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展覧会鑑賞記録 『極楽鳥』『エゴン・シーレ展』

 この記録は、普段書いている日記をもとに加筆修正したものです。


インターメディアテク開館十周年記念特別展示 極楽鳥

日時:2023年4月4日 11:10頃〜
場所:インターメディアテク
備考:入場料・パンフレット無料 / 写真撮影可

 ヴァン・クリーフ&アーペルの宝飾専門学校レコールとの共同主催。

 「鳥の剥製──実物 / サイエンス」と「鳥をモチーフにした宝飾品──表現 / アート」のあいだに不思議な響き合いが生まれ、どちらにも美しさ・面白さを発見できる素晴らしい展示だった。剥製だけでなくデッサンや音声(会場BGMが鳥のさえずり)などさまざまな博物資料があり、鳥自体にも関心を持つことができた。
 一つだけ欲を言うならば、ジュエリーを作る際のデザインスケッチが見たかった。どの部位をどの宝石で、どんなカットで表現するかを試行錯誤する過程をもっと知りたい。権利とか企業秘密とか、そういうアレが難しいのだろうか。

 実は、レコールの日本特別講座を受けることは私の夢のひとつだ。金銭的に厳しくてまだ叶えられていないが、ヴァンクリーフ&アーペルの宝飾技術とデザインがますます好きになったし、この夢はぜひ叶えたいなと改めて思った。

 この展示、本当に入場無料でいいのか……? さらに入場者がもらえる無料パンフレットもボリュームたっぷりかつフルカラーで、どういう予算でやってるんだろうとやや不安になったww しかも写真撮影可能という大盤振る舞いに感謝感激であった。

 インターメディアテクの常設展示も最高で、ついつい長居してしまった。こちらも写真撮影可能(古代エジプトのミイラのみ不可)。鉱物コーナーに宝石の原石や大きなダイヤモンドがあり、『極楽鳥』で見たジュエリーと関連付けながら楽しめた。

ヴァン・クリーフ&アーペル、1928年製。バゲットカットの凛々しさとオニキスの黒が、燕の直線的なイメージを際立たせている。かっこいい。私も欲しい(言うだけならタダ)
ヴァン・クリーフ&アーペル、1945年製。実は、昔働いていた古着屋で、このデザインとほとんど同一のコスチュームジュエリーを見たことがあった。もちろん宝石ではなくエナメル、純金ではなく合金だが、あれも可愛かったなー。本物を目の前にして何の話をしているんだ……。


レオポルド美術館 エゴン・シーレ展
ウィーンが生んだ若き天才

日時:2023年4月4日 15:00頃〜
場所:東京都美術館
備考:一般2,000円 / 図録あり / 一部写真撮影可

 エゴン・シーレは高校生のときTumblrかPinterestかで見つけて以来(1月に葉山へ見に行ったマン・レイも同じようなルートで出会った)、長いことスマホの待受画面にしていたほど大好きな画家だ。その後の私の興味関心や活動分野にも間違いなく大きく影響を与えた存在だが、何がそんなにも私の心を掴んだのか、正直あまり分かっていなかった。しかし今回の展示でその真相が分かり、私はエゴン・シーレを好きになるべくして好きになったのだと確信した。
 一番胸を打たれたのはエゴン・シーレの死の床の写真だ。エゴン・シーレが遺した作品、詩、そして人生年表を一通り知った上でこの死写真を見たとき胸がいっぱいになった。涙が出るような、拍手したくなるような、身が引き締まるような、さまざまな思いが込み上げた。絵画で一番よかったのは『横たわる女』『背中向きの女性のトルソ』『肩掛けを羽織る裸婦、後ろ姿(『回心Ⅱ』の断片』)。

 エゴン・シーレの他にも同時期に活躍した画家──グスタフ・クリムト、コロマン・モーザー(展示室内でも限定ショップのポストカードコーナーでも若い女性に人気だった)などの作品もあり、ウィーン分離派好きとしても嬉しい展示内容だった。
 今回初めて知った画家のなかではオスカー・ココシュカが好きになった。クンストシャウのポスターが凄すぎて、展示室内でそこだけ異様な雰囲気になっていたww

 平日午後に関わらず超満員で全然ゆっくり見れなかったことに加え、見たかった絵はほとんどなくて(その作品がレオポルド美術館コレクションじゃなかったのか、作品自体に何らかの問題──それこそモデルの年齢とか──があったのか)残念だったけど、エゴン・シーレの作品を生で見られたという点においては大満足だった。

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