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法務部員、美大へ行く。 #10 / 「すごい!!!」と思った作品には共通していることがある気がする。

このシリーズは、企業法務に従事する筆者が京都芸術大学でデザインを学んだ理由を開陳しつつ、筆者自身があたまの中を整理しようとするものです。私の卒業制作についてはこちら。


基本的に同じ年のほかの方々の卒業制作や、過去の卒業制作を見て思ったことを念頭に置いているが、世間一般のデザインについても当てはまるような気がしている。

「すごい!!!」と思った作品には共通していることがある気がする。すなわち、「これしかない」気がする、である。

その実、設定されたテーマは、趣味のことや地域の魅力を発信するとか、枠組み自体はシンプルである。私の卒業制作も大雑把に言えば「法って面白いよ」なので、趣味の魅力発信みたいなもんである。

しかし、その「魅力発信」にはいろんな手段がある。パンフレットをつくる、PVをつくる、アプリを作る、ゲームにしてみる…等々。

「すごい!!!」と思う作品とは、いろんな手段があるにも関わらず、当該作品が選択した手段が唯一であり、他に方法がないように感じられる作品だ。

これは本当に不思議で、マジでそれ一択であるかのような気がしてくるのである。作品のプレゼンを聞いていても、テーマから作品の隅々に至るまで、キレイな一本道が通っていて、途中で転けそうになったり、分岐点を発見したり、来た道を振り返るような気も起きない。

ありそうなテーマに始まり、いろんな方法があるんだろうなとぼんやり考えていたのは束の間、スーーーーーーーっとその「作品」まで到達してしまう。そこで思う「これしかない」わ、と。

無愛想に言うと、設定した課題に対して最適な手段が選ばれているということであり、あまりにも当たり前の話ではある。でもそれがきちんとできた時、作品は「我こそ正解なり」と堂々訴え、テーマに対して手段が…なんて考える以前にねじ伏せてくるとんでもないパワーを持つと思う。

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ちなみに例えば、もういつかは忘れたが、私は山口小夜子さんが起用されている資生堂のポスターでねじ伏せられた。以後、結構真面目に直視できない。そのくらいぶっ飛ばされた。この時、デザインの破壊力を体感し、今に至る。


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