カッコインテグラ!を買いました(1989年)
就職するまでまるで自動車には興味がなかった。就職祝いにと両親が買ってくれたのは新車の軽自動車だったが、最廉価版だったため、バンパーは黒いウレタン素材丸出しだし、カーステレオもエアコンさえも付いていなかった。新車特有のケミカルな匂いは大好きだったが、乗り始めて間もなく走りを楽しむようなクルマでないことに気づいた。
職場の少し年上の先輩がワンダーシビックに乗っており、そのローアンドワイドなボディに憧れた。当時ホンダと言えばフラッグシップにプレリュードやレジェンドがあり、また、当時トヨタのセリカや日産のスカイラインクーペなど、スペシャリティカー部門は特に各社が競い合っていた時代だ。
本当はプレリュードに乗りたかったが、購入総額が300万円近くだったということもあり、早々に候補から外れた。
ちょうどその頃、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」が公開中で、テレビでは主演のマイケル・J・フォックスが「カッコインテグラ」というカタコトの日本語を喋るコマーシャルが繰り返し流されていた。
横長のヘッドライトとピラーレスのドアが近未来的に見えて、一目で気に入った。さっそく別府市にある販売店(当時はベルノ販売)へ行き、現車を確認した。ますます気に入り、さっそく購入交渉に入った。
今となれば後悔しているのだが、3グレードあるうちの最廉価版にターゲットに絞った(最廉価版といってもオートエアコン付き)。なかなかの人気車種だったということもあり、営業マンも易々と値引きには応じてくれなかった。しかし、値段よりも欲しいものが手に入ることで頭がいっぱいだった。
納車日は平成元年12月10日。どれだけ待ち望んだことか。しばらくは日光を反射する漆黒のボディが眩くて、仕事場から眺めてはウットリしていた。それを見かねて上司から「仕事しろ」とたしなめられたこともあったっけ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?