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Vol.09 「センスの花を咲かそう。」|浅田 裕理さん


約3時間のReginaでの練習を終え、お昼を食べる暇もなくゆりさんが次に向かったのは、Gravisのレッスンスタジオのひとつ。

この日は、このスタジオが開講してはじめてのレッスン日で、10名ほどの体験レッスンの生徒さんと、その保護者の皆さんをお迎えすることになっていた。


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体験レッスンの日は、普段のレッスンに比べてやることがたくさんある。

ということで、レッスン開始1時間前に到着し、この日の助っ人、やよさんも一緒に準備に取りかかった。

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レッスンの時間が近づくと、ゆりさんはやってきた生徒さんたちにウィルス対策の消毒をしたり、レッスン準備をさせ、やよさんは、レッスンがはじまるまでの間、生徒さんたちと一緒に氷鬼でウォーミングアップ。

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生徒さんたちが揃うと、いよいよレッスンのはじまりだ。


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レッスンのはじまる前から終わりまでで、ゆりさんが生徒さんたちに頻繁に促していたのが〈返事をすること〉、〈順番を守ること〉、〈自分でやること〉

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レッスンをスムーズに進行する上でも、こういったことを生徒さんたちに求めることは必要なことだけれど、それだけが理由ではない。

インストラクターとして活動する時に意識しているのは、生徒と対等な立場で向き合うことです。たとえ相手が子どもだとしてもそうするようにしています。

あとは、人としての行動に関わることは、ちょっと口うるさく伝えるようにしていると思います。(笑)


この日の体験レッスンに集まった生徒さんたちは、4歳〜11歳と幅広く、できることも異なれば、同じことをするにしても、そこにかかるスピードもそれぞれ違う。

それでも、準備から片つけまで、同じ空間にいるみんなと同じことを、それぞれができる形で取り組めるよう、ゆりさんはスタジオ内を見渡し、生徒さんたちに声をかけているように見えた。


きっとこうすることで、協調性や自律心といった、大人になってからも大事なものを育むことができるのだろう。

Gravisのチアダンスのレッスンは、幼稚園・保育園、学校といった空間とはまた別の教育的な場となっているようだ。


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レッスン中、生徒さんたちは、ゆりさんややよさんの動きを見よう見まねで追いかけながら、ゆりさんが説明するチアダンスで用いる基本的な手の形や用語について耳を傾けていた。

チアダンスには、基本的な手の形や脚の置き場所というものがあり、一見、同じような形や動きであっても、それぞれ微妙な違いがあるらしい。


この日は体験レッスンということもあり、チアダンスにはじめて触れるという生徒さんが多かったが、ゆりさんは、その基本的な部分を説明しながら生徒さんたちの前で一緒に踊ったり、時にはやよさんと一緒に、生徒さんの近くに行って、手の角度や脚の開き方について、丁寧に指導していた。

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いくらインストラクターのお手本を見ながらとは言え、大人でも自分の動きを客観的に把握することは難しい。子どもであれば尚更である。

こんな時、現役パフォーマーとしてのゆりさんの経験が活きているそうだ。

自分がパフォーマーとして踊る上でも、自分の動きを客観的に把握するのは大変なので、そのあたりの難しさはよく分かっているつもりです。

なので、身体の使い方や魅せ方のアドバイスする時に、技能的な伝え方だけではなく、感覚的な伝え方をするのが得意かもしれないですね。


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パフォーマーとしての経験も、こんなふうに指導の中で役立てられているゆりさん。

決して積極的な気持ちではじめたチアダンスではなかったものの、今やパフォーマーとしても、指導者としても、着実に経験と実績を積み上げられ、チアダンスを仕事にしている。


そんなゆりさんが今、思い出すのは、チアダンスを学びはじめた頃に当時の先生がかけてくれたあるメッセージだという。

はじめてチアダンスの大会に出る時だったと思うんですが、教えてもらっていた先生に、「センスの花を咲かそう」というメッセージをもらったことがありました。

その言葉に、少なからず自分なりの目覚めがあって、自分の中にチアダンスという新しい道を切り開いてもらったような気がします。


どんなにいいものを持っている人でも、自分でそのことに気がつけなければ、その種も芽を出す前に枯れてしまう。

このメッセージを教えてくれた先生は、当時のゆりさんには気づけなかったセンスに気づかせてくれた、そんな存在だったのかもしれない。


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そして、自身が指導者となった現在、ゆりさんが自分の生徒たちに望むこと。

そこには、この「センスの花を咲かそう」という当時のメッセージに影響を受けたゆりさんの経験が根底にあるようだ。

将来、子どもたちには、それぞれの道でチアダンスの経験を活かして活躍してほしいですね。

チアダンスに関わることならもちろん嬉しいですけど、別の道だったとしても、その中でチアダンスを通して培ったことを大事にしてもらえたらと思います。


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どんな人生を歩んでいても、分岐点に立つ瞬間が存在する。その分岐点に立った時、自分で選んだ道を切り拓いていける力を、チアダンスを通して育てていってほしい。

そんなゆりさんの生徒さんへの思いは、きっと指導の中で伝わっていることだろう。


ゆりさんの生徒さんへのこんな思いを聞いていたら、いつか生徒さんたちが大人になった時、チアダンスを通して見えてきたものや、選んだ道でチアダンスがどう影響したのか、なんて話もいつか訊いてみたくなった。






(編集後記へつづきます)


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#Gravis #チアダンス #Gravisの素直なところ