Mr.Children 歌詞考察♯2 『GIFT』
Mr.Children歌詞考察第2弾をやっていきたいと思います!
考察していたら楽しくて5000文字と、少し長い記事になってしまったのですが5分くらいで読めると思います!
時間がない方は2番サビの考察やまとめの考察だけでも読んでいってください!
少し哲学的な話もしています!
読んで損はさせません!
曲概要
GIFT
今回紹介するのは2008年7月30日に発売された32thシングル「GIFT 」です。アルバム「SUPERMARKET FANTASY」にも収録されていて、北京オリンピック・パラリンピックのテーマ曲にもなっています。
ミスチルの代表曲の一つですね!
「GIFT(贈り物)」というテーマと「オリンピック」というテーマを元に歌詞が考えられていて、Mr.Childrenから全ての頑張る人たちへの贈り物としてメッセージが込められています。
歌詞考察
入り
優しいメロディーと共に
「一番きれいなもの」「一番ひかってるもの」「最高のGIFT」
とはなんだろうと問いかけながら曲はスタートします。
1番
1番のサビ前までの歌詞です。
まさに「GIFT(贈り物)」というテーマに沿った歌詞になってますよね!
GIFTを渡す時のことを想像している様子が書かれてます。
「長い間君に渡したくて………お世辞にもきれいとは言えないけど」までのフレーズいいですよね、、
目線を下げた表現が同情や共感を生む、ミスチルの得意技ですね!
そして1番のサビです!
ここで登場する「白か黒」。これは両極端を意味します。
「白黒はっきりつけたい」と何かを決断したい時、
また、「白星、黒星」と勝ち負けを表現したい時など
「白と黒」がよく用いられますよね。
ここでは、ざっくり言うと
「大事なのは白黒はっきりつけることじゃないよ」
ってことを言っています。
今の世の中は成功(白)や失敗(黒)など結果が重視されがちですが、結果もだけど、その過程や内容(白と黒の間の無限の色)も大事にしようと伝えてくれています。
また、ここで大事なのは「優しい名前をつけたなら」という歌詞です。
ここで一つ言葉を紹介します。
これは言語学者ソシュールの「モノが先か、名前が先か」という問いの中で出てくる言葉で、名前が無いものは世界に存在できない!と彼は主張しています。
どういうことでしょう?
私たちは普通、何かモノが存在して、誰かが後からそれに名前をつけたと考えますよね。
ソシュールの考えで言うとそれは間違いなんです。
名前をつけて初めてモノが世界に存在するようになる
と、彼は考えます。
分かりやすく具体例で見ていきましょう。
例えば、日本では、学校の黒板の前に置いてある机のことを「教卓」と呼びます。
しかし、外国でこの概念はなく、学校の黒板の前に置いてある机は外国人からしたらただの「机」でしかないんです。
私たち日本人には「教卓」と「机」という全く同じ素材からできたモノを名前によって判別できていますが、外国人にとって「教卓」というのは世界に存在しないモノなんです。
また、「リンゴ」と「青リンゴ」もそうでしょう。
青い色のリンゴに「青リンゴ」という名前がついていなかったら、私たちはその2つを全く違う果物だと認識しませんか?
このように名前があって初めて対象の存在を認識できる。
ということが理解できましたか?
これを踏まえた上で先ほどの歌詞に戻りましょう。
「白と黒の間に無限の色が広がってる」
この歌詞でも言っているように色って無限にありますよね。
「白って200色あんねん」ってアンミカさんも言っています。
そして、その色一つ一つ全部に名前はついていません。
しかしこの主人公「僕」はその無限の色の中から君に似合う色を探しているわけです。
そして見つけた色に「名前をつける」ことでその色は初めて世界に存在し、意味を持たされるんです。
「僕」が「君だけの色」という概念を作ったわけですね。
そしてその探して名前をつけた「君だけの色」が冒頭の「一番きれいな色ってなんだろう?」の答えです。
それをプレゼントとして贈るんですよ。
ロマンチックですね!
この贈る色(GIFT)が具体的に、愛なのか感謝なのか、もしくは何かモノなのか、それは分かりませんが、「僕」が一生懸命探して渡してくれたものというだけでその色には意味(名前)ができますよね。
「僕」が名前を「つけた」と歌詞では書いていますが、この「僕」の行動によって名前が「ついた」という見方もできる気がします!
