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ポジティブ組織心理学を学んでみた其の二

こんにちは。グランドデザインの高野です。

前回の記事にありますように今年に入ってポジティブ心理学を本格的に学び始めなんとかグランドへ活かせる手段はないかと模索中です。
皆様に何か少しでもお力になれればと、今回もこの学問に絡めて記事を書きたいと思います。

今回は、
●なぜ今「well-being」という言葉が重要視されているのか?
●良い組織、チームとは?

という点からお話ししたいと思います。


前回のおさらい。
「ウェルビーイングとは?」

「ウェルビーイング」(well-being)とは、心身ともに良好な状態にあることを意味する概念で、「幸福」とも訳されます。

さまざまな調査から、自分が幸せだと感じる従業員は、創造的で業務のパフォーマンスが高く、組織に良い影響をもたらすことがわかっています。
ウェルビーイングでは「心身ともに健康であること」が重要で、個人はたまた組織の発展へと深い関係性があると言われています。


なぜ今well-beingが企業経営において注目されているのか???

「人生100年時代」と言われる今、これからは病気を治すだけでなく、長い人生をいかに健康に過ごすかが課題であると言われています。
その健康な状態とは身体的側面だけなのでしょうか?

実はさかのぼること1948年、WHO(世界保健機関)は憲章前文で「健康とは、単に疾病がない状態ではなく、肉体的・精神的・社会的に完全にウェルビーイング(Well-being)な状態である。」と定義していました。じつはこんなに昔からこの言葉が存在していたんです!!!!

そこから数十年の時を経て、今この「ウェルビーイング(Well-being)」が、新時代の概念としてこれまでにないほど注目を集めています。

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その背景とは???

・価値観の多様化
ダイバーシティという言葉が世の中に浸透しているように、”価値観”はどんどんと多様化しています。性別や国籍、文化など、さまざまなバックグラウンドを持つ人が集まり、ともに仕事をするようになりました。
また今世はSNS社会。日本中だけでなく世界中と繋がりやすくなり、あらゆる情報を容易に入手することができ、個はどんどんとタレント化している時代です。そのおかげもあり個としての在り方を表現しやすい時代に突入しているのではと思います。

このように従業員の多様性を尊重することでさまざまなビジネスアイデアが生まれたり、コミュニケーションが活発になったりする側面が大いにあると多方面において立証されています。
企業が従業員の多様性を受け入れ、異なる価値観やバックグラウンドを持つ人材がその能力をフルに発揮するための環境を整備することは、従業員の幸福感を増し、ひいては企業の競争力を高め、イノベーションにもつながります。

・人材不足や人材の流動性の高まり
2020年における子どもの出生数が、85万人を切る見通しとなることが報道されました。国内では少子高齢化が加速し、中長期的に見て深刻な人材不足に陥ることが予測されています。
終身雇用という概念は希薄となり、若い世代を中心に、価値観に合う組織を求め転職することが一般化しています。
企業において、事業に貢献する人材の確保は近い将来大きな課題であり、企業は利益だけでなく、従業員やその家族に対する幸福を追求する姿勢も、明確にするしなければならない時代になってきました。


・働き方改革の推進
安倍内閣が推進し、2019年4月からスタートした働き方改革。
企業は、多様な価値観やライフスタイルを持つ従業員が働きやすい環境を整備する課題がを国から提示されています。
今後はどのような働き方であれば従業員の幸福度が増し、やりがいを感じることができるのか?といった観点で、制度や仕組みを検討する必要があると言われています。


・新型コロナウイルス感染症の拡大
言わずもがな2020年に起こった新型コロナウイルス感染症の拡大は、私たちの社会や仕事を大きく変えました。自分や家族の幸福について、あらためて考えさせられた人も多いのではないでしょうか。
急速に普及したテレワークは業務効率化につながりましたが、同時に新たな問題点やストレスも表面化したと言われています。コミュニケーションの枯渇によるメンタルの不調、自殺者の増加、、そのため、従業員やその家族が健康でやりがいを持って仕事をするための考え方として「ウェルビーイング」に対する注目が高まっています。


・SDGsでの言及
SDGs(持続可能な開発目標)という言葉が近年よく聞かれるようになりました。SDGsとは、2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際的な目標のことで、2015年9月の国連サミットで採択されました。
SDGsでは17のゴールと169のターゲットが定められています。この目標の一つには「GOOD HEALTH AND WELL-BEING」があり、ウェルビーイングが注目されていることがわかります。


・ムーンショット型研究開発制度

内閣府によるムーンショット型研究開発制度は、社会・環境・経済の課題を解決するための「破壊的イノベーションの創出」を推進するための制度です。
「誰もが夢を追求できる社会の実現」、「100歳まで健康不安なく、人生を楽しめる社会の実現」というVisionに代表されるように、テクノロジーとイノベーションによって「Human Well-being」を目指すとしています。


これらはwell-beingが注目される背景のよくいわれる要因です。
(もっと細分化していくといろんな事が複雑に絡み合っているのかもしれません)

