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五感の解放、無敵のディーバの底力(望海風斗ドラマティックコンサート 『Hello,』感想)

先週は望海風斗さんのコンサート『Hello,』に参加してきました。ビルボードライブに行けなかったので、私にとっては『Look at Me』以来の、望海さんのパフォーマンスに全集中する舞台。3/20の初日と3/24マチネに参加しました。友人と連番できたことも本当に楽しかったな!思い出!

ペンライトのデザインが最高に素敵
全部可愛い……ノゾミちゃんとアクスタのギャップね😂

「プログラムを購入するとセットリストが見れますよ」って舞台上で案内されていたので(下記リンク)、ここに書き出すのも…と少し悩んでいたけど、公式でセトリを公開してくれたので、心置きなく進めたい。

宝塚時代から追っている方は勿論、退団後にミュージカルの中で活躍される望海さんの舞台をご覧になったりこれからの活躍を楽しみにされている方々にとっても満足度の高い、どの瞬間を切り取っても“最高”が溢れている、そんなコンサートだったんじゃないかな。個人的に、今回のセトリが全部知ってる曲で、聴き馴染みがあったり好きな曲ばかりだったので、イントロがかかった瞬間どれもテンション爆上がりで、もう色々と、気持ちも声も抑えきれてなかったと思う(笑)濃密の100分、最高でした!

※以下、曲名のネタバレあります⚠️


1.せり上がりからの「Hello,」、だけど「わっしょい!」

スモークの中せりあがる望海さんの「Hello,」で幕開き。平井堅さんの『POP STAR』は推される存在が歌ってる曲として100点満点すぎて、魔法の呪文みたいな曲だなと改めて浸ってたし、キラッキラな望海さん、そして望海さんと一緒にパフォーマンスされる8名のキャストさん達に夢中。
ユーミンの『真夏の夜の夢』、どこかで歌ってほしいなと思ってたので嬉しかったな…パワフルさと声質が相性抜群だろうなと信じてたけど、期待以上。昨年、武部聡志さんがサウンドイマジンにゲスト出演された際、「いつか歌ってみたい」とお話されてたことを思い出して込み上げるものがあったなぁ。

アンルイスさんの『あゝ無情』、客席のペンライトの海がよく見える席位置で参加した回では、合いの手の振りが完璧な方が見えて最高だ〜ってなったし、雪組時代の『Now! Zoom Me!!』が懐かしくなる選曲。やっぱりこの手のジャンルを歌い上げる望海さんのかっこよさに痺れるし、ここで今回の給水が普通じゃないことに気づく。間奏でおもむろに(水が入った)酒瓶を煽るの最高すぎるので…
「,」の存在が粋に感じるほど素敵なコンサートタイトル『Hello,』だけど、劇場中が熱くなった『お祭りマンボ』には敵わなくて、歌唱後も「わっしょーい!!」の掛け声が止まらないし公式アカウントの投稿で 「#わっしょい」が使われ始めるの、楽しすぎる。お祭りマンボはうたコンで真彩ちゃんも歌ってたなぁと勝手にだいきほを感じてにこにこした。
開幕してここまで、JPOPの中でも攻めた楽曲で魅せる望海さんのカリスマ性に惚れた時間だったな。

2.「懐かしい自分」との再会(「男役スイッチ」を手に入れた望海さん)

そう形容されたコーナーでありつつも「歌ったことないんですけど…(笑)」という沢田研二さんの『勝手にしやがれ』。何この沼。好きに決まってるじゃん…JPOPコーナーとはまた違う、やはり懐かしさを感じさせるほうの「かっこ良さ」。今回の舞台演出のこだわりとして、舞台上の給水スポットに置かれている水は全て酒瓶になっているとのこと、歌詞の「バーボンのボトルを抱いて」の再現になってるのがたまらないよ。
雪組100周年のコンサートを経て「男役スイッチを手に入れた!」と宣言されていたのも可愛い。確かに、OGさん達は歌う曲によって一瞬であの空気感を取り戻すけど、きっと男役の美学や技術というのは、卒業してもずっと残り続けるものなのだろうな。外部の舞台で大活躍できる技術の基盤にもなるものだと信じてる。そして、こうして振り返ってくれることは今までのご自分の歩みの肯定でもあるんだなと胸が熱くなるよ。