「君」は幸せ者だな〜
「白と黒」という表現はオリンピックのテーマ曲の歌詞としてピッタリですし、その表現をうまく使ってGIFT(贈り物)というテーマとも絡めるの流石すぎます、、
こんな表現できますか!?
本当に桜井さんは凄すぎる!
2番
2番のサビ前までの歌詞です!
今度の歌詞は「GIFT(贈り物)」というテーマより「オリンピック」のテーマが強く現れています。
前半部分では上手くいかない「自分(僕)」に自問自答している様子が、
後半部分では「君」との様子が書かれています。
「君の分まで持つよ だからそばにいてよ それだけで心が軽くなる」
このフレーズからは「自分(僕)」と「君」が互いに支え合ってる様子が読み取れます。
支えてくれる「君」の存在があるからこそ頑張れる「自分」を表現した歌詞となっています。
2番サビの前半部分です。
オリンピック選手で例えれば、メダルを獲るために4年間、もしくはそれ以上努力を続けるわけですよね。その結果「選ばれし者」になれなくても、それでもまだ諦めないんだという強い気持ちが感じ取れますね。
一途でかっこいい!
そして2番サビの後半部分です。
2番サビの前半と後半を分けて紹介してるのはこの歌詞について熱く語りたいからです!
ここの歌詞聴き流してる人多いんじゃいですか!?あまり注目されていない印象がありますが、とっっても深いんです!!
今まで大体、「GIFT(贈り物)」のテーマか「オリンピック」のテーマで歌詞が書かれていたんですが、ここの歌詞だけ「ちょっと何言ってるか分からない(サンドウィッチマン風)」と感じませんか?
読み解いていきましょう!
まずここで出てくる「日差しと日陰」
これは1番サビで登場した「白と黒」を表現しています。
そしてこの「日差しと日陰」の関係をしっかり頭に入れながら歌詞を見ると
日差しがあるから日陰が生まれる
その関係に気づけたなら
たとえ日陰にいても日差しの存在を感じれるよ
という内容になっています。
日陰にいても日差しを感じれるという表現がポイントです。
ニュアンスは伝わりましたか?
これを数学の公式みたいにすると、
AがあるからBがある
その関係を讃え合えたなら
BにいてもAを感じれるよ
ざっくりこんな感じですかね。
これをオリンピックのテーマとして当てはめてみましょう。
勝者がいれば敗者もいる
それに気づいて互いを讃え合えたなら
もうどんな結果だって誇りに思えるよ
また、
選手がいればテレビで応援してる人もいる
そのすべての人が互いを讃え合えたなら
もうどんな場所・立場にいても光を感じれるよ
このように表現してみました!
選手の姿が応援する人に感動を与えて、応援する人が選手に勇気を与えて、互いの存在の意味に気づいて讃え合えたら、どんな結果だろうと誇りを持つことができますよね。
勝者だけが讃えられるのではなく、その逆の立場の人や応援してくれる人だって光を感じれるよというメッセージになります。
もっと大きなテーマで考えてみましょう。
幸せがあるからこそ辛さを感じる
それに気づけたなら
どんな状況にいても幸せを感じれるよ
幸せの基準を知っているからこそ辛さを感じる。それに気づけたならたとえ辛い状況にいても「辛いと感じているのは自分が幸せを知れているからなんだ」と前向きに考えることができますよね。
どうでしょう、いくつか例を見て歌詞の意味が理解できたでしょうか?
「日差しがあるから日陰ができる」
「勝者がいるから敗者も生まれる」
「幸せを知ってるから辛さも生まれる」
これらは必然の現象ですが、当たり前のことすぎて気づけていないのではないでしょうか。
その当たり前のことにちゃんと気づいて自分に落とし込めるようになると、また新しい考え方が生まれるのではないでしょうか!
普段とは別の目線から物事を俯瞰することの大切さが伝わってきます。
ここでまた一つ言葉を紹介します。
これは19〜20世紀の哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの言葉です。
「人は知ってる言葉でしか世界を認知することはできない」という意味で、
言い換えると
「言葉を多く知れば知るほど自分の世界は広がる」
という意味になります。
言葉に限らず、価値観でも同じことが言えるのではないでしょうか?
