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【Column】2017年は転換点だったんじゃないの?アニソンシーンとライブシーンについて思うところを考えていた

2017年は転換点だったんじゃないの?アニソンシーンとライブシーンについて思うところを考えていた。

10年間を総括させたり、ファンも満足させるようなコラボ/カバーを取り入れたセットリストや、そしてアニソン歌手が所属する各レーベルでフェスができる・・・それほどにアニソンシーンは盛り上がりを見せ、アニソン歌手の層は厚くなったのか?。

音楽的な中身の話ではなく、外側にいるリスナーと実情について、ざっくりと思うところ。空ろ書きの雑文なので、信じなくていいです。

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2005年よりアニソンフェスを引っ張ってきたアニサマ
2009年より開催されてきたANIMAX MUSIX
2010年より「リスアニ! LIVE」シリーズが始まる

3日間での開催にこだわり続け、10年間の総括的なセットリストを目指したアニサマ。
直近直前のアニソンタイアップと人気曲に観客の声をフィードバックしてバッチリとハマったコラボ・カバーを揃えたANIMAX MUSIX。
武道館でのフェスティバル形式のみではなく、ライブハウスでの公演をテーマにしたリスアニ! CIRCUITやオールナイトDJイベントのリスアニ!ナイトなどを目指す「リスアニ! LIVE」シリーズ。

僕は今年、これら3つのアニソンフェスに加えて、SMT(Sony Music Theater)や、公式DJイベントのAJ NIGHTに足を運ばせてもらった。その集積は、マイナビニュースにてライブレポとして公開させてもらった。

ソニーの"音楽×アニメ"「MUSIC THEATER 2017」で見えた20年の軌跡と未来 https://news.mynavi.jp/article/20170613-musictheater/

キンプリ・ミリマス・スフィア・fripSideらが歌い踊った2日目 - 若手とベテランで熱狂に湧いた分岐点としてのアニサマ2017 https://news.mynavi.jp/article/20171029-anisumme2/

SMTのように、現在ではレーベル単体でのフェスも開催されて、大きな反響を生んでいるのも事実だ。数年毎にランティス祭りを開催してきたランティス、キングレコード、ソニーミュージック、ポニーキャニオン、NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンと、この2年で次々と開催(または開催決定)してきた。今回は、僕の皮膚感覚、思うところを雑記してみた。

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初っ端からたたっ斬ってしまうようだが、実のところ、アニソン歌手層が厚いわけでも何でもないし、アニソンシーンだけが特殊・特別・異質な盛り上がりをみせているとも言い難い、というのが僕の皮膚感覚だ。

むしろ逆に、アニサマ3日間で、いまの人気のアニソンシンガーや声優アイドルの大半が出てきてしまう状態で、それはこの10年間ほぼほぼずっと変わらなかったように見える。アニサマに出演したメンツが他のフェスでかぶってしまうこともよくある、今年のANIMAX MUSIX 2017 TOKYOの面々は、アニサマ2017の2日目のメンツが半分近く出ているという状態だったことを思い出して欲しい。

この「層の薄さ」が、声優さんが数多くシンガー・アーティストデビューしたり、新人シンガーの門出となる起因材料としてあげられる。その実、今年1年でOPEDを務めた方々で、『初めて音楽シングルを出す』という方が非常にたくさんいたことを忘れてはいけないだろう。

アニソンシーン内での盛り上がりは、ライブやフェスという見方を通すと、どうも需要と供給がアベコベになってしまっているのが実情だ。

それはアニメ作品数の多さや、音楽ビジネスマーケットの出口戦略の一つとして認知され始めたとか、シングルと音楽配信といったリリース形態の問題などなど、理由は様々ある。だが元を辿ってみると、アニソンの数はアニメ作品の人気や作品数に応じていることに尽きる、作品がかなり多くなった現在では、作られるアニソンも必然的に多くなるわけだ。アニソンは、アニメ作品ありき、その原則は忘れてはいけないはずだ。

一方、アニソン歌手のライブ興行に目を向けてみよう。ホール以上の集客は見込めず、ライブハウスで観客を埋めていくアニソンシンガーや声優は、実のところ数多い。もちろん5000人以上のホール以上の会場を埋められる存在がいるのも確かだが、半分以上はまだまだライブハウスでの興行を強いられてもいる。その点でいえば、<音楽フェス>という形で集客を求めるのは、昨今の音楽ビジネスを鑑みても鉄板のチョイスだと思える

