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スローフード宣言 食べることは生きること

WE ARE WHAT WE EAT   A Slow Food Manifesto

著書:Alice Waters   with Bob Carrau and Cristina Mueller
訳者:小野寺愛
スローフード宣言 食べることは生きること
英治出版株式会社

ファストフード文化

 便利であること
 いつでも同じ
 あるのがあたりまえ
 広告への信頼
 安さが一番
 多いほどいい
 スピード

めちゃくちゃ大事なことが詰まっている本なんだよ。

特に前半のファストフード文化の話は、これを読むまでこんなにもファストフード的な価値観が自分の考え方や生活に深く染み付いているなんて気が付かなかったって思える内容がたくさんあった。

便利であるほどいい、安いほどいい、多いほどいい、速いほどいい、いつでも同じものが当たり前、とかっていうね。

コンビニエンスストアは24時間営業していること。
ドラッグストアに行けばほしいものが大体安く揃っていること。
同じような野菜なら安く売っているスーパーマーケットに行けばいいか。
1000円でより多くの量の食事が食べられた方がいい。
食事に対する待ち時間は短いほどいい。
真冬であっても夏野菜や果物が普通に身の回りにあること。

人間ってどんどん欲が出てくる生き物だから、もっと便利に、もっと安く、もっと多く、もっと速くって止まることを知らない。日本人って特に真面目だから、今や、「安い、速い、うまい」をどの国よりも過度に求めていっているのではないかとさえ思う。
人々が求める限り、提供側もそれに応えようとする。そうでなければいけないとさえ考えているかもしれない。

でもその裏側には何があるだろうか?

コンビニエンスストアで売られている500円程度のお弁当やファストフード店のハンバーガーや牛丼は、元を辿ればどうやって作られていてどのように運ばれていてどれだけの人たちが関わっているのかな?
その食べ物が自分のところに届くまでにかかっていコストって、500円で収まるようなものなのだろうか?
そしてついつい買い物や料理の手間を省いていつ行っても同じクオリティのものが速く食べられるファストフードを選択してしまう時、
今の目先のお金と時間は節約できるかもしれないけど、長い目で見てその食生活を続けることで大きなものを失ってはいないだろうか?
それは食事に対する有り難みだったり、食べることを通して人と関わるとであったり、数年後、数十年後の健康や健康が損なわれていることに対して生じるお金であったり。

人って病気にならないと健康であることの有り難みがわからない生き物だよね。
だから若いうちはいくら健康が大事、ファストフードばかり食べていたら体に悪いと知識としては知っているけど、なぜか「まだ自分は大丈夫とか」って思っちゃう。
でも本当は若い時の体づくりが大切だったりする。
歳をとると細胞の再生も遅くなっていくからね。

今が忙しいから、楽だから、安いから、でファストフードばかりを選択し続けると、
結局今の時間とお金は節約できるのかもしれないけど、将来病気になってしまった時に病院費がかかったり健康ではなくなった状態で何年間も時間を思うように使えない、なんてことが起きてくるかもしれないよね。

百均も便利でよく行くのだけど、これが本当に100円?(消費税込みで110円だね)と思うようなものがたくさんある。
これは本当に100円で売って良いもの?コストはいくら?この材料ってそんなに安いの?どういう原理?って。
そういうふうに物の値段が過度に安くなっていると、その商品の本当の価値を考えないようになっていた。そんなのはどうでもよくて、100円で買えてラッキー、みたいな。
でも今その“商品“を作る側に立ってみて、
商品の値段は過度に安くあるべきではないと思うようになった。
だって1つのケーキを作るために、小麦や乳製品なんかの材料を作っている農家さんがいて、それをとりまとめている卸しの業者さんがいて、それを配達してくれる人がいて、その材料を使って試行錯誤しながら考えたレシピでそれなりの時間をかけられてその1つのケーキが出来上がっている。
そのケーキは指をパチンと鳴らしたら目の前に出てくるわけではない。
だからその商品が出来上がるまでの労働や時間に見合う、適正な対価は必要だと思うんだ。
だからただこれは安い、これは高い、とかじゃなくて、自分がその商品にその金額を支払う価値があると思えばいいんだと思う。その時のバックグラウンドを考えてね。
買い物は投票だから、自分がその商品を買うことでそれを作った人たちを応援したいと思えでば尚更いいよね。
だからなるべくシンプルな素材で作られているほうがいいし、商品になるまでの経路だって短い方が新鮮で燃料費をかけないからエコだし地球にも優しいし、自分のよくわからないものが入っていないモノがいい。


先日、グッドなタイミングでこの著書のアリス・ウォータースが日本に訪れた時の映像をドキュメントにした映画の公開があって観に行ってきたのだけど、
そこでも言っていたことは

“Farmers First”

農家が1番。この世の中で1番に大切にして尊ぶべき人たちは農家さん。
だって私たちはみんな、食べるものなしじゃあ生きていけないから。

その上映会で提供されたお弁当も地元の余市周辺の食材だけを使って作られていた。お米も野菜も。すごいことだと思った。だって今日わたしの冷蔵庫の中にある野菜やお肉やお魚や調味料たちは決してわたしの家の近くのものだけじゃないからね。

この本を読んでから、尚更日々の食事に感謝の気持ちを持つようになった。
農家さんに、農家さんの作ってくれる穀物や野菜にや果物に。
そして旬を味わうようにもなった。
春のいちごやアスパラ、夏のさくらんぼや桃やメロンや夏野菜、秋のかぼちゃやさつまいもやお米、冬はじゃがいもやレモンかな?
その時にしか味わえないからその時一瞬一瞬の旬を味わう楽しみがある。そして終わったらまた来年。

野菜もお肉もお魚もなるべくその時期の地元のものを。

食べたいものがあったら、出来上がったものを買うのではなくて自分で作ってみる。

すると、日々の何気ない生活のなかで
幸福度が上がる、そんな気がする。

言いたいことがまだまだたくさんあるんだけど、この文章を書いていてもまとまらないくらいにこの本を通して伝わってくるメッセージがたくさんあるからもうこのへんにして。
出会う人みんなに勧めて歩きたいくらい読んでほしい。
読んだ次の日は旬の野菜を買って丁寧にご飯を作って丁寧に食べたくなるよ。きっとね。

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