これらを高野的に要約すると国連の諸機関や日本の官公庁も取り上げるほど、ウェルビーイングに注目が集まってる!
企業もこれに取り組まないと存続の危機が訪れますよ!!ってな感じでしょうか。。。


世界幸福度ランキング

世界幸福度ランキングは、国連の持続的な開発ソリューションネットワーク(SDSN)が発表する調査です。
国際幸福デーである2020年3月20日に発表された調査では、1位がフィンランド。日本は62位となっており先進国では2019年の調査では58位であり、4ランク後退したことになります泣。

世界幸福度ランキングの設問例
●1人あたりのGDP
●平均余命
●人生で何をするか選択の自由があるか
●政府機関の腐敗
●昨日楽しかったか

健康寿命は3位である一方、自由度では73位、寛容さでは151位という結果が出ています。

これは総合して「あなたは幸せですか?」と尋ねた結果の平均点に基づいたランキングです。
“寛容さ”に関していえば、寄付をしているかどうかで測っているため、そこは日本の社会の寄付文化そのものの弱さが出ていると考えられます。
また“自由度”に関しては“選択の自由”を聞いているので、そこに困難さがあると感じている人たちがいるということが数字に現れていると言えます。

「健康で長生きできる=幸せ」という単純な式ではない。ということがこの結果から読み取れるのでは?と思います。


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良い組織、チームとは
マズローの欲求五段階説から考える良い組織・チーム


※晩年のマズローによると5番目の「自己実現の欲求」は2つの階層に分かれ「5段階より先があったわ!」って気付いたっていうエピソードがあるとかないとか、、、。実は6段階あったという話で、本当はマズローの6段階欲求で「自己超越欲求」というものがあるそうなのですが、今回は5段階欲求でお話しさせていただきます、、、。なぜならそこは授業で触れられていないからw


ご存知の方も多い、「マズローの五段階欲求」
アメリカの心理学者、アブラハム・マズロー(1908~1970)が考案したもので、「マズローの欲求五段階説」「自己実現理論」などと呼ばれることもあります。
マズローの法則によれば、人間の欲求には「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求(所属と愛の欲求)」「承認欲求」「自己実現の欲求」の5段階があります。そして、これら5つの欲求にはピラミッド状の序列があり、低次の欲求が満たされるごとに、もう1つ上の欲求をもつようになるという理論です。

各欲求を説明すると、、、

・生理的欲求
生きていくために必要な、基本的・本能的な欲求
ここが満たされないと生命の維持が不可能になります。
「3大欲求」(食欲・睡眠欲・性欲)のほか、呼吸、排せつも含まれます。
・安全の欲求
身体的に安全で、かつ経済的にも安定した環境で暮らしたいという欲求
明るい場所に慣れた現代人が真っ暗な森に入ると、恐怖を覚えると思います。
これは外界に対する防衛的態度の現れで、安全の欲求から現れる反応です。
マズローによると、生理的欲求と同じくらい安全の欲求は強いものだとされています。
・社会的欲求(所属と愛の欲求)
家族や組織など、何らかの社会集団に所属して安心感を得たいという欲求「愛情と所属の欲求」あるいは「帰属の欲求」とも表現されることも。
この欲求が満たされない状態が続くと孤独感や社会的不安を感じやすくなり、時には鬱状態に陥るケースもあります。
・承認欲求
他者から尊敬されたい、認められたいと願う欲求
この欲求は大きくわけて二つあり、「自己の自己に対する評価の欲求」「他者からの評価に対する欲求」があります。
・自己実現の欲求
自分にしかできないことを成し遂げたい、自分らしく生きていきたいという欲求
以上1~4のすべての欲求が満たされると、この段階へたどり着きます。
自分のポテンシャルを見出し、社会的に成功するだけでなく、理想的な自己イメージと一致していくことを目指します。


では、それぞれの段階を組織に照らし合わせてみたいと思います。

まず、「生理的欲求」ですがこれは現代の日本社会且つお仕事をされている方々において、生理的欲求が満たされていないという人はそれほど多くないと思うのでここは満たされていると仮定します。

         
では、次の「安全の欲求」はどうでしょうか?
この安心して暮らしていたいといった欲求を組織にあてはめると、、、「いつクビになるか分からない」「来年もちゃんと生活できているだろうか?」こういったことに”ビクビク”しているようだと、安全の欲求が満たされているとは言えません。

    
次に「社会的欲求(所属の欲求)」ですが、これは「居場所がある、仲間がいると感じられていること」というようなものになります。
「職場の隣の人なんて仲間でもなんでもない。単にたまたま仕事上の役割分担をしている関係。こっちの負担が増えないように、押し付けられないように気を付けないといけない」といった状態を脱し、「この会社は自分の居場所で、よき仲間たちと協働している」といった認識が生まれるようにしていく必要があります。
成功している会社では「ランチ会」「四半期ごとのパーティ」「社内チームビルディングワークショップ」などを実施していたりします。
チームワークを高めることは昨今の組織において重要な課題の一つととれると思います。
   

