ルリドラゴン 四話感想

 ルリドラ四話です。相も変わらず期待を裏切らないのがルリドラゴンです。今回もグッドなお話でした。

 さて今回の四話は一大事です。一話から三話かけてルリがドラゴン化し、社会に受け入れられるところまでが描かれました。そこで四話ではこのルリドラゴンという漫画が今後どういう方向に進むかが提示される可能性が高かった。髪を燃やしてしまった吉岡にフォーカスを当てて青春路線でいくか、読み切りのように父親に会いにいくファンタジー路線でいくか、はたまたドラゴンを狙う謎の組織が出てきてバトル化の様相を呈し始めるのか。三話までの様子を見るにバトル化の可能性は低かったのですが、そこはジャンプのこと。油断できません。ハラハラしながら四話を読んだですが……これは驚きでした。よもやよもやのゆるふわ日常萌え百合路線です。はっきりいって衝撃的です。ジャンプといえばまずはバトル。そしてスポーツ、ギャグ、恋愛もの。文化系枠なんてのもありますが、日常系枠なんてものはこれまで一切ありません。癒し系枠として愛されていたマグちゃんも明確にギャグ漫画の部類に入ります。それがまさかの百合日常系。やるんだな! 今、ここ(ジャンプ)で! 百合漫画を! と内なるベルトルトが叫んでしまいます。少年ジャンプでこの路線でいくのは相当な男気と覚悟が必要です。拙者、眞藤先生の中に勇を見た!

 例によって扉絵が非常に可愛いです。帽子がツノ穴付きにカスタマイズされてます。ルリの隣にいるのは神代さん。百合路線でいくならユカの掘り下げからかなと思っていたのですが、今回は神代さんがゲストです。神代さんは一話からルリに思いっきり抱きついていたりとやけに目立っていました。いずれは掘り下げがあるとは思っていましたがこんなに早く来るとは。扉絵の神代さんの瞳の光沢がちょっとハートっぽくなっていますね。そしてめくった1ページ目の一コマ目。これだいぶエロくないですかね。ネタっぽく「ここえっちw」なんてレベルでなく割と実用性高いと思います。Twitterでもルリは抜ける派とルリでは抜けない派がイノセントゼロと神覚者並みに激しい戦争をしていますが、このコマを見れば抜ける派が一歩リードするんではないでしょうか。冗談はさておき、冒頭で注目すべきはもう既にルリのツノや火はクラスの話題にはなっていないということです。ツノや火が生えたことなんて別に大したことはない。三話から続くテーマが継続されています。ルリはこの漫画の主人公ですが、別に彼女は特別な存在ではないのです。ジャンプでは社会を揺るがすとんでもない事件が起きたり、はちゃめちゃなキャラが大暴れする漫画が基本ですが、ルリドラゴンは(今のところ)何も事件は起きません。ルリも作中での扱いはほぼ没個性です。爆豪くんなら眼中にもありません。そんなジャンプ主人公は新しく、一種のシンギュラリティです。

 さて一週間不登校になったせいで授業についていけないルリの嘆きから話は始まります。毎週のように涙目になっているルリですが、この時ユカちゃん意外と冷たい。おそらくルリに自分の他のクラスメートと絡んで欲しいでしょうね。ここでユカが一番に上げる名前が男子の吉岡くんです。異性を真っ先にノミネートするのはちょっとひっかかります。まさか吉岡がユカに根回ししてるとも考えづらいので、男女の垣根が低い教室なんでしょうね。フツーに読みましょう。吉岡はルリに毎度ウザ絡みをしてくるようで、見様によってはルリに気がある風にも見えます。前回寛大にルリを許して男を見せた吉岡ですが、親しくもない女子のこと呼び捨てにするのって結構馴れ馴れしいと思うのでウザがられるのもやむなしでしょう。しかしルリは人付き合いが苦手と言う割には何か距離感がおかしいです。例えば三話でルリは吉岡の腕に抱きついています。もし吉岡がルリをいい感じに思ってるならこれは彼にとって相当嬉しいでしょうね。次の「生物兵器なの?」のコマで吉岡がニヤついてたのは、ルリがからかわれてるのを笑っているのでなく腕に抱きつかれた歓喜で笑みを浮かべているのでしょうか? 今後の展開によっては吉岡もレギュラーキャラになる可能性があるので要チェックや。

 そして今回のゲスト、神代さん。ルリはめっちゃイカつい2色ツインテ、陽キャっぽくて怖いとユカにはっきりいいます。偏見が酷い。朱音ちゃんとか絶対話しかけるの無理でしょうね。神代さんとは一話だとやけに距離感近いように見えましたが別に友達と言うわけでもないようです。名前もあやふやという。ルリはユカからノートを借りて「うああ、ありがと」と叫びます。ここ「うわあ、ありがと」じゃないのがグッドです。普通のセリフセンスなら一話冒頭も「え? なにこれ」にするところですが、眞藤先生は「あ? なにこれ」になります。いいね、最高だこの台詞回し。そしてノートを見ても勉強が追いつけないルリに絡んでくる神代さん。神代さんに勉強を教えてもらいルリは瞳を輝かせます。しかしルリは「あんま勉強できない人だと思ってた、髪色的に」「見た目ドギツい人苦手」と今しがたまで勉強を手伝ってもらった子に向けて暴言を吐いています。普通のクラスならいじめの原因にもなりかけない雉子村黄泉さながらの豪速球ストレートです。吐くのは火だけにしてほしいものです。先述の吉岡の件もそうですが、ルリちゃん引っ込み思案なのに距離感がバグっていてコミュ障炸裂させすぎじゃないでしょうか。しかし神代さんはあっけら貫刃帖に「あたしもルリちゃんのこと苦手だよ」と言い返します。ジャンプには珍しい根明女子です。メロリンも見習って。

 ルリはコミュ障で根暗なのになぜかツノが生える前からクラスメイトに好かれているような雰囲気がありました。その理由が今回ついに判明します。見た目が良いんです。身も蓋もないですね。一緒にJKやろうぜ!っていう神代さんもルリに負けないくらい可愛いです。新しい友達に放課後女子会に誘われてドキドキのルリはユカに相談しますが、ユカは付いてきてくれない。代わりにルリの背中を笑顔で押してくれます。そして宮下さんと三蔵さんも含めて初のフラペチーノ。ちなみにメロンフラペチーノは現実世界で先月から始まったばかりの新メニューのようです。店員さんを前に「高っ!」と言ってしまうコミュ障ぶりもしっかり発揮されています。不安だった女子会も楽しく終わり、ユカに向けて写真をパシャリ。いい笑顔です。世界が広がったルリの満足感が如実に出ています。四話でこの方向性を示してくれたことで次回以降も安心して読めるようになりました。今後もルリドラゴンから目が離せないですね。

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