もっと言ってしまえば、アニメ作品の人気という運任せに委ねなければいけない以上、アニソンシーンの浮沈はシンガー/声優と観客≒リスナーだけではなく、アニメ作品への人気に掛かっているのを忘れてはいけない。アニソンへの愛着はアニメ作品を通して生まれるもの、原則としてはその流れなのは間違いない。

では、この呪縛から離れるためには、いったいどうすればいいのだろうか。アニソンシーンが、いまのアニメ作品への人気にかかってしまうという鎖から、片足だけでも抜け出すことにある。もう一度再記するが、アニソンへの愛着はアニメ作品を通して生まれるもの、原則としてはその流れなのは間違いない。その流れを断たず、アニメ作品への注目は関係なく、『アニメ作品に関与しているシンガーやミュージシャンを愛してくれるリスナー』を生み出し続ければいいのだ。

このように書くと、アニメ関係者から多くのパッシングが来るのはわかる・・・「人の褌で相撲を取る」という故事成語は、この場合バッチリとハマってしまうわけだが、実際のところ、そういった「アニメ作品に関与しているシンガーやミュージシャンにだけ反応できるリスナーを生み出す」という試みは、とある時代までは必要なかったといえよう。なぜなら、多くのアニソンファンは、アニメ作品を見ることなしには、アニソンファンにならなかったからだ。

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だが現在2017年、アニメ作品が多くの人に取り沙汰されている今において、「アニメ作品に関与しているシンガーやミュージシャンを愛してくれるリスナー」も変容してきているのを感じる。つまるところ、アニメ作品を見るよりも、アニソンを先に知っている需要が高まってきているのだ。

ちょっとした一例をあげよう。
まず思いつくのが、ロックバンドのファンだ。ロックバンド陣のタイアップは数多いし、ヒットソングとなることが多い。アニソンシーン以外の音楽シーンから越境してくる音楽プレイヤー(作曲家やシンガー)も数多くいる、彼らを慕っていた音楽ファンが、アニソンファンへとなっていくこともあるだろう。

②アニソンのライブイベントよりも比較的安価なシーンとして、アニソンクラブイベントが00年代後半から勃興し、徐々に大きな影響力を及ぼしている。そこでは、自分の知らないアニソンが流れるという場面に幾度となく遭遇する。アニメ作品よりも先に、アニソンと出会う場所としても機能しているのが、はっきりと分かる
アニソンクラブイベントが活況をしていった背景を紐解くと、「アニメやアニソンに興味を持ち始めた層」の結集地としての役割もあり、これまでの「アニメ作品に関与しているシンガーやミュージシャンを愛してくれるリスナー」が集うという役割を加わえると、2つのトライヴのハブとして機能している。

③アニメ作品に限定的なキャラソンでOPとEDをあてがいつつ、ライブ興行ではほとんど見ることはない、そういったアニメ作品のOPEDは、アニソンクラブででしか出会うことのできないほどにレアキャラ化しているといえよう。この点を飛び越えてきたのが、けものフレンズやBang Dreamの声優陣らの活動と言っていい。
彼女ら声優陣のなかに、ブシロードグループ内に設立された声優プロダクション響の方々が目立つ。声優活動にプラスアルファの要素をもたらせる面々を揃える、それは「声優のタレント化」とも呼べよう質感をもたらし、彼女らを通してアニメよりもアニソンを先に知る人が生まれてくる。テレビへの出演・舞台化と出演・各種ライブイベントへの出演と、「目の前にやってくるキャラソングループ」としての足跡は、今後のアニソンシーンに大きな影響を及ぼすかもしれない。

④スマホゲームの大きな飛躍をここに投じてもいいだろう、スマホでのリズムアクションゲームが大ヒットを飛ばしていることだ。

以上のように、アニメとは異なる文化/カルチャーを経由してアニソンを捉えたり、興味本位の心でアニメ作品やアニソンシーンを見ている前者と、アニメシーン/アニソンシーンを集中的に目で追う後者とでは、やはりその質感・態度も変わってくる。いずれにせよ、「アニメ作品に関与しているシンガーやミュージシャンを愛してくれるリスナー」は、やはりいくばくか変容してきているようにみえるのだ。