「価値観を多く持てば持つほど自分の世界は広がる」
様々な価値観(ここの歌詞で言う「日差しがあるから日陰が生まれる」という価値観)を知っているかどうかで、自分の考え方や見える世界(「日陰にいても日差しを感じれる」かどうか)は変わると思います。
2番サビ後半の歌詞はそんなメタファーのようにも感じとれますねー。
深読みしすぎですかね笑
桜井さんはここまで考えているんだろうか?
考えてそう〜
次行きましょう!
Cメロ・大サビ
2番サビ最後の「光を感じれるよ」の直後からメロディーが転調しこの歌詞へと入っていきます。
ここではGIFTを贈るシーンに加えて感謝も表現していますね。
「僕の方こそありがとう」
「僕」が「君」からありがとうと言ってもらってるシーンは書かれてませんが、「僕の方こそ」の一言だけでそのシーンが思い浮かびます。
ライブに行くとこのセリフをミスチルの皆さんが私たちに向けて伝えてくれるんです。大感動ですよまったく、、、
この後、原曲だとラララ〜と歌って曲も終わりに向かっていくのですが、ライブだとライブ限定の定番アレンジがあります。
お客さんが全員でラララ〜と歌いう中、桜井さんがこのフレーズを歌ってくれます!
ラスト
「一番ひかってるものってなんだろう?」
これは曲の入りの時も問いかけてましたね。
入りの時はまだGIFTは渡しておらず、渡す時のことをイメージしていましたが、ここでは「僕ら抱きしめる 君がくれたGIFTを」と言っているので無事渡せたみたいですね!
こういうストーリー性を表現するのもミスチルの得意技ですよね〜!
また、「君がくれたGIFT」と言っていますが、曲中で「僕」がGIFTを渡すシーンは書かれていますが、「君」の方からもGIFTがあったのでしょうか!?
まとめ考察にてその辺も書いていきます!
まとめ考察
「一番きれいな色ってなんだろう」そう問いかけながら入る曲ですが、1番のサビにあるように「一番きれいな色」=「君に似合う色」なのでしょう。
そして「僕」が名前をつけた「君に似合う色」をGIFTとして贈る時、受け取る「君」は自分の色を「僕」が贈ってくれた事によって知ることができる。そして同時に、「君」は自分にとって「僕」の存在がどれだけ大切かを知る。「君」がその感謝の気持ちを「僕」に伝えた時、それは「僕」にとってのGIFTにもなる。
だから最後「僕」目線で「僕の方こそありがとう」「君がくれたGIFT」という歌詞が書かれているのだと思います。「君」がGIFTを贈るシーンは出てきませんが、これらの歌詞がそれを証明しているんです。
贈ったもの、受け取ったもの、受け取ったからこそ贈れるもの、
そうやって目には見えない大切なやり取りのサイクルが互いに贈るGIFTを通して回り回っていくんです。
そして目の前の人の笑顔を作っちゃったりして。
また、どんな状況にいる人もどこかで闘っている人も、決して答えは「白か黒」「光か陰」の二極化だけじゃないんだよということを伝えてくれている曲でもあります。
とても心に響く曲ですね〜、、、!!!
ライブ紹介
これはデビュー20周年ツアー「TOUR POPSAURUS 2012」の映像です。
このライブではラストの「いつまでも胸の中でほらひかってるんだよ」が「これからも音の中でほらひかってるんだよ」とアニバーサリーツアーらしいアレンジがされます!
個人的に2番サビ最後の「光を感じれるよ」のとこの桜井さんに心を打たれます笑
終わりに
どうでしたか!
この曲は誰かに贈る曲としても、モチベにする曲としても、恋愛の曲としても捉えられるように感じます。
メロディーや雰囲気だけでもミスチルの曲は十分にハマれるし感動できますが、それだけじゃないのがミスチルです。
メロディーでハマって後々歌詞をちゃんと見るとすげー深いじゃんってなるんです!
「GIFT」もその中の一曲ではないでしょうか!
この記事で「GIFT」やMr.Childrenのことがより好きになってもらえたら、この記事があなたにとってのGIFTになってくれていたら、とても幸いです!
ここまで長い記事を読んでくださり本当にありがとうございました!