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帰ってきた「レインマン」はトリオ編成の夢を見るか?

同志Aからのお題:虹


バリー・レヴィンソン監督の「レインマン」が「午前十時の映画祭12」でスクリーンに帰ってきた。高校3年生以来、33年ぶりに劇場で見た。

サヴァン症候群の兄と、亡き父の遺産目当てに彼を施設から連れ出す弟。クラシックな1949年式ビュイックでルート66を西に向かう中で、2人の心が次第に変化していく。ダスティン・ホフマンのなりきり名演と、自己中心的で嫌な役柄ながらトム・クルーズの振りまく黄金のスマイル。対比が実にいい塩梅だ。

37年ぶりに見た「メイン・テーマ」は内容をほぼ忘れていたが、「レインマン」はサントラCDを聴き込んでいた時期もあったので、音楽が流れるたびに「これだよ、これ!」と初見の感動がよみがえってきた。

オスカー主要6部門をはじめ、数々の映画賞に輝く名作。物語やキャスティングはもちろんだが、選曲の妙が光る。クレーンに吊られた輸入高級車が画面を横切るオープニングは、ベル・スターズ「アイコ・アイコ」のコンコン・コココンのリズムが心地いい。

ギスギスした兄弟旅を和ませるのは、ザ・デルタ・ボーイズの骨と骨をつなぎまくる愉快なコーラス「ドライ・ボーンズ」や、のほほんで伸び伸びしたルー・クリスティの「ビヨンド・ザ・ブルー・ホライズン」。

ロブ・ワッサーマンのベースとアーロン・ネヴィルのファルセットボイスが絡む「スターダスト」や、エタ・ジェイムズのコク深い「アット・ラスト」はラスベガスの街並みにしっとりと。

ハンス・ジマーによるオリジナルスコアも耳に残って離れませぬ。今やハリウッドを代表する売れっ子作曲家にとって「レインマン」は出世作。民族音楽的な響きで哀愁漂うテーマ曲も、カジノでの大勝負に鳴り響く「ラス・ヴェガス」も才気があふれている。

「トップガン」「レインマン」「カクテル」…若きトム・クルーズは音楽に恵まれてた。

レインマン(雨男)とは弟の幼いころの記憶に残る人物(←ここはすっかり忘れていた)
子ども時代だから「レイン坊」ではどうだろうか、と妄想してみる。

ヤン坊、マー坊、レイン坊
天気予報CM復活の折にはトリオ編成いかがでしょう、ヤンマーさん。

そういえば、シンディ・ローパー姐さんが1986年に「アイコ・アイコ」を、2003年に「アット・ラスト」を、それぞれアルバムで取り上げている。ダスティン&トム・ブラザーズもアメリカ大陸横断の終わりに、それぞれの心の中にある雨上がりの虹のような“トゥルー・カラーズ”を見るに至ったのでは、と思うのだ。

I see your true colors…
True colors are beautiful
Like a rainbow


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