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大人が学ぶ。足りないを創造する子供たち

こんにちは。
マネージャーの高野です。


突然ですが、皆さん学童保育所は全国に何ヶ所あるかご存知ですか?
日本全国学童保育所は約26,000箇所。公的機関や民間企業が運営するものまで多種多様。
共働きの核家族が増え続ける日本において学童保育所はなくてはならない存在で、私も例外なく大変お世話になっております。

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保育園の待機児童問題に続き「一年生の壁」の言葉にも含まれる学童保育の待機児童問題。
私も直面しました。。。
これらの話は私では知見不足なのでプロの方にご説明いただくとして、今回は息子がお世話になっている学童での気づきを書きたいと思います。


息子の小学校は全校生徒約800人弱。
その受け皿となる学童保育所は約180人の児童がいます。
三密って何?と言わんばかりの集合体。
もちろん指導員の方々も毎日子供たちの安全を第一に日々奮闘してくださっています。


そんなお世話になりっぱなしの学童へ何か恩返しができないものかと今年から父母会の役員になりました。指導員さんたちと連携を図りながら、子供たちがより良く過ごせるようイベントを考えたり、困りごとを話し合ったり、父母会費の使い道を話し合ったり。


ただ預けていた時よりも指導員さんたちの苦労や、子供たちがどれだけ今の場所が好きなのかがダイレクトに伝わってくる為ますます指導員の方々への感謝は膨らんでおります。

昭和な雰囲気漂う学童保育所

ここで息子の通う学童保育所について少しご紹介。
開所45年。15畳ほどの部屋に子供たちがわんさか。(高学年は分室に行きます)
指導員歴23年の大ベテランをリーダーに個性豊かな指導員さんたちが総勢6名。
その少ない人数で180人の子供たちを束ねてくれています。
元気盛りが180人!イベントを手伝う時には半日でフラフラな私には頭が上がりません。

我が学童、けん玉と竹馬を皆で取り組むのが決まり。
入所と同時にMyけん玉をプレゼント。竹馬も本物の竹で個々にあったものを父母と指導員さんとで手作りします。

特にけん玉は全学年で大流行。一年に一回行われる近隣学童でのけん玉大会では技を競い合い、負けてしまった時は涙する生徒もいるほど。

また竹馬は裸足が基本。
足の指の間に豆を作りながらみんな必死に練習します。

この令和の時代に首からけん玉を下げて登校するという何とも斬新なスタイルが流行し(学童っ子だけ)笑、息子はどこに出掛けるにもけん玉を持ち歩きたいとせがむ。
そしてお迎えに行くと竹馬で駆け寄ってくる息子のお友達たち。
なんとも微笑ましいです。

本をリニューアルしよう!

今年はコロナの影響で学童保育所のイベントが軒並み中止。
春の新入生歓迎会も夏の合宿もプールもお祭りも、毎年恒例の近隣の学童保育所対抗のドッジボール大会も中止でした。
そんな子供たちへ何か喜んでもらえることはできないかと考えここ何年も持ち上がっていた本がボロボロすぎる課題を解決すべく本が大好きな子供たちへ父母会から本のリニューアルをしてあげよう!となりました。


こちら子供たちに大人気の本。解決ゾロリ!

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全巻で67シリーズもあるこちらゾロリ。学童にあるのはその半分くらい。
写真の見た目ではわかりませんが何十年にもわたり数多くの子供たちに読まれてきた為お世辞にも美品とは言えない状態。

子供たちは皆こちらが大好きで一冊の本を3人とかでひっついて読むそう。
180人もいたら一人一冊回りません。
おもちゃもゲームもみんなでシェア。
それが入所した時から当たり前の子供たち。たくましいです。

肝心な本たち。ゾロリももちろんですが他の本もそれはまぁ信じられないくらいボロい、、、
開所45年ですからね。
大事に大事に読まれてきた本たちは何度も何度も修復され、破れたページはセロハンテープだらけで文字がつぶれ、日焼けし、表紙がない、ページがない、迷路本はゴール部分がないがほとんど。
こんなになるまで大事に見ていたのか、、、という感心と同時にもっと早く気づいてあげられていたらよかったな、、、と反省しました。


指導員さんも私たちの提案に賛成してくださり子供たちのお気に入りの「かいけつゾロリ」「忍たま乱太郎」はすべて新しいものに全巻揃えて購入。
その他図鑑、迷路、クイズ、あやとり、折り紙、地図、辞書等は今流行のメルカリ、ラクマ、ヤフオクという文明の利器を使って美品を購入することに決まりました。


本のリニューアルのため、古いゾロリを処分すべくすずらんテープでまとめていると女子3人組に話しかけられました。

女子:「捨てるの?」


私:「これは捨てちゃうけど、今度同じもので新しいものが届くよ!他のシリーズも追加するからね〜〜」


女子「何で~~~怒!このままでいい!捨てないで!」(ちょっと怒ってる)


何?!!!


