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発音はこれで十分(有料版)|英会話初心者向け


1.はじめに


 英会話初心者は、どこから手を付けて良いのかわからない、といった話をよく聞く。私が指導した初心者の方々にもそのような方が大勢いたけど、ようは現代社会では情報量があまりにも多すぎて、結局肝心なポイントが分かりづらくなっているものと私は認識している。
 
 最近ではネット動画等でも、米国ではこう言っているとかああ言っているとか、やたら細かい話もたくさんあって、英会話初心者にとってはますますどこから手を付けて良いのやら分かりづらくなってきた。
 
 私自身は過去に29年間、60ヵ国以上で医療プロジェクトに従事してきたことから、アジア、中近東、アフリカ、中南米、それに関連してアメリカやヨーロッパでも仕事をしてきた。その後さらにオリンピック対策等にも関係し、社会人看護師約3,500人以上に医療関係の表現を含む会話習得について、米国人講師とともに6年半にわたって指導してきた。
 
 そういった経験に基づいた結論の一つとして、英会話初心者が海外の人達とのコミュニケーションを図るためには、必ずしも高度で複雑な英語は必要とされておらず、むしろ中学生レベルの簡単な日常会話をいつでもパッと話せることの方がはるかに重要である。
 
 そこで、英会話初心者が最初に取り組むべき課題として、まずは最小限、最低限の発音を習得できるようになることを目的とした本記事を作成することとした。
 
 英会話初心者の皆さんが、洪水のような情報量に押し流されず、発音に関して習得すべき課題を明確にして、その後の学習についても効率的に進めていただければ幸いである。
 
(1)英語学習の目的は何か
 単に英語学習と言っても、何を目的として、どのような課題をどこまで習得すべきなのかといったことは、個人によって異なるが、この記事ではあくまでも英会話初心者が、最初のスタートを切るために必要な最小限の「発音」を習得できるようになることを目的としている。
 
 このため詳細に高度で複雑な課題は無視して、可能な限りシンプルで、誰でも習得可能で、かつ実際に海外の人達とすぐにでもコミュニケーションが取れるような内容とした。
 
 英語は母音だけで21種類あると言われているが、ここではすぐに会話に使えるような、必要性が高く実践的でもある8種類(R, L, T, TH, S, SH, F, V)の発音について学ぶ。
 
 なぜこの8種類なのかというと、日本語の発音と極端に異なるからだ。それ以外の発音は多少の違いがあってもそれほど大きな問題はないことは、私自身が英語ネイティブの5ヵ国を含めた60ヵ国以上で、直接現地の様々なレベルの関係者(現地政府関係者、病院関係者、空港、ホテル、タクシー運転手等)達とコミュニケーションをとって確認してきたので、安心して取り組んでほしい。
 
(2)何を習得する必要があるのか
 膨大な情報量のある現代社会においては、各自がその行動の目的、目標を明確にして、自分はいったい何を習得すべきかを明確にして、情報過多の状態から自分が必要とする情報を取捨選択することが重要である。
 
 しかしながら初心者にとっては、実際にどこから始めたらよいのか判断が困難という部分もあるので、英会話能力習得のための最初のアプローチとして、まずは日本語と英語の発音の違いを学ぶことを強くお勧めする。
 
 いくら参考者やテキスト等から文字だけの知識を頭に詰め込んでいても、一生懸命に日本語の発音で英語を話そうとしている人達も多かったので、まずは発音の違いを知ることで、様々な国の人達ともスムーズに会話ができるようになってもらいたい。
 
 基本的な発音を習得することで、相手が何を言っているのかを理解するリスニング力、自分自身が言えるようにするスピーキング力の向上にも役立てることができる。単語の意味だけを覚えても、実際に言ったり聞いたりできなければ意味がない。
 
 簡単な単語やフレーズを言えないものが、その先に進むことは難しいため、まずは簡単なことをいつでも言えるように訓練することが必要だ。
 
(3)世界で通用する英語とは
 私はたまたま医療機器を専門とした技術者として、海外での医療プロジェクトに多数関わってきたが、中学生レベルの英語の基礎知識を活用している内容のコミュニケーションが90%以上で、専門用語は日常会話で使う言葉の10%にも満たなかった。
 
 日本国内でも米国人看護師とともに日本の看護師に対して英会話指導を行ってきたが、そのほとんどはやはり専門用語ではなく、日常会話で必要とされる文言がほとんどであった。
 
 また英語ネイティブにこだわる人も多いが、英語ネイティブの国は世界200ヵ国以上の中でわずか5ヵ国しかなく、人口規模もわずか6%程度しかいない。そういう状況では、実際に皆さんが直接会う機会のある外国人は、必ずしも英語ネイティブである確率はかなり低いものと考えられる。
 
