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2022.2.14 これも愛なんだ

定時で仕事が終わった。
最近は忙しくてこんな時間に終われるなんて久しぶり。嬉しくて寄り道したい気分だ。

そうだ!本屋さんに行ってみよう。

本が好きな私は忙しい時ほど本屋さんに行きたくなる。でも近頃、閉店時間をすぎる事が多くて、長らくあの空間を味わっていなかった。

急いで着替えを済ませ、駅近くのショピングモールへ向かう。そこに大型書店が入っているのだ。

閉店まであと40分。
あまり時間はない。

職場を出ると冷たい澄んだ空気が張り詰めていた。空を見上げるとほぼ満月のお月さまが眩しいくらい光っている。

写真撮りたいなと思ったけど、立ち止まってる時間はない。

急ぎ足で目的地に向かう。

ゆったりとした空気の流れる書店に入った。

新品の本から放たれているエネルギーは図書館にある本のそれとは違う。

あちこち歩いて回りたい気持ちを抑え、お目当ての本のありかを検索機で探した。


書名や作者の名前を入れると場所や在庫などが一目で判る検索機。便利だけど普段はあまり使わない。

時間をかけてぐるっと回って見つけるのが好きだから。
まるで宝物を探すようでワクワクするし、お目当てが見つかるまでに心惹かれるものに出会う事もある。

おとぎ話の宝石箱みたいにわたしの好きなものがいっぱい詰まっている。
 
それが本屋だ。

買おうかどうか迷っていた本は中を確認して今日の購入は保留した。

そして別の本を手に取り迷っていると閉店を知らせる蛍の光が流れ始めた。

手の中にある数冊の本を眺めて考える。
 
全部 欲しいけど、きっと読まずに置いてしまうことになる…。
 
仕事終わりの買い物は、無意識にストレス発散だったりで本当に欲しいものじゃない事が多いもの。
 

少し前、似たような状況で買ったまんまの本を思い出して、帰りの電車で読める一冊だけを連れて帰ることにした。

レジを済ませ急いで駅に向かう。

飛び乗った電車の中で買ったばかり本を開け、私には珍しく気になった章を開けた。


ほんの少し読み進めたところを読んでおどろいた。
 
数年前、ある人からもらった言葉が書いてあった。でもそれはその時私が受け取った意味とは全く違う意味で綴られていた。


「そういう意味だったんだ…」
 

驚きと悲しみとショックと惨めさで心がぐちゃぐちゃになった。
 
あの時、あの人はこれが伝えたかったんだ。
言葉を言葉のまんま受け取った素直な私は、まるで道化のようだ。
 
 
悔しさや恥ずかしさや情けなさが私を包んだ。


言葉って記憶に残るギフト。


じわじわと毒が回るようなものではなく
心の真ん中にまっすぐに届く言葉を使いたい。


綺麗にラッピングされてても中身がゴミなら嬉しくないもの。


でも、これはきっとあの人の愛なんだよね。
そう思った。


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