見出し画像

僕のありのままで

治療は、パルス療法から始まった。

大量のステロイドを点滴で注入して行く。

免疫力が低下して行くので、風邪や感染症に注意が、必要らしい。

ただ、もう筋力も落ちているので、起き上がれるようになった80歳くらい。と言われた。


ステロイドの調整が難しい。

壊れた関節を修復していくには、ステロイドが60mは最低ないと、発作が再発していく。

10m以下を目指していたが、無理のようだ。

先生は、「重症化していて、ステロイドだけでは限界だ。もっと早く治療が出来ていれば、もっと違った人生を歩めたはずなのに。」と後悔と謝罪をする。「そんなことは無いです。また、歩ける様になったのは先生のおかげですよ。発作からの、回復も早いし。」

「そこで、免疫抑制剤を併用したい。診断も確定できるだろうからいいと思うけど、ここでは出来ないから、紹介状を持って大学病院へ行って下さい。」「分かりました。」


わたしは彼女と、改めて大学病院へ向った。

紹介状を出し、呼ばれたのは膠原病科の菅田先生へ通された。

今までの話をし、何時もの検査である。


結果、全身性エリテマトーデス(SLE)と間質性肺炎など出てくる病名。(なんじゃこりゃ)

免疫抑制剤とステロイドで様子を見るが、治まらない。抗生物質を追加してようやく寛解する。

しかし、ステロイドは20mから下がることは無かった。


先生から、「膠原病で、亡くなることは少ない。この病気は、他の病気や合併症による悪化が問題です。貴方の場合は、ステロイド性糖尿病を始め多くの疾患を持ってしまっている。糖尿病は、白内障の原因にもなる。間質性肺炎が悪化すれば呼吸が苦しくなる。何が原因で、悪化するか分からないけど、その原因になるものを多く抱えていることは忘れないようにして下さい。」と色々と話が出てくる。

わたしも、先生へ「何かあっても、延命治療はしないで下さい。最低限の蘇生で、後は普通に生活が出来ないなら受け入れ難い。もし役立つなら、目以外は提供します。」保険証に入れてあるカードに書きながら、お願いした。


帰りに、彼女と手を繋ぎながら「勝手なことしてごめんね。でも、意識があるかも分からない、チューブに繋がれて最後を迎えるのは絶対嫌なんだ。」

「何か前も言ってたよね。生きるって大事な事じゃないの。」「大事だよ、だから僕は人間らしく生きていたい。老衰なら仕方ない。でも、若くして、例えば脳死なんて生きていると僕は僕の体は嫌だと言うよ。」「何でそこまで、深く考えるのよ。生きているだけで良いじゃない。」「僕の家族観は、同じ場所で同じ物を見て、同じ物を食べて眠る事だと思っているから、皆といたいだけなんだけどね。」「一応わかったわ。でももし、私が病気になったら?」「諦めないに決まってる。君の望みは却下だよ。おむつの交換もしてあげるよ。」と彼女に笑いながら目を会わせる。

「それと、何で目だけ残したの?」

「目がないと、君や子供が見えないからね。」彼女は何時もわたしを、肯定してくれる。


肩を抱き寄せ「多分たげど長くはないよ。短くもないけど。」

「いいに決まっているじゃないの。」「ありがとう。君に出会えて、本当に良かった。」帰り道


僕はありのままで良いのか。そうか、ただ傍にいるだけで・・・温かい。

     第1部完

いつも読んで頂きありがとうございました(*´∀`)

取り敢えず、第1部が終りました。