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#17アスリートに必要なホルモンの知識

こんにちは!
草野球プレーヤーモトです⚾️

今回は

ホルモンについてまとめていきます。

この記事を読んでいる方はスポーツに関する内容に興味のある方が多いので、身体の成長とホルモンの関係に絞って話しを進めていきます。

最近はNSCA出版のストレングストレーニング&コンディショニングを使って勉強しているので、その復習も兼ねての内容です。

その本の第3章(P45〜72)
「レジスタンスエクササイズに対する内分泌系の応答」について、頭に叩き込むべくしつこく読み込んだのでそのアウトプットとなります。わかりやすい言葉に噛み砕いての記事になるのでトレーナーとしての勉強してる方にも役に立つかと思います。

それではいきます。

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ホルモンとは?

内分泌腺(分泌のための器官)やその他の細胞によって合成、貯蔵され血液中に放出される化学物質である。

ホルモンの主な分泌場所は以下の通り、脳や肝臓、腎臓、精巣などがあります。

(P47:図3-1より引用)

基本的にはホルモンは血液によって運ばれ、標的になる器官に運ばれて作用します。
ただ例外もあり、分泌した細胞自身に作用するオートクリン分泌隣接する細胞に作用するパラクリン分泌というパターンも存在します。

以前、YouTubeにて筋肥大の仕組みについて解説したことがありますが
その際に登場したIGF-1(アイジーエフワン)の場合は筋肉で分泌され筋肉自身に働くので、オートクリン分泌にあたります。

(⬆︎動画:筋肥大の仕組みについて)

ホルモンには大きく分けて2つの種類があり、種類によって作用するまでの流れが変わります。

1つ目 ステロイドホルモン

代表格にテストステロン(男性ホルモン)が挙げられます。
これは脂溶性(脂に溶ける性質)であるため、イメージとしては受容体と結合したのちに細胞核内の遺伝子物質に直接入り込んで遺伝子を転写させることができます。

2つ目 ポリペプチドホルモン

代表格に成長ホルモンとインスリンが挙げられます。
ポリペプチドホルモンはアミノ酸(タンパク質)によって作られ、脂溶性ではないため細胞膜を通過できません。細胞膜は脂質で構成されているためです。
そのため、細胞膜にある受容体と結合し結合した受容体が細胞内の二次メッセンジャー(STAT)を使って細胞内にメッセージを届けます。

どちらにせよ、ホルモンは特定の受容体にのみ作用するため鍵と鍵穴理論という言葉で説明がつきます。
しかし、ホルモンは複数の生理学的役割を担っており、その仕組みも独自で動いたり、他のホルモンに依存して機能する場合もあり今は鍵と鍵穴の理論以上に複雑であることが分かっています。


さて、ここからが今日の記事の本題となります。筋の同化作用(アナボリック)と異化作用(カタボリック)に関連するホルモンについてです。

先程出てきたテストステロンや成長ホルモンが筋肉の発達に役立っていることは知ってる方もいるでしょう。

筋肉の同化(筋肉の合成)と異化(筋肉の分解)は同時に行われており、どちらのほうが優位かによって筋肉が発達したり小さくなったりします。

超回復理論で言われるように分解、そこから合成と綺麗に切り替わるほど単純ではないわけです。

まずは筋肉の同化に関わる主なホルモンから解説していきます。

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●テストステロン(男性ホルモン)

某社長のTwitterのアカウント名になるほど有名な筋肉の発達に関わるホルモンです。

テストステロンは筋組織に直接的にも間接的にも影響を与えます。ステロイドホルモン(脂溶性)であるためニューロン上の受容体に直接作用し、神経伝達物質の量を増加させ、構造タンパク質の変化に関与します。
この作用は筋の力発揮能力向上と筋量増加にも繋がりますし、骨格筋そのものに作用することも出来ます。

女性の場合、テストステロンの濃度が成人男性に比べ1/15〜1/20であるばかりか、トレーニングを行っても濃度の増加が示されません。そのため、女性の筋肉の発達にはテストステロンはあまり関わっていないことが読み取れます。

(P61 図3.9より引用:緑 男性 黄色 女性)

