサロンの会費以上のメリットが得られることが考えられるため(※)、スケールメリットによってコミュニティ全体の提供価値を高めていくことに比重を置くことに方針を転換しました。

※実際に現状でもサロンでの利益は微々たるものです。時間単価で考えると、受託分析の5分の1〜10分の1程度くらいしかありません。

それに伴い、コミュニティ運営の方針もプロジェクト型からコミュニティ型に変更する予定です。今までは「一緒に分析プロジェクトをやってみよう」、「kaggleでチームを組んでみよう」といった形でコミュニティを運営していたのですが、人数が100人を超えた辺りからかなり無理が出てきていました。というのも、ぶっちゃけちゃんとマネジメントしようと思うと、1プロジェクトで5名程度が限度なんですよね。実際の仕事でやる経験者が中心のプロジェクトでさえ大変なのに、ほぼ全員未経験というような状況でのプロジェクトマネジメントとなると、持てても同時に2プロジェクト程度が限界です。そうなると、きちんと面倒が見れるのは10人程度が限界で、残りの90人はただROMっているだけで4,980円を払っているという状況が出てきてしまいます。

採算性や継続性を考えると、データ関連のプロジェクトマネジメントができる人は安く見積もっても時間単価で5,000円以上します。5人のプロジェクトをマネジメントして貰おうと思うと、5時間しか当てることができません。そんな短時間でプロジェクトマネジメントができる訳ないですよね……なので、今の状況を続けるためには、「採算度外視で自分が少数人数のプロジェクトマネジメントを行う」、「めちゃくちゃホスピタリティが高い人が運良くプロジェクトマネジメントしてくれる」というシチュエーションでしか継続が出来ない訳ですね。

そういった状況を避けるため、プロジェクト形式であっても、データと練習問題を提供しながら、コミュニティで相互学習をするような形に変えて行きたいと考えています。


理由③:提供価値する価値がアンバランスなので、提供価値が低い人を基準にした価格設定に

三つ目が提供価値ののアンバランスを是正したいという理由です。こちらに関しては、注力する人が限られてしまう、価値提供のタイミング的なズレが発生する、提供コンテンツにムラがあるといった、複数の要因があります。

注力する人が限られてしまうという問題に関しては、コミュニティという性質上仕方ない部分はあるのですが、どうしても手厚くフォローする人とそうでない人のバランスが出てきてしまいます。手厚くフォローできている方にとっては4,980円という金額は十分に安い金額だと思います。スクール等で密度高くやる場合10万円以上かかるので、ピンポイントで必要なアドバイスを現役のプロから聞けるというのは使い方によっては破格なプライシングです。しかし、何を質問して良いか分からない方、基本的に発言はせずにやりとりを眺めているのが中心の方にとっては、少し高い価格設定なのではないかと思います。情報を眺めているだけであれば、もっと体系的にまとまって、情報量が多く、分かりやすい書籍が日々出版されています。現場感の詰まったやり取りを見られるというメリットはあるのでコンテンツの質は違うのですが、情報のサブスクリプションと考えると、基本的には1,000円以下などの安価なサービスが主流なため、そこに金額を合わせた形になります。

価値提供のタイミング的なズレに関しては、例えば、転職活動時のフォローが分かりやすいです。データラーニングギルドを運営しているデータラーニングでは有料職業紹介業を行っているのですが、コミュニティでのキャリアサポートという側面もあるので、自社求人という縛りは特に無く、幅広く転職やファーストキャリア獲得に関するアドバイス、サポートを行っています。(※人材紹介業でフィーを取ってはいけない決まりがあるので、役務としてはコミュニティとしてのフォローと人材紹介としてのフォローは別となります)

もちろん、個々人の頑張りが一番の要因ではあるのですが、多くの方がサポート経由でデータサイエンティスト職に転職を成功させています。一定数の方が、「色んな角度からアドバイスを頂けて凄く助かりました!」とお礼を言ってくれるのですが、そんな方であっても、結構な割合でコミュニティをやめていきます。転職をして学習できる環境や成長できる環境が手に入れられたからコミュニティの価値は相対的に落ちるのだと思うのですが、これは結構ショックが大きいんですよね……

ここで考えるべきが価値提供のタイミング的なズレです。例えば、誰かに何かクリティカルなアドバイスをした際に、それが3万円くらいの価値があるアドバイスだったとしましょう。しかし、その価値を受け取ってしまって、今後そういった価値が受け取れなそうだと思ってしまったら、継続する必要は無いんですよね……仮に過去に良いアドバイスを貰えていて、その人に感謝していたとしても、何にも価値を生み出していない会費に1万円支払っている状況が発生してしまうと、解約を検討してしまいますよね。ここから分かることは、オンラインサロン運営の鍵は、「ここに居るともっと価値ある情報が得られるのではないか?」、「ここにいると儲かるネタが得られるのではないか?」という未来に価値が得られるのではないか期待感の創出なんですよね。とはいえ、提供できる価値はサクッと提供して次のステップに行って欲しいので、継続的に所属しやすい980円という価格に変更しました。

最後がコンテンツ提供のムラで、これは非常に単純な話で、本業を並行して行っていると、力を入れられる時期、入れられない時期が出てきてしまうという話です。

他にも様々なムラやズレが発生しており、オンラインサロンでの提供価値はコンスタントなものではなく、人、タイミングによって非常にブレが大きいものなのです。今までは、提供価値にバランスした、提供価値を平均したような価格設定にしようと考えていたのですが、価値を提供しすぎても特に問題はないので、提供価値の低いラインに合わせたプライシングに変更しました。

今後データラーニングギルドをどうしていくか?

データラーニングギルドを2年間運営していく中で、初期に初心者レベルだった初期の参加メンバーの中には、今ではデータサイエンティストとして実務をバリバリ行うレベルに成長した方もいらっしゃいます。コミュニティ経由で仕事が生まれたり、多くのナレッジが蓄積され、組織としての力が強くなっているように感じます。

しかし、冒頭でお話したギルドとしての多様な機能を目指す上では、まだまだ足りていないことばかりです。ビジネスとしても、自分の活動に依存する部分が多くあるため、今後はコミュニティとして運営を組織的にできるようにしてして行く必要があります。そこで、今後はオンラインサロンを中心としたチームでの活動も今後より力を入れていきたいと考えています。今後は現役のデータサイエンティストがより活躍することを支援するような場として、データラーニングギルドの環境や仕組みを整備していこうと思います。そして、データラーニングギルドという組織としてしてしっかりと売上、利益が上がる構造を作り、メンバーに還元していくような形を目指したいと考えています。

そのためには、色んなバックボーンを持った方に参加頂くことが重要です。現役のデータサイエンティスト、データエンジニアの方はもちろん、データサイエンスに興味がある別職種の方、エンジニアの方、データサイエンティストを探している方など、様々な方の参加をお待ちしています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?