見出し画像

生まれて初めて小説を読みました。

著: 伊藤計劃「ハーモニー」を読みました。随分前に映画版を観たことがあり、その内容に凄まじい衝撃を受けたことを覚えていたのですが、最近いきなり原作を読んでみようと思い立ち、気がつけば書籍を購入していました。私は普段、本を読みません。というよりも読めません。そもそも文字を読むのがかなり苦手というのもありますが、一番の理由は一冊の本を読み終わる前にすっかり飽きてしまうことです。小中高の読書感想文も新書ばっかりで、小説と言えるものはほぼ読んだことがありませんでした。以下は、そんな私がほぼ生まれて初めて読んだ小説「ハーモニー」のネタバレを含む感想です。

−–以下ネタバレあり


まず驚いたのは Emotion-in-Text Markup Language: ETML のタグです。映画版では表現できない、文章構造そのものを用いた世界観の構築を目の当たりにした気分でした。文章中のETMLタグは、この物語を読む私自身が、もはや「わたし」という自意識すらない、ハーモニーが支配するセカイにいることを示しています。この本の大きなテーマの中に、十分に成熟した社会の中での意識の必要性というのがあると思いますが、そこに用意された答えがまさにこの本の存在そのもの、つまりハーモニーに支配されたセカイでは物語を解釈するためにわざわざETMLとそれに対応したエモーションテクスチャ群が必要になるという点において意識の必要性を見出せるよう、本というメディアの構造全体を使ったストーリーが設計されてると感じました。小説ってすごすぎる。

気持ちとしては、もはや本も消え去った遥か未来で、本来はテキストリーダを用いて読むべきETMLファイルを無理やり製本して、わざわざデッドメディアである紙の本で歴史資料を読むという、まるで高校時代の御冷ミァハの趣味を追体験しているかのよう。そして、ハーモニーが支配する世界でWatchMeをまだインストールされていない子どもが、自分が今住んでいるセカイに対する暗い欲望を控えた次世代のミァハその人が「わたし」であるかのような、そんな妄想に耽ってしまいました。要するに超おもろい!!!最高!!!!!みんなも読んでーーーーーー!!!!!!いやめっちゃネタバレ書いてるから既に読んでる人しかここに来ないで欲しいけど!!!!!!!!!!というかいいの?????本ってここまで再帰的でいいの???
いいんですかいいんですか?こんなに本って再帰的でいいんですか〜????

というか、小説って超おもろいかも、ハマる気がする。またなんか読もっかな〜。

終わり


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?