18歳以下の男子においてもテストステロンの生成は非常に低いですが、以下の方法を単独あるいは組み合わせることで濃度を上昇させる事が出来ます、

・大筋群のエクササイズ
 デッドリフト、スクワット、クリーンなど
※ベンチプレスは該当しない
・高重量の負荷(1RMの85〜95%)
・セット間の短い休息時間(30sec〜1min)
・2年以上のトレーニングの経験

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●成長ホルモン

これも筋肉の肥大に必要なホルモンとして有名でしょう。いわゆる超回復理論を説明する人の多くはこのホルモンの名称を利用するイメージがあります。
先程説明した通り、成長ホルモンはポリペプチドホルモンであるため二次メッセンジャーを介して作用します。

成長ホルモンは骨格筋でのアミノ酸の取り込みやタンパク質合成を高め、筋繊維タイプI(遅筋)とタイプⅡ(速筋)どちらの筋肥大ももたらします。
また直接的に作用するだけでなく、肝臓や脂肪細胞などでのIGF-1の産生にも関与し間接的にも筋肥大に関わります。

(P62 図3.10より引用)

成長ホルモンは様々な役割がありますが、そのうちのいくつかをピックアップします。

・細胞膜を通過するアミノ酸輸送の促進
・タンパク質合成の促進
・脂肪酸の利用促進
・脂肪分解の促進
・コラーゲン合成の促進
・免疫細胞の機能増強

成長ホルモン自身にも筋肥大を促進する作用がありますが、IGF-1(インスリン様成長因子)の産生にも関わっている強力な同化ホルモンです。
その仕組みは先ほどの図の通り視床下部や下垂体前葉と複雑な関係で調節されていますが、このような仕組みをフィードバック機構と呼びます。

成長ホルモンの分泌は性別、睡眠、栄養、アルコール摂取、運動などの様々な外的因子によっても変化するため、トレーニングさえすれば分泌される!というほど単純ではありません。

逆にいえば、成長ホルモンの分泌を高めたければトレーニングだけでなく睡眠や食事にこだわりを持てば良い効果があるとも言い換えられます。

面白いことに成長ホルモンのみの投与では筋サイズの増加はあり得るが、筋力増加に効果がないとされています。筋力向上や筋肥大のためには運動刺激と関係する内因性のメカニズムが必要となります。

要するに成長ホルモンの投与による筋肥大と運動によって起こる筋肥大では質が異なるということです。

成長ホルモンの増加に関しては運動量、セット間の休息時間、抵抗(トレーニングの負荷)によって異なります。
成長ホルモンは無酸素的な運動、すなわち乳酸濃度と関係があるため低負荷(7RMの28%)の高回数のトレーニングでは濃度が上昇しなかったという報告があります。

休息時間を長く取るトレーニングの場合は強度を上げて閾値に達する必要があるようです。

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●インスリン様成長因子

これはあまり馴染みがないホルモンでしょうが、先ほどから度々出てくるIGF-1のことです。種類的には成長ホルモンと同じくポリペプチドホルモンになります。
ちなみにIGF-1だけでなく、IGF-2も存在しますが、後者の機能はほとんど明らかにされていません。
IGF-1の役割はタンパク質合成を増加させることであり、同化作用のあるホルモンの一種となります。

IGF-1はトレーニングによって筋肉自身から分泌されるパターン(オートクリン分泌)と肝臓から分泌されるパターンがあります。
肝臓から分泌されるパターンに関してはその過程に8〜29時間かかります。

IGF-1の合成の調節に成長ホルモンのフィードバック機構が関わると先ほど書きましたが、他にも甲状腺ホルモンやテストステロンも関係します。

要するに同化ホルモンの多くは密接に関連し合っていると把握しておくと良いでしょう。

IGF-1の筋への影響については筋自身で分泌されるオートクリン分泌の機構が最も重要であり近年注目されています。

私が昨年、筋肥大について説明した動画はこのオートクリン分泌に注目した内容でした。
詳しくは下記動画をご覧ください。

(動画:筋肥大の仕組みについて)