 最初から英語ネイティブの国で長期にわたって仕事や生活をする予定のある人で、かつ時間に余裕のある人が英語という言語について詳しく学習していくことが必要なケースも考えられるが、実際に統計データを見ても、日本に来る外国人の約50%は中国語圏の人達であり、続いて韓国が25%となっており、英語ネイティブの国から訪日する外国人はビジネスマンを含めても10%弱しかいない。
 
 だからと言って世界中にある言語を全て学ぶということは物理的に不可能だし、中国人や韓国人も学校へ行けば英語を学ぶわけなので、まずは英語を優先して学ぶことが必要だと考えるが、そういう英語ネイティブではない外国人に対して、ネイティブでもめったに使わないような難しい単語や表現をしても通じないのは目に見えている。
 
 相手がどのような国々の人達であれ、誰にとってもわかりやすい英語とは、日本の中学校で学ぶ内容がしっかりと習得できていれば良い話である。ただし、日本語の発音で英語を話しても意味がないので、まずは最低限の知識として、この記事で網羅している8種類の発音を習得していただきたい。
 
(4)80点を目指そう!
 どのような分野でもそうだが、特に日本人の場合は「時間」という要素を無視してひたすら詳細を追求する姿勢の人が多く、それができないから英語学習のための時間を取れないだとか、自分には才能がない等といって諦める人達も多い。
 
 英語だけのために十分な時間を割くことができるのであれば、それを否定する気はないが、大部分の人達は普段の生活だけでも忙しく、会社勤めのサラリーマン、家庭の専業主婦や学生であったとしても、時間という要素を全て無視してひたすら英語だけのために細かい話を深堀りだけするような学習を続けることにはもともと無理がある。
 
 このため発音についても、最初から完璧に100%マスターしようとするよりも、大事なポイントとしての8種類の発音を抑えつつ、それを80%程度理解して実践できれば良いというように、ある程度寛容性のある心構えが必要だ。
 
 日本語では「木を見て森を見ず」という話があるが、自分からするとたいていの英会話受講者は、木どころか葉っぱ1枚の細かい筋に気を取られて、木1本さえも見ていない印象がある。大事なポイントがどこにあるのかを考えずに、ひたすら分厚い参考書をいくら見ても、気の遠くなるような長い時間と膨大な情報量に押しつぶされるだけだ。
 
 したがって、日本人の普通の人が普段の生活の限られた時間の中で、最低限必要なポイントに絞ってそれを先に習得し、その最小限の知識をフル活用することで、その先も効率的な学習とコミュニケーションを実現できるようにしようではないか。
 
 そういう意味で、限られた時間の中でひたすら100%完璧に習得するというよりも、まずは80%を目指すことでハードルを少し低くして、残り20%は時間があればやる、という程度の意識で十分だ。
 
 よってこの記事では、全ての発音を完璧にやるのではなく、日本語と英語の発音で極端に異なるために通じにくくなっている発音8種類のみに絞って説明する。その8種類を習得するだけでも、アジア、中近東、アフリカ、中南米、ヨーロッパといった、英語ネイティブの国を含む世界中で、スムーズなコミュニケーションに役立てられるようになる。
 
(5)訓練はアウトプットを意識
 米国の大規模調査による「科学的根拠に基づく学習方法」によれば、世界中の学習者が誤解している学習方法として、ひたすら膨大な量の情報を頭にインプットすることに時間を費やしており、しかもそれを記憶に残すことが難しいという非効率的な学習をしている、という指摘がある。
 
 では逆に効果的な学習方法は何かというと、簡単に言うとアウトプットが重要だということだ。インプットした内容を常にアウトプットすることで学習効果が飛躍的に高くなるとのことである。
 
 私自身は学生の頃にはそういう知識や情報もなかったけど、記憶力の悪い自分が何かを覚えていく方法として、ひたすら音読をしてきた。これもアウトプットの一つの方法であることは、つい最近になってわかった。
 
 実際にイギリスで仕事関係の人達と打ち合わせをしていた時には、「何でそんなに英語が話せるのだ」と聞かれたし、米国人看護師の講師達と一緒に仕事していても違和感なく仕事をすることができた。もちろん完璧という意味ではないので、日々研鑽はしているものの、仕事上のコミュニケーションで問題になったことはない。
 
 以上のことを前提として、効率的な学習方法を行うことで最初に必要となる8種類の発音を習得し、それをアウトプット練習していくことで、皆さんもぜひ世界中どこにいても自分の能力を発揮して活躍できるようになってほしい。
 

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