宝塚時代を振り返るコーナーもあるんだと先日ゲスト出演されていた芳雄のミューでも語られてたので、もう少し長めのコーナーがあるのかな?と思っていたけれど、印象的だったことは、宝塚時代の楽曲として歌われたのが雪組の『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』の楽曲のみだったこと。
確かに、今の望海さんには振り返る時間がそこまでないのかな、とも思ったり。というのも、公演時間100分の中では、宝塚を卒業後に活躍する今の望海が届けたい楽曲がもっと他にも沢山あるんだろうなと。大活躍してるからこそ、時間も足りないし前も向かないとだもんね。
さすがに赤い薔薇の花びらの海やソファはないけど(ああここにイザボーのラストシーンで降ってきた大量の花びらがあったら…と思い浮かべてしまうのも望海さん界隈ならではかな)、最後の「デボラ…」までヌードルスを貫いてくれた望海さん。ワンスのヌードルスはまさに男役の美学が凝縮されたような役だったな。(ハネムーン中の真彩ちゃんに観に来て欲しい…って強く強く思っちゃった。)

3.歌だけじゃない ダンスやシルエットでも魅せるディーバ(歌姫)

ダンスナンバー多めの洋楽メドレー

みんなが知ってるあの曲この曲、やっぱり選曲が神だなと改めて噛み締めた。小学校登校中に流れていたという思い出の『Top of the World』、まさに語りかけるように歌ってくれて、JPOPコーナーで聴いたパワフルな歌声だけでなく、望海さんの優しい歌声も真骨頂だなと聞き惚れた。次はまさかのABBA!『Money,Money,Money,』のイントロが聴こえた瞬間ぶち上がったな。いつかマンマ・ミーア!のドナを演じてほしい…そんな欲さえ沸いてくる。ここから『Sir Duke』、ロックな『Hound dog』とダンスナンバーが続くのも印象的で、当たり前だけどディーバ(歌姫)な望海さんは歌だけが強みなんじゃなくて、ダンスやシルエットの美しさでも魅せてくれる存在なんだなと実感した幸せな時間だったな…一挙一動に魅せられる感じがたまらなかった。

新しい『摩天楼のジャングル』

再び宝塚時代の『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』からこちらの楽曲。オープニングで望海ヌードルスがマシンガンをぶっ放してて痺れたな〜という当時の感動が蘇るけど、今回はダンスに特化されて、今回のキャスト総勢9名で魅せてくれた。宝塚時代の焼き直しというよりも、新しい『摩天楼のジャングル』だと話してくれたけどその通り。洋楽メドレーに引き続きの衣装にマフィアのハットとジャケットを加え、腰まであるほど長い髪を束ねた望海さんの“抜け感”、本当にかっこ良い。こちらもシルエットの美しさが光るシーンだったな。

イントロから震えた『Love Can't Happen』

望海さんの初観劇が1991年の月組『グランドホテル』だと私が知ったのは、彼女が現役タカラジェンヌとして初めて表紙を務めたan・anの誌面だった。ちなみに望海さんの同期の美弥るりかさんは本作で退団された涼風真世さんを追いかけていたので、もしかしたらこの2人(“だいもん”と“まいまい”)は入団前にどこかですれ違っていたのかな…なんて思いを馳せたりしちゃう。話が逸れまくるけど、美弥さんがゲスト出演された『望海風斗のほろ酔いアワー』も大好きです。

赤い薔薇が誘ってくれるメドレー、まさかグランドホテルまで…!望海男爵の歌う「マドモアゼル あなたを追いかけ世界を飛んだ」、当たり前に音をしっかりをはめつつも軽やかで、曲が進むにつれて世界が広がっていくような感覚に溺れた。恋に執着を見せたり恋を嘆く望海さんも好きだけど、恋の喜びを歌うまっすぐな望海さんも素敵なんだと再確認。

『摩天楼のジャングル』→『Love Can't Happen』→『アマポーラ』、そして五感や想像力にまつわるMCや寸劇コーナーは、ゲスト出演回ではカットだったので、通常回とゲスト出演回のどちらも観劇できてよかったな。どちらのパターンも配信してくれた理由がわかって、公式のホスピタリティも感じた。特に私はグランドホテルの権利関係の厳しさを恐れているので(勿論劇場で同じ空間で浴びたり、配信でリアルタイムで観れることが一番良いとしても)映像化してくれる場合はどうなるのかなと心配だったので、そういうことだったのかなと考えたり。