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●副腎ホルモンについて

副腎から分泌されるホルモンを1つずつ説明していく前に、まずは副腎の概要から話をしていきます。

副腎には皮質と髄質の2つの主要な部分があり、両方とも運動のストレスに応答します。
トレーニングやコンディショニングにおける重

主な副腎ホルモンは
副腎髄質から放出されるカテコールアミンおよびエンケファリン含有ペプチド

副腎皮質から放出されるコルチゾールです。

1つずつ説明していきます。

カテコールアミンという言葉は聞いたことないだ事ない人も多いかもしれませんが、アドレナリンドーパミンは聞いたことあるのではないでしょうか?
これらを総称してカテコールアミンと呼びます。
高重量のトレーニング中にカテコールアミンの放出量の多い男性は筋力発揮を維持出来ることが判明しており、非常に興味深いホルモンです。
プレワークアウト系のサプリはカテコールアミンの分泌を促進するために、血管を拡げて血流量を上げる栄養素が添加されています。

カテコールアミンの役割は以下の通りです。
・中枢神経系、代謝酵素活性化による力の発揮の増加
・筋収縮速度の上昇
・利用可能なエネルギーの増加
・血流量の増加
・テストステロンなど、ほかのホルモンの分泌速度の上昇

上記の通り、カテコールアミンには直接的な筋の同化作用(筋タンパクの合成)はありません。ただし、その後にテストステロン、成長ホルモン、IGF-1の応答メカニズムに関わっているので、トレーニングに反応して起こる最初の内分泌メカニズムであると考えられます。

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●コルチゾール

最後に筋の異化ホルモンであるコルチゾールについてです。コルチゾールは副腎皮質から分泌されます。
コルチゾールといえば別名ストレスホルモンと呼ばれ、筋の分解も起こすことから悪者として認識している人も多いでしょう。

主な役割は以下の通りです。
・アミノ酸の炭水化物への変換
・タンパク質分解酵素の増加
・タンパク質合成の抑制

筋肥大と一言にまとめられる身体の仕組みですが、実は筋繊維によって肥大の仕組みが異なるためコルチゾールの与える影響も異なります。

タイプI(遅筋)繊維の場合は肥大の仕組みがタンパク質分解の減少への依存が大きく、タイプⅡ(速筋)繊維ではタンパク質合成の大幅な増加によって肥大させるという特徴があります。

速筋線維の方が筋の発達の速度が早い理由でもあります。

そのため、コルチゾールはタイプI(遅筋)繊維よりもタイプⅡ(速筋)繊維により強力な異化作用(分解)を引き起こします。

コルチゾールの長期的な分泌は有害な作用ですが、コルチゾールの短期的上昇(トレーニング直後など)そのものは筋の質を良く(リモデリング)するために必要です。

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いつもの記事に比べ、かなり長い文章になっていますが筋の同化・異化作用に関わるホルモンは以上となります。

同化作用を持つホルモンを主に選んで説明をしたため、同化作用のほうが基本起こりやすいのかなと思った方もいるかもしれません。
しかし、これら筋肉を合成する身体の仕組みは結局リボソームしかないのに対して、分解系は3つ(オートファジー、ユビキチン・プロテアソーム、カルパイン)もあり、さらに筋繊維から分泌されるマイオスタチンという物質も筋肉合成にブレーキをかけます。

筋肉が大きいということは即ち消費するエネルギーも大きくなるという事なので、身体はなるべく不必要に身体を大きくしないための仕組みが強いということを最後に覚えておいてください。

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★まとめ

●ホルモンに同化作用(筋の合成)を起こすものと異化作用(筋の分解)を起こす仕組みがある

●テストステロン濃度を上昇させるためには高強度のトレーニングや短い休息時間といった方法が有効

●成長ホルモンの濃度を上昇させるためにはテストステロンが記述した高強度のトレーニングや短い休息時間に加え、睡眠や食事にこだわるのが有効

●副腎ホルモンは直接的に筋の同化作用には関わらないが、長期的なコルチゾールの分泌を抑え、トレーニング中のカテコールアミンの分泌を促進することによって筋の発達に関わっている。


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