       
次は「承認の欲求」です。
この承認の欲求というのは「自己肯定、自己尊重」といったもので、自分の才能を生かして、自分らしく仕事をしたい、それができているという風に実感できることが重要になります。
この欲求レベルを、自分の動機として仕事をしているとき、人は「イキイキと働ている」と言える状態にかなり近いことになります。


最後の「自己実現の欲求」ですが、これはマズローが言っているところでいうと「真善美の追求」という欲求です。
一般的に「自己実現」というと自分らしく生きるというように解釈されがちかと思いますが、これは欲求階層説でいうと承認の欲求です。
世のため、人のため、より善きこと、より美しいものを実現していきたい。その実現が自分の喜びだから。
そう思っている状態が「自己実現欲求レベルで生きている」ということです。そのため全社員がこのレベルでいるということを望むのは、少々高望みと言えるかもしれません。


重要な点は 【下位の欲求が満たされて、自然と上位の欲求が生じてくる】 【下位の欲求が欠乏してくると、上位欲求は減退し、下位欲求が中心となる】 ということです。
自社の、現状の欲求レベルをよく見て「しっかりと下位から満たしていく」ということを、意識して様々な施策を打っていくことが重要であると思います。

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Googleから学ぶ。成功するチームの5つの鍵
「The five keys to a successful Google team」

全世界に5万人とも言われる従業員を擁し、世界で最も成功した企業と言ってよいGoogleでもその手法については研究が行われており、Googleが公開している自社の人事手法を解説するサイト「re:Work」では、Googleの中で成果を挙げているチームに備わっているという「5つの鍵」について解説されています!

1.Psychological safety: Can we take risks on this team without feeling insecure or embarrassed?
2.Dependability: Can we count on each other to do high quality work on time?
3.Structure & clarity: Are goals, roles, and execution plans on our team clear?
4.Meaning of work: Are we working on something that is personally important for each of us?
5.Impact of work: Do we fundamentally believe that the work we’re doing matters?

1~5それぞれの意味は。。。
1:心理的な安心感(Psychological safety)
2:信頼性(Dependability)
3:組織構造と透明性(Structure & clarity)
4:仕事の意味(Meaning of work)
5:仕事のインパクト(Impact of work)

となります。

Googleが見いだした仕事に重要なポイントは、シンプルではあるものの、いまある環境に5つのカギを持ち込むことは無理が生じることもあるかもしれません。


私が思うこの中でまず一番初めに取り組んだら良いなと思うものは、

1、のPsychological safety(心理的な安心感)です。

従業員一人一人が安心して自分の視点や意見を組織に伝える事ができる環境を作り出す。ということです。

ここで重要なことは出す意見に対してジャッジをしません

これは上司、同僚の意識改革的な側面も関係してくるかと思いますが、意見を言える環境、機会を整え、今まで聞くことのできなかった各個人の思いを外に出し、受け入れる体制があることを示す事で、個人の自己肯定感は高まり、組織にとっても新たな発見、イノベーションのきっかけになるのではと思います。

Googleによれば、チームメンバーがお互いに安全だと感じていればいるほど、ミスをきちんと認めたり、良きパートナーとなったり、新しい役割を引き受けたりする可能性が高くなるそうです。心理的安全性が高いチームに所属する個人は、グーグルを離れる可能性が低く、チームメイトの多様なアイデアの力を活用しやすく、より多くの収益をもたらし、経営陣からは2倍の頻度で効果的であると評価されているそうです。


最後に、、、

人が所属して作り上げられる社会、組織。
Well-beingが重要、良い組織が生産性が高いことも重々承知でそういった取り組みも沢山してきた。でも現実はそんなに甘くない、、、等々この記事を読んで感じる方も多いでしょう。
人の内なる部分って、1人1人の経験、思考の癖、文化的背景等、「幸せ」の定義ってそもそも人それぞれです。(今後ここら辺も共有できたらと思います)
数多くのワークショップ、How to本が世の中には溢れ、インプットした情報を実際にアウトプットすることは容易ではないですよね。

仕事とプライベートの境目が曖昧になり、どのようなシーンでも自分であることが大事な時代になりました。
だからこそ会社という組織が仕事のことだけでなく私事にも気を配り共に歩んで行こう!という考えが必要になってきているのではと感じています。

これからますます個の時代になると言われる中で、組織の関係構築はどのような方向に向かえばいいのでしょうか?
答えのない時代に生きる私たちにとって良い組織の定義やwell-beingの定義を作ることは容易ではないものの、確実に向き合わなければいけない課題として直面しているのだと思います。

近い将来、well-being度合い?的なものをよりクリアに数値化することができるようになり、より組織にwell-biengをもたらした人は「well-being ボーナス」なんて出たりして笑、個も組織もwin-winな状態保てる。そんな未来へのステップとしてこの学問が活用されていけば良いなと思っています。


結論。。。

難しい!!!w


次回はより良い組織へ導くリーダーシップとは?あたりを記事にしたいと思います。


最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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