お世辞にも綺麗とは言えないゾロリ。話の所々が抜けていて表紙もなくてビリビリで、、、なぜ???

私:「ゾロリは新しいの全部買うんだよ!これからは全部のページが見られるよ!」

謎に慌てる私。

女子:「いいの!別に困ってないし、抜けてるところもわかってるからこのままにしておいて~!」

私(頭の中):「わかってる???」

足りないを嘆くのではなく創造でカバーする子供たち

話を聞けば彼らは抜けているところは前後の関係から何となく話の内容を想像し、「あぁでもない」「こぉでもない」で盛り上がるんだとか。
たまに話をとんでもない方向にもっていき爆笑したり、○○くんはこんな変なこと言ってね~と楽しそうにエピソードトークを話してくれる女子たち。


表紙がなくても本が破れていてもないところは創造でカバーし一冊一冊を楽しんでいたのでした。

むしろその方が楽しいから新しくしないでこのままが良いと。。。

これを聞いて私は心底恥ずかしくなりました。


上記に書いたゾロリ以外も、迷路のゴールがない部分は手作り迷路が付け足され、表紙がないあやとりの本は手作り表紙が付けられ、新しいあやとりのやり方が鉛筆で追記されていました。


「古い(ボロボロ)→ 新しくする → 子供喜ぶ」

こんな単純な頭の中だった私にはどこかトンカチで叩かれたような?
「はっ」とさせられたのでした。


先に書かせていただいた通り、子どもたちから与えられる日常は驚かされること尽くしです。

例1)好奇心旺盛な予測不能な動き
穴があれば突っ込むし、隙間があれば入るし、段差があればジャンプする、ボタンがあれば押したいし、蓋があれば開けちゃう

これは「できないことはない」という圧倒的な自信と、「とりあえずやってみる」という思考からくるもので未知の世界を楽しむ冒険心の現れですよね。こちらはヒヤヒヤしますがw


例2)家にアスレチック+新たなおもちゃが現れる
家にあるおもちゃに飽きても、いつの間にか、椅子、カゴ、箱、おもちゃ等を並べたり、布団を敷いてクッションにしたりで、アスレチックをつくりあげていたりします。

学童の子どもたちのように「既にそこにあるもの」を活用して自分で「遊び場」や「遊び方」をつくる、ということを自然にやってのけます。一般的に決められた使い方ではなく、前例・制約を越えた思いもよらぬやり方で笑。


まだまだ沢山ありますが、こういうことって子供にとっては当たり前なんですよね。

今はものが溢れる時代。ネット注文すれば大概のものがすぐ届き、数多くの方々の努力により良質なものが安価で手に入る時代です。
私ももちろんこの恩恵を受けまくっている一人なんですが、こういう子供たちの姿を見ていると、得ているけれど何かも同時に失ってる気がするな、、、と漠然と思うのでした。

子どもから学ぶ。
How to build your creative confidence.

こちらの動画、
「クリエイティビティは限られた人だけが持っているものではない」
人は創造的であり、「クリエイティビティに対する自信(=Creative Confidence)」を失っているだけである、ということだ。
的なことを話しています。


この動画と日々の子どもたちとの関わりの中で、大人になる過程で社会の常識やいろんな線引きを目の当たりにして、気がついたら自分の判断や創造性に自信を失っているだけなのかもな。と感じました。

「こどもごころ」は創造性の宝庫であり、もしかしたら子どもから発せられる時に意味不明な色々は笑、大人のクリエイティビティの扉をノックしてくれて「子どもから学ぶ」という姿勢や機会は、時に大人が社会と交わる中で失いがちな「クリエイティビティに対する自信(=Creative Confidence)」を取り戻すための大きなきっかけの一つになるのかなと思います。

この姿勢で大人が接していったら結果として、子どものCreative Confidenceは失われずに成熟を続けていき、大人も子どもも創造的に、自分たちや身の回りのことをより良くしていく社会に向かっていく。

子どもは「こどもごころ」を、大人は「おとなのせなか」を、互いに全力で発揮し合いながら遊び、学び合う。そんな化学反応最高ですよね。

と、こんなことを思いながら、ボロボロになったゾロリをどう処理すべきかまだ判断のつかない大人たちなのでした。。。



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