奇跡の人(山のポ＆なんのはなしですか)

　社員食堂で先輩の原田さんが、本を片手に右手のひとさし指を口に突っ込んで吐きそうになっているのを見かけた。
　「先輩、何やってるんですか？」
　「お、お前か。いやな、ヘレンケラーはどうやって話せるようになったか。その謎を解いてるところだ。オレに課せられたミッションだ」
　先輩の話によると、ヘレンはサリバン先生の口の中に指を突っ込み、舌の動きを確認することで、言葉が発する音を覚えていったという。
　「それで先輩も、舌の動きを確認してたんですね」
　「三重苦を乗り越えた奇跡の人って言うがな、サリバン先生を筆頭に彼女を支えた人達も奇跡の人だよな」
　「言われてみれば、確かにそうですね」
　「ほら、お前も確認してみ。指を突っ込んで自分の名前を言ってみろ」
　後輩の山本は「山のポ」と言った。「昨日は何の日？」「海のピ」
　「良し！ミッション完了！お前こそ奇跡の人だわ」
　「え？先輩、なんのはなしですか」
　後輩の山本は、首をひねるばかりだ。

　　（文字数　410文字）

　山本「先輩、教えてくださいよ～」
　原田「この下にあるハッシュタグ↓、＃なんのはなしですか #山のポ 　
　 #海のピをクリックしたらわかるよ 」
　
　山本「先輩！ふたつの投稿企画、勝手にコラボしちゃってますが？」　　
　原田「ダメかな？・・ゆるじでえ～」
　山本「また指、突っ込んでるよ」