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その点において、今年のアニサマはやはり大きな意味をもっていた。その3日間で披露されたセットリストは、10年間の総括的に取りまとめるような流れであったのだ。

http://anisama.tv/2017/special/setlist.php

この3日間で披露された132曲のうち、00年代以前の楽曲を探してみると、KING OF PRISM feat. DJ KOOによる「CRAZY GONNA CRAZY~EZ DO DANCE」のメドレーと、スフィア×i☆Risによるコラボとして披露された「おジャ魔女カーニバル!!」、氷川きよしによる「CHA-LA HEAD-CHA-LA」のわずか3つだけで、初日と3日目にいたっては00年代以降の楽曲のみで占められているのだ。

初日に披露された3曲、SOS団(平野綾×茅原実里×後藤邑子)の「ハレ晴レユカイ」(涼宮ハルヒOP)、けものフレンズ with オーイシマサヨシによる「ようこそジャパリパークへ」(けものフレンズOP)、ClariSによる「コネクト」(魔法少女まどか☆マギカOP)という3曲は、あきらかに『10年間の総括的』流れを体現していたように思える。

アニサマは今回3日間のセットリストで、ある種の試みをしたように思えるし、これまで同様に盛り上がったことを書き留めて置きたい。

00年代後半以後のアニメ作品が多くの人に注目されてきたということ、その注目度からは一旦離れたところで注目されてきたアニソンシーンの盛り上がり、その2つが混在した現在があるからこそ、アニソンシーンは盛り上がっている、怜悧な目線でそのように看破していたのではないだろうか

あるいは「CHA-LA HEAD-CHA-LA」も「残酷な天使のテーゼ」も、これまでの10年で何度もカバー/コラボされ、カラオケの定番にすらなったことでの経年変化もある。オタクたちが集まる場所としてのアンセム・一体感を埋める楽曲が、ついに00年代の楽曲から選ばれ始めたという感覚。10年という時の流れによって「アニメ作品に関与しているシンガーやミュージシャンを愛してくれるリスナー」が世代的に変わったという問題でもあるのだろう。その意味でも、この2017年は薄っすらとした転換の始まりだったのではないかと思えるのだ。

この点においては、ANIMAX MUSIXやリスアニLIVE!!でもほとんど同様だと思える、それはむろん出演者やセットリストを見れば自ずと分かる。この3者を分け隔つのは、会場演出(VJや特効など)とセットリストの変化・出演者といったところ。それも最初に書いたように、アニソン歌手の頭数そのものは、フェスの数からとしてみると少なすぎるが、すべてのシンガー・バンド・声優らがホールやアリーナを埋められるわけでもないという状況でもある。(もしもそんなシーンがあったら、それこそ脅威的な話だ)

https://www.lisani.jp/keywords/3830/

https://twitter.com/animaxmusixjp

この点において、Sony Music Theater 2017は、自社レーベルのSACRA MUSICに所属するシンガーやバンドを出演させている分、出演者そのものの広がりや選択肢はかなり限定的だ。

しかしながら、アニメ映像をライブ中にほぼ100%使い、アニソン歌手の顔や演奏してる光景よりも目立たせるという演出方法を採用したのは、ある意味ではリーサル・ウェポンとしての側面が非常に大きい。そう、アニソンへの愛着はアニメ作品を通して生まれるものという、大原則・原点に立ち返った演出だからだ。この日のライブアクトでは全編で生バンドを採用していたが、その音声調整と映像演出用に使われたPA卓の大きさは、アリーナ後部のブロックを1つ潰すほどの物量だ。

生音と生映像の密接なマッチング、そこから生まれる没入感は、僕が足を運んだほか4つのイベントよりも非常に高かった。同イベント終了時に流れたメッセージはこうだ。

「すべての『アニメファン』すべての『音楽ファン』に感謝を これからも『アニメ』と『音楽』のコラボレーションを一緒に体験していきましょう」

そこにあるのも、『アニソンは、アニメ作品があるからこそ生まれるものだ』という、音楽作品側から映像作品側へのリスペクトであり、『音楽と映像という、素晴らしいポップカルチャー作品がぶつかりあうことで生まれる輝き』への希望感、そういったメッセージを投げかけている。

日本においてアニメーションが生まれて100周年を迎えた今年2017年、この奇形的に拡がったアニメシーンと周辺のシーンの行く末を考える上で、今年2017年のアニソンシーン/ライブシーンは大きな転換期だったと思える。

音楽的な中身の話ではなく、外側にいるリスナーと実情について、ざっくりと書いた。空ろ書きなので、信じなくていいです。

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