4.ゲストコーナー(3/24マチネ 上原理生さん)

“王妃”と“陛下”の『Something more』

もう、まさかすぎて、イントロ聴こえた瞬間の鳥肌よ… 本編は未見ながらもコンサートで何度も聴いてきた、ルドルフ ザ・ラストキスからの『Something more』。
イザボーで夫婦役にも関わらず「普通のデュエットじゃなかった」(by上原さん)二人が「おしゃべりしたのよ」「初めて出逢えた」と歌い出すので自然と涙が出てしまうし(涙腺が弱いので)、サビの「ただのロマンスじゃない 夢でもない あなたはそれ以上」の威力よ……歌が上手い人同士の声が重なり合う瞬間の相乗効果を愛してる。そしてこの二人の声量がものすっっごいので、ここのサビではその衝撃にやられて涙も溢れるしもう大変。

ちなみに、私がこの曲を劇場で聴いたのは3回目、しかも過去2回ともまさかの望海さんの同期達なので、89期の血を勝手に感じてぶち上がるしかなかったよ。

イザボーの絆

3月24日マチネの観劇時には、イザボーでヨランドを演じた那須凜さんも客席にいらっしゃってて、舞台上から呼びかける二人、ペンライトを振って応える那須さん、という構図が愛おしすぎた。そして本編中では「狂気王」として見境なく暴力を振るうし、夫婦なのに“普通”のデュエットが無いシャルル6世だった上原さんが、稽古場では望海イザボーへ暴力を奮ったあとのフォローが手厚かったというエピソードに胸が熱くなったり、春になったら自転車に乗りたいな〜と無邪気に語る望海さんに対して「あなたが怪我したら大変なことになりますよ??」って本気で心配してくれる上原さんの包容力に胸打たれた…かっこいいなぁ…

共通点は「ゴッドファーザー」

上原さんのソロはゴッドファーザーから『愛のテーマ』。劇場と一緒に客席にいる自分の身体まで震えるような感覚が忘れられない。ものすっっごかったな……語彙力の限界です。ゴッドファーザーの映画が好きで、パート2推しだと意気投合した二人も仲睦まじさにも癒されたし、男役とは何たるかをゴッドファーザーから学んでいたという望海さんが、上原さんのソロ歌唱後のこの一瞬のために葉巻を片手にハットまで被って登場されたのが嬉しかったな。この後『摩天楼のジャングル』がカットされちゃうから一瞬だけどサービスショットだったのかな…と考えたり、そのホスピタリティには頭が下がる思いです。

5.ジャンル豊かなミュージカルコーナー

白のドレスに着替え、髪もアップスタイルにまとめ、これぞコンサートの終盤だと感じさせてくれる変身を遂げた望海さんが歌いあげる、数々のミュージカルナンバー。ジーザス・クライスト=スーパースターから『I Don't Know How To Love Him 』、ディア・エヴァン・ハンセンから『Waving Through a Window』、音域もテンポも異なるこの2曲を連続で歌い上げる望海さんの技量には改めて感服だし、『Waving Though a Window』の疾走感に隠された、作品のヘビーな主題も秘めた望海さんの歌い終わりの表情が忘れられないな。

“白イザボー”の『Queen of the Beasts』

赤い衣装が多かった作品だけど、今回の衣装になぞり“白イザボー”だと喩えていた望海さん。歌詞も旋律も相まって、この曲が持つパワーの甚大さに改めて痺れるけど、イザボーの公演期間中に感じた「復讐だ」の歌詞に合わせて一段と決意も深まり孤独も際立っていたような強さと比べて、今回は世界が広がっていくような感覚を覚え、階段を使った演出も功を奏して、なんというか、すごく味方をしたくなるイザボーだった。先ほどのゲストコーナーでイザボーカンパニーの絆を感じたからなのか、孤高で終わらずに仲間がいるようで。
初日のMCで「イザボーと私、どちらが先に音を上げるか」と望海さんが語っていたけど、この表現が本当に好きだ。“最悪の王妃”に向き合うことがそれほど過酷だったこと、公演期間が闘いだったこと、それでも対等に闘い続けたこと。日本オリジナルミュージカルに主演として向き合う望海さんの矜持を感じる言い回しだ。

