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SF機体列伝No.7「真・業火を操る使たち」 R-9Skシリーズ(後編)

ライター:ヒラ(ゲームデザイナー)

このコーナーでは、SFサイドビューシューティングゲーム『R-TYPEアール・タイプ FINALファイナル 2』『R-TYPEアール・タイプ FINALファイナル 3 EVOLVEDエボルブド』に登場する主人公機体である次元戦闘機を紹介してまいります。
過去分は↓こちらでご覧いただけます。

また、このゲームの舞台となる世界観につきましては、R機体列伝No.1をご覧いただけると幸いです。

今回の機体列伝では、火炎系武装機体であるR-9Skシリーズの最終機として作られた2機の機体「R-9Sk3 セラフィム」と「R-9SkZ ルシファー」にまつわる話を書いていきます。
前日譚にあたる『SF機体列伝No.4「業火を操る使つかいたち」 R-9Skシリーズ(前編)』は↓こちらをご覧ください。


執念の炎が生み出した更なる進化 
火炎武装専用機最終型 R-9Sk3 セラフィム

火炎武装機開発プロジェクト再始動

軍上層部から突如として召集をかけられたTEAM R-TYPEの開発者たち。
詳細を知らされず研究室へ向かうように告げられた彼らが部屋に入ると、そこには酷くやつれた顔をした一人の男性がたたずんでいた。
彼はミヒャエル・エバンス大尉。かつて火炎武装機開発チームのリーダーを務めていた開発者である。
軍はエバンス大尉をリーダーとした火炎武装機開発チームを再結成し、R-9Skシリーズの後継機の開発を命じたのであった。

自らが開発した機体を眺め、しばしたたずむミヒャエル・エバンス大尉
(左奥が「R-9Sk プリンシパリティーズ」、右手前が「R-9Sk2 ドミニオンズ」)

執念が生み出した新たな可能性

「軍が要求した火力水準を実現できない」という理由でR-9Skシリーズの後継機開発は中止を余儀なくされたのだが、エバンス大尉はただ一人で火炎武装機の研究を続けていた。
周囲からの奇異の目に晒されながらも、執念とも呼べる日々の研究の中で彼が生み出したのが、熱伝導性や耐熱性の高い特殊合金を用いた排熱用ユニットに関する技術である。
この技術が軍に認められたことで火炎武装後継機の開発計画は再開されることとなった。

機体の翼部に取り付けられた排熱用ユニットは、常時はヒートシンクの役割を果たすのだが、蓄熱量が一定以上に達した際にはユニット自体をパージすることによって一度に大量の熱を排することが可能である。
ただ、装填できるユニットの数には限りがあるため、パージ機能については最大蓄熱量を超える恐れがある灼熱波動砲Ⅲの最大チャージ時のみに限定されている。

排熱用ユニットを展開するR-9Sk3
蓄熱量に応じてユニットが赤熱していき、限界熱量に達するとパージされる

悪を浄化する聖なる炎

排熱用ユニットの実装によって機体の放熱機能が大幅に向上したため、機体やフォースに小型トカマクを複数搭載することによって、軍が要求した火力水準を実現することが可能となった。
攻撃範囲もさらに拡大しており、単機での運用が基本であったにもかかわらず数多くの戦果を挙げ、R-9Skシリーズの最終機に相応しい活躍を見せた。
強化された灼熱波動砲Ⅲで敵を焼き尽くすその姿がとても美しく、またパージした排熱用ユニットは天使の羽が舞っているようにも見えることから、R-9Sk3は熾天使してんしセラフィムの名で呼ばれることとなった。

灼熱波動砲Ⅲでバイドを殲滅するR-9Sk3


悪魔の炎を操りし堕天使 
バイド素子添加型火炎武装機 R-9SkZ ルシファー

秘密裏に進められた機体開発

エバンス大尉が排熱用ユニットに関する技術論文を提出し、火炎武装後継機の開発計画再開を求めた際、軍上層部はある条件付きでそれを認めることとした。
その条件とは機体や排熱用ユニットの素材として「バイド素子」を用いた、新たな火炎武装機を開発することであった。
バイドが本来持つ強靭性や凶暴性を活かして機体の耐熱性やフォースの攻撃性を高めるというのが表向きの目的ではあったが、実際には1機でも多く「バイド素子添加プロジェクト」の成功例を作り、軍としての実績を残すことが本来の目的だったとされている。
エバンス大尉はバイド素子の危険性を訴えたが聞き入れてもらえず、半ば強制的に“2機”の火炎武装後継機の開発を進めることとなった。

ある日の夕暮れ、ミヒャエル・エバンス大尉と火炎武装後継機を写した貴重な一枚
(左手前が「R-9SkZ ルシファー」、右奥が「R-9Sk3 セラフィム」)

「BJ物質」と「リボン体」

R-9SkZの開発チームに召集されたのは「バイド素子添加プロジェクト」を進めてきたバイド素子研究の専門家プロフェッショナルたちであった。
まずは排熱用ユニットの素材に使用するバイド素子についての研究や議論が盛んに繰り広げられた。

排熱用ユニットの素材に求められるものは、高い熱伝導性と耐熱性である。
これまで研究されてきたバイド素子を改めて調査したところ、B-3C系列に使用されているゼリー状の組織「BJ物質」が高い熱伝導性と耐熱性を有していることが判明した。
BJ物質は不安定ではあるが自己増殖機能を有することも報告されており、うまく使えば排熱用ユニットをパージ時した際の再装填が不要となるメリットもあった。
そこでBJ物質に、B-1C系列で研究が進められた自己修復因子「リボン体」を掛け合わせて自己修復機能の安定化を図った新素材「BJR物質」を排熱用ユニットに使用することとなった。

