『本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む』を読んで
あまりにこの本が暖かくて、良いなと思ったのでこれを忘れないうちに書き留めておきたかったので。あと共有したい、この気持ちを。
私はどちらかというと「読書なんて慣れっこだよ」側の人間だと思う。幼い頃から祖母が一か月に一冊好きな本を買ってくれた。どんなものでも良くて、漫画でも、画集でも、ゲームの攻略本でも。普通に何千円くらいするのを。昔から本は身近な存在だった。小説は好きだし、本屋大賞の発表で友達と盛り上がるタイプの人間だ。
だけど、最近は読書と疎遠になっていた。
忙しさを言い訳にして、好きな作家さんの新作も積んでいたし、今年の本屋大賞も読めていない。
けど、この本を読んで、また読書を楽しめるかもと思えた。あとめっちゃ泣いた。
私とこの本の出会いはオモコロだった。
めっちゃ追ってる訳ではないが、オモチャンもふっクラもそこそこ見てるし、記事も暇な時に漁ったりする。元記事もバズった当時に読んだ。トロッコの記事と、オツベルと象の記事も読んだ。当時から良い記事だな、とは思っていたが一冊の本として改めて読んで重みが増した気がする。
以外、各章(?)の感想
走れメロス
記事ではなく、本として面白く読めるように工夫されていると感じた。記事版と比べて、パッと見て分かりやすい写真の枚数が減っているが、臨場感は全然残っている。すごい。
書籍版とは多少違うが、ここは無料で読めるので読んでください。面白かったら買って!!
一房の葡萄
みくのしんは幼い頃の体験や感性をすごく大切にされているんだな、と感じたところ。子供の頃のはっきりしない、自分でもわからない感情や、大人から見たら理不尽にも思える残酷さとかへの解像度が余りにも高い。私はみくのしんより若いはずなのに、主人公に入りこめなかった。この人、感性が瑞々しすぎない?
読書感想文があまりにも素敵で、ここで少し泣いてた。嫌なことはやっぱり嫌だけど、少しだけ頑張ろうと思えた。あったかすぎるだろ、みくのしん。
杜子春
みくのしんと一緒に読むことですごいカタルシスが増してる。一緒に黙ったり、喜んだりしてくれるのでこっちも乗せられる。一房の葡萄や本棚は、みくのしんと主人公が一体化しているが、これは杜子春の隣にいてくれる感じ。ずっと杜子春の声を聞きたがっていたのが良い感じに綺麗なオチに繋がっていてめっちゃ気持ち良かった。人間讃歌と言えばいいのか。杜子春の良さを改めて感じさせてもらった。
本棚
身近な人が苦しくそうにしてたら、簡単に声をかけられない。自分も励まされてもわかってないと思ってしまうし、本当にそうだと思う。こうなりたい、という意思を肯定して後押ししてくれるのが嬉しかった。
あと、雨穴さんの読者への優しさがすごい。このホラーがすごい!の対談を読んだときにも感じたが、めっちゃ寄り添ってくれる。雨穴作品の手紙が近くに感じられるのはこれもあるんじゃないか、と個人的に思う。
この本に出て来る人、優しい人しかいない。
「あとがき」について
これのおかげで、この本の良さが増している。
彼の読書感想文を読んでも感じることだが、私にとってあまりにも眩しいみくのしんにも悩みや苦悩があるし、等身大の人間なんだと改めて感じる。みくのしんが本から感じたパワーを伝えてくれることで、ちょっとしたことがキラキラして見える。少しだけ世界を素敵にしてくれる。ありがとう、みくのしん。
そして、かまどのあとがきでちゃんと本は好きに楽しんで良いんだよ、と話してくれる。こんな面白い読み方もあるよ、と見せつつ最後はこちらに寄り添ってくれる。音声を聴いて感じたが、きっと削ってこの内容なんだろう。多分原液をこの量浴びたら私は浄化されて消滅してる。(あまりにも光すぎるので)それをまとめてこちらに橋渡ししてくれたかまどに感謝を。
この本は、最後まで暖かい。
以上、感想でした。
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