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Vol.08 パフォーマーを続ける理由。|浅田 裕理さん


学生時代の部活動において、ひとつの集大成となる大会。特に、最終学年の部員にとっては、そのステージにかける思いはひとしおだろう。

ゆりさんが最終学年となった年度の大会は、ゆりさんにとっても、JULIASにとっても、優勝が狙えるビックチャンスがかかっていた。


しかし、2011年の東日本大震災の影響で、その年の大会は出場すること自体ができなくなってしまったのだ。

昔、父の仕事の関係で家族で兵庫県に住んでいた時期があって、阪神淡路大震災を現地で経験しました。それ以来、ああいった大きな地震にはトラウマみたいなものがありましたし、未だにそうです。

2011年のあの震災では世の中全体が自粛ムードで、(玉川)学園からも大会出場に対してストップがかかりました。なんとかして出場したかったので、部で学園に直訴したりしたんですけど、やっぱり認められなくて。

仕方がないとは分かっていても、やっぱり残念でしたね。


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そんなゆりさんにとって、現役パフォーマーとしてReginaに加入することは、大学時代にやり残してしまったことに再び挑戦する意味もあったみたいだ。

Reginaに所属する時、「年齢的に、現役で踊れるのもこれが最後だろうなあ」と思っていました。

大学時代の最後の大会に出場できなかったことが心残りだったので、自分がパフォーマーとして踊れる場が欲しかった、というのもありますね。


GravisがプロデュースするチアダンスチームReginaは、設立して今年3年目となる。ゆりさんは設立当初から所属するメンバーのひとりだ。

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現在、専門学校の学生や大学生、社会人を含めた9名のパフォーマーが所属するReginaの練習は週に2〜3回。メンバーの皆さんは、それぞれ勉強や他の仕事と掛け持ちされながら練習に励んでいる。


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ゆりさんも、Gravisでのインストラクターの活動に加え、高校ではダンスの授業を受け持ち、保育園でもダンス指導をされているそうだ。

一見、かなり多忙に見えるけれど、実際はどうなのだろうか。

1週間ほぼフル稼働です。

大変は大変なんでしょうけど、とにかく体を動かすことが好きなのと、昔からそれしかできないんですよね。(笑)

Reginaの練習スタジオへ同行した道中、ゆりさんは笑いながらそう話してくれた。

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取材当日のReginaでの練習中も、真剣な表情の中に笑顔が多く見られたゆりさん。

パフォーマーとして、ゆりさんがチアダンスを続ける理由のひとつには、不完全燃焼のまま終わってしまった大学時代の悔しさや残念な思いももちろんあるのだろう。

しかし、練習中のその表情からは、何よりもチアダンスが純粋に好きだということが伝わってくるような気がした。


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こうした忙しいスケジュールの中、パフォーマーとして活動する上で意識されていることを伺うと、ゆりさんがパフォーマーを続けている更なる理由が見えてきた。

パフォーマンスすることにおいて意識しているのは、とにかく全力でやることです。

全力でやるから先が見えてくるというか、新しい自分になれるので。

それに、自分が教えている
子どもたちにとっても、良い見本でありたいし、目指す場所になりたいとも思っています。

ただ、学生時代よりチアダンス全体の技術レベルがめちゃめちゃ上がってるので、ついていくのにいっぱいいっぱいではあるんですけど。そこは身体に鞭打って頑張っています。(笑)


ゆりさんがパフォーマーを続ける理由は、単にご自身のためだけではなく、これからの世代にチアダンスを伝えるためでもある。

そのための方法は、指導者として活動することに限らない。

ゆりさんのように、パフォーマーとして日々進化し続け、その姿を見てもらうことも、またひとつの方法としてあり得るのだろう。


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そして、パフォーマーであることで得られるこうした現在進行形の経験は、ゆりさんが指導者となる際にも活かせているという。


指導者としてのゆりさんは、どんなふうなのか。

Reginaでの練習があったこの日の午後、Gravisのレッスンでチアダンスを教えるゆりさんの姿も見せていただいた。




(Vol.09へつづきます)


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