待望の『Listen』

ドリームガールズの映画版でディーナが歌うこの楽曲、ミュージカル版になかったのはなぜ?望海さんに歌ってほしかった、という声がきっと届いてたんだな。聞けて本当に嬉しかったし、この曲を自分のものとして歌い上げる望海さんという状況に感動する中、そんな感動に浸る余裕すら与えないほどの音圧にやられました。すっごかったな…
『Waving Though a Window』の歌唱後、ディア・エヴァン・ハンセンに出演されていたベン・プラットさんのパレードを昨年ブロードウェイで観劇した時、彼の歌唱力に圧倒されたと望海さんがお話されていたけど、望海さんが味わったその衝撃と同じように、今私達が望海さんの歌唱力に胸震えてるよ。本編ラストの『Listen』歌唱後、そんな気持ちでした。

6.“ありのまま”のアンコール

コーナーごとに衣装もヘアスタイルも変えてくれる望海さんが、コンサートのアンコール恒例のTシャツ+ジーンズ姿、そしてウィッグもエクステも無しで登場されて、そのありのままの姿、飾らずとも光る望海さんの魅力にもっと心を溶かされた2曲だったな。

『Breath』

発表された時飛び上がるほど嬉しかった、望海さんの念願のメジャーリリース、そしてアンジェラ・アキさんの楽曲提供。『始まりのバラード』や『HOME』、望海さんが度々アンジェラさんの曲を歌われることも大好きなのだけど、まさかこんな巡り合わせが待っていたなんて。

3月20日から音源配信がされているけど、コンサートでの歌唱の様子や、この曲が生まれたきっかけはこちらから見られるので、そのままリンクを貼らせていただきました。特に望海さんがこの曲に込めた想いは、誰かの言葉を通して一人歩きすることなく、このまま伝わってほしい。
ここからは私の考えだけど、皆が、その皆というのは関係性の濃淡によらず私や他のファンや、もっと言うと世間も含めた多くの人が、たとえ誰にも見えるような場所で言葉にしなくてもそれぞれの葛藤を抱えている中で、あくまでも「望海さんの場合」として、望海さんの苦悩も葛藤も受け止めたアンジェラさんが生み出された楽曲、という位置付けなんだと思ってる。歌詞を改めて考えた時、「解けそうな正気 ひび割れた信念」と言う歌詞で、蓋をした心が開いてしまった。でも「いつの間にか途切れたブレス」から「道標の尊いブレス 私のブレス」に向かう過程は、これからの自分を鼓舞してくれると思う。背中を押してもらいたい時に聞きたいし、望海さんが自信を持ってこの曲を全世界に発信されることを支持したいな。

『Your Song』

ムーラン・ルージュ狂なので、作品にまつわる楽曲を何か歌ってくれないかなと期待していたけど、まさかまさかのYour Songに堪らず涙腺崩壊。原曲(英語)で歌ってくれたけど、この100分で聴いてきた数々の楽曲よりも少しキーも低めで、衣装も相まってありのままの飾らない望海さんが語りかけてくれるようで、本当に胸がいっぱいになった。Your Songは、ムーランルージュの中ではクリスチャンが作った曲という設定で、彼がこの曲を歌いかけることによってサティーンの心が溶けて物語が進んでいくけど、本編最後ではサティーンが彼に歌いかけるんだよね。そんな大切な“二人の曲”をサティーンの立場から、いやそれを超えて望海さんの立場から歌いかけたくれるのだからたまらなかったな…

そして、今回のコンサートが終わっても、今年も開幕するムーランルージュの期待へと繋げてくれるように、この曲を最後に持ってくるセンスまで含めて惚れるしかない。アンコールの最後の曲としてこれ以上のものがあるのかな。幕開きからアンコールまで選曲の妙に酔いしれた100分でした。

そろそろ総括。歌を武器にする望海さんだけど、それだけじゃなくてダンスやステージングでも魅了してくれた無敵の望海さんに、五感を解放されたコンサートでした。素直な気持ちで全力で盛り上がった。燃え尽きた。楽しかった!!!

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望海さん関連の過去のnote再掲✍️ムーラン・ルージュの投稿は多すぎるので、サティーンにフォーカスした回と作品総括のみ!宝塚時代のFCには入っていませんでしたが、昨年のドリームガールズをきっかけにnozomistのコンテンツを沢山楽しませていただいています。おわり。

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