ルリドラゴンの面白さ、「普通」でなくなったルリへの善意


 ルリドラゴンの1巻が予約開始されました。ちゃんと1巻だしてくれるか不安だったのでちょっと安心しました。改めてルリドラを六話まで読んでみたんですけどこれ本当に面白いですよね。ここ数年で一番ハマった漫画です。連載再開が待ち遠しい。

 「普通の女子高生 青木ルリがある日当然ツノが生え、実は父親がドラゴンだったと知らされる。ファンタジーな日常始まる!」……このあらすじで想像されるストーリーって「ルリがドラゴンの力を生かして日々のトラブルを解決!」とか「色んな亜人娘が出てきてドタバタ」とか、あるいはジャンプらしくバトル展開とかそういうのじゃないですか。

 正直いうと自分はルリドラ1話時点ではそういう話だろうなと思って、一応注目はしてたんですけどそこまでだったんですよ。確かに1話もルリは可愛いかったですけど、まあ萌え系・マスコット系の漫画かなと。まちカドまぞくに似てるなーとかジャンプでは珍しい作風なのでバズってんなーくらいの感想でした。

 この漫画が一味違うと感じたのはやっぱ二話以降ですよね。ドラゴンハーフ娘のドタバタコメディじゃなくて、「普通」から外れてしまった子がどう社会に復帰していくか。社会は「普通」でなくなったルリをどう受け入れるかが描かれ始めました。そんなん想像つきませんよ。天下のジャンプでそんなん連載するとは思わんでしょ。

 大人でもそうですけど特に思春期の高校生にとって「普通でない」って本当に不安なものじゃないですか。「普通」でない自分にルリも不安ですし、「普通」でない同級生にクラスメイトも不安になります。ましてルリの場合は吉岡の頭を燃やすという実害まで与えていますし。そりゃ不登校にもなる。

ここほんと可愛い

 「普通」でないルリを当たり前に受け入れるユカ、「普通」でないルリをちょっと怖く思っていても近づいていく神代。そして当然存在する「普通」でないルリに近づきたくない同級生。色々な人がいます。全員がルリに無条件で優しい訳ではない世界だからこそルリの周りの善意が心地よく感じます。

 誰しも大なり小なり「普通」でないモノをどっかに抱えているもんじゃないですか。だからこそ「普通」でない自分に悩むルリに読者は共感できますし、ルリと折り合いをつけていこうとする周りの人間たちの優しさが身に沁みるんだと思います。

 あとルリドラは家族関係の描き方も凄い良いと思うんですよね。海ママはそれこそ見る人によっては無関心にすら思えるほど淡白に娘との距離感を保ちつつ、それでも不安でいっぱいになっているルリの傍らにいつもいてくれます。娘への愛を大声で叫んだりはしませんし不登校のルリを引きずってはよ学校に行けと叱りつけたりもしますが、読んでいて母娘の繋がりが感じられて好きです。

 セリフでは描写されてないんだけど、海もまたルリと同じくらい不安を感じてると思うんですよね。1話で仕事に行く格好でパパに会いに山登りするくらいパニックになってますし。ママからするとルリの能力がどう発現するか分からない以上、安全を考えてしばらく学校に行かせないという考えもあるんですよ。万が一とりかえしのつかない事故が起きたらそれこそルリは社会復帰できなくなるし。でもそれだと娘が幸せになれないと思ってやっぱり学校には行ってもらいたい。ママの葛藤が見えてくるようです。

ここもほんと可愛い

 海自身も本当に娘を学校に行かせていいものか迷ってたからこそルリが一週間不登校になるのを許してたんじゃないかなと。

 読み返してみてルリドラゴンは「可愛い」上に、可愛いだけじゃない漫画だと再確認しました。またルリに会う日のために、眞藤先生の療養をゆっくり待ちましょう。

 

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