「BJ物質」の研究により開発されたB-3C2 セクシー・ダイナマイトⅡ(右手前)と
「リボン体」の研究により開発されたB-1C3 アンフィビアンⅢ(左奥)

「BJR物質」を用いた排熱用ユニット

「BJR物質」に使用された「リボン体」はB-1C系列の開発における研究成果として「自己修復速度」や修復時の「エネルギー効率」が改善されたものではあったが、それでもなお消費エネルギーを抑えるための方策を施す必要があった。
そこでBJR物質を極力薄く引き伸ばして展開することで修復が必要となる体積を減らし、消費エネルギーを最小限にとどめるという案が採用された。
薄く展開することで表面積を増やすこともできるためヒートシンクとしての機能を向上させることにもつながり、まさに一石二鳥の素晴らしいアイデアであった。

開発チームは研究の末、BJR物質をスカート状に薄く展開する技術を確立し、蓄熱時には展開したBJR物質がヒートシンクとしての役割を持つことで放熱を促し、一定以上の熱がBJR物質に蓄積された場合にはそれ自体が崩壊して強制的に排熱するという機構を備えた排熱用ユニットを完成させた。
また、小型トカマクから発せられる余剰分の熱エネルギーを修復時の消費エネルギーに回すことで、エネルギー消費をほぼゼロに抑えて修復することが可能になった。

バイドと相対し、BJR物質を展開して波動砲をチャージするR-9SkZ

バイドをもってバイドを制する

バイド素子は排熱用ユニットだけではなく機体の外装やフォースの素材としても用いられた。
機体外装には少量のバイド素子を添加し、パイロットには影響がほぼ出ない範囲内で機体自体の耐熱性や強靭性を向上させている。

また、フォースについてはR-9Sk2の「フレイム・フォース」に搭載されたレーザーを基にしつつ、フォース自体の構造としては攻撃性(バイド係数)の高さで知られていたR-13Bの「アンカー・フォース改」を基に、さらに攻撃性を高める研究が進められた。
結果としてこの目論見は功を奏し、R-9SkZの「ヘルフレイム・フォース」は歴代のフォースの中でも最も攻撃性の高いフォースの一つとして数えられることとなった。
バイドに獰猛に喰らいつき燃やし尽くすフォースの姿は、まさにバイド素子添加プロジェクトの目的である「バイドをもってバイドを制する」を体現していた。

本能の赴くままにバイドに喰らいつこうとするヘルフレイム・フォース
バイド係数が増加すると一時的に有線制御を受け付けなくなる

悪を滅する地獄の業炎

機体自体が秘密裏に開発されていたこともあり、出撃回数こそR-9Sk3に遠く及ばなかったものの、挙げた戦果についてはどれもR-9Sk3にも引けを取らないものばかりだった。
バイド素子の影響で黒く禍々しく変色した炎でバイドを焼き尽くす姿や、妖しげに光る排熱用ユニットを翼のように広げる様子から、R-9SkZは堕天使長ルシファーの名で呼ばれ、その存在を知る一部のパイロットからはR-9Sk3と双璧をなす機体として畏怖されることとなった。

なお、R-9Sk3とR-9SkZの開発終了後、この2機体開発における最大の功労者であるエバンス大尉は軍から忽然と姿を消しており、彼のその後の消息は誰も知らない。

チェーンヘルフレイムでバイドを焼き払うR-9SkZ

火炎武装機R-9Skシリーズ② Data

火炎武装専用機最終型 R-9Sk3 セラフィム

・フォース:ブレイズ・フォース
 - 赤:チェーンブレイズ
 - 青:ブレイズスロワー
 - 黄:ブレイズウォール
・波動砲:灼熱波動砲Ⅲ
・搭載可能ミサイル:火炎誘爆ミサイル/爆雷 / 誘爆ミサイル
・装備可能ビット:ラウンドビット / シャドウビット
・スペシャルウェポン:ニュークリアカタストロフィー

バイド素子添加型火炎武装機 R-9SkZ ルシファー

・フォース:ヘルフレイム・フォース
 - 赤:チェーンヘルフレイム
 - 青:ヘルフレイムスロワー
 - 黄:ヘルフレイムウォール
・波動砲:業炎波動砲
・搭載可能ミサイル:火炎爆雷/爆雷 / 誘爆ミサイル/目玉爆雷/目玉誘爆ミサイル
・装備可能ビット:ラウンドビット / シャドウビット/眼球・ビット
・スペシャルウェポン:エンボス

攻略情報

火炎武装機の最終型(R-9Sk2の強化機体)となる2機ですが、それぞれ異なった内容の強化が施されています。R-9Sk3は純粋にレーザーの威力が高くなり、波動砲やレーザーによる攻撃範囲が広くなっています。R-9SkZはレーザーの強化は控えめですが、波動砲の威力が上がっており、フォースには新機能(R-13Bのアンカー・フォース改に類似した機能)が追加されています。このフォースの食いつきによる攻撃はとても強力です。敵やステージとの相性を考えて2つの機体を使い分けるとよいでしょう。なお、攻撃範囲の広さに伴う死角についてはR-9Sk2に引き続き注意が必要です。

R機体列伝について

この機体列伝は、ゲームソフト『R-TYPE FINAL 2』『R-TYPE FINAL 3 EVOLVED』のマニュアル「機体列伝」に掲載されている各機体に関する解説に一部加筆・修正を施したものです。
なお、ゲームソフト内の「機体列伝」に掲載されていない機体につきましても、今回の記事のように先取りで紹介することがございます。
今後も、様々な登場機体をご紹介していきます。

R-TYPE FINAL 2 情報(PS4, NS, XBoxOne/X, PC用)

- 公式Webサイト:https://rtypefinal2.com/ja/
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R-TYPE FINAL 3 EVOLVED 情報(PS5用)

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