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【後編】グラミン日本の休眠預金活用事業 小林理事に聞きました!


こんにちは!グラミン日本です。
 
今回はグラミン日本の事業の一つである「休眠預金活用事業」について前編・後編の2本立てでご紹介します。
 
前編では、休眠預金活用事業の仕組みやグラミン日本の取り組みの特色、2021年度採択時に確定した実行団体の活動について、本事業の責任者である小林理事へのインタビュー形式でご説明しました。
 
本記事(後編)でも、事業に携わっていく中で小林理事が感じたことや、将来展望についてお伝えします。
 


1. 前編の振り返り


グラミン日本の助成事業担当理事として、休眠預金活用事業を統括している小林理事にインタビューしました。
 
休眠預金とは、10年以上取引のないまま銀行口座に眠っている預金です。この預金を社会課題の解決に活用するため休眠預金等活用法が制定され、この法律に基づき行われる事業が休眠預金活用事業です。

ぜひ前編も合わせてご覧ください。

2. 小林理事が感じた事業のやりがい、想いとは?


小林理事は助成事業についての知見をお持ちと伺っています。

助成事業というと、助成団体は一度助成金を助成先に支払えば何もせず、助成期間終了時に報告書を受け取って終わりというイメージを持たれている方も多いのではないかと思います。しかし、休眠預金等活用事業における資金分配団体は、資金助成を行うだけでなく、非資金的支援と呼ばれる様々な支援を行うことが求められます。助成先団体がしっかりと事業の成果を出すための伴走支援に始まり、組織基盤の構築支援、評価・報告作業に対する支援、さらに団体のガバナンス整備などの支援も行います。グラミン日本も資金分配団体としてこれらの責任を果たしています。

小林理事がプロジェクトをリードしているなかで印象に残っていることや、やりがいを感じた場面についてお伺いしたいです。

実行団体の活動の中で特に印象に残っているのは、RE/MAX JAPANさんのプロジェクトです。RE/MAX JAPANさんは不動産フランチャイズの事業をされていますが、今回、初めてシングルマザー支援をすることになったため、はじめはどのようなアプローチをとるべきか苦戦していました。また、生活困窮リスクを抱えながらも向上心の高いシングルマザーにアウトリーチすることも簡単ではありませんでした。そのような状況下で、グラミン日本は、今まで培ってきたノウハウを共有し、プログラム立ち上げの支援を行った結果、今では大きな成果が出ています。
 
Animo Plusさんはシングルマザーなどの方たちにデジタルスキルや経理業務の知識を習得してもらい、DX人材・経理人材として大企業からのアウトソーシングを受けてお仕事をしてもらうというモデルを展開しています。リモートワークが中心であり、子育て中のママさんも働きやすいと考えています。先日、私もAnimo Plusさんの報告会に参加しましたが、元々はパート勤めで、資料作成に苦手意識があった方が、卒業生として堂々とお話するのを見てとても感動しました。Animo Plusさんの支援のおかげで、皆さん、確実に経済的自立に向けて一歩踏み出されたことを実感しています。
 
また、一般社団法人ハートフルファミリーさんやNPO法人シングルマザーズシスターフッドさんは、お子さんも参加できる合宿を開催しています。そういった場で、シングルマザーの方々のいきいきとした活動の様子を伺うと、休眠預金活用事業の責任者として強いやりがいを感じます。
 
合宿でシングルマザーの皆さんが講義を受けている間には、お子さんをケアする専門スタッフが体操をしたり、ゲームをしたりと、色々な企画をやってくれました。その時のお子さんたちの様子は、お母さんがびっくりするほど楽しそうだったそうです。一人で過ごす時間も多いシングルマザーのお子さんたちが、大人のお兄さんと一緒に活動ができて嬉しそうだなと思いました。また、子どもたちの中で、年長の子供が年下の子を世話するような場面があったり、お母さん含めてキャンプファイヤーを楽しんだりという話を伺うと、このプロジェクトをやってよかったなと感じます。

一般社団法人 ハートフルファミリー提供

なるほど!グラミン日本が携わる意義や実行団体の日頃の努力が、このようなやりがいに繋がってくるのですね。

3. 今後の展望、2023年度の採択案件について


今後の展望、及び2023年度の採択案件についてお伺いしたいです。

2023年度は、2021年度よりも規模を拡大して、首都圏を除く全国(特に地方)で6つの実行団体を公募する計画を進めています。1実行団体が3年間で約100人のシングルマザーを支援することを想定しています。
現在活動している4実行団体で約400人、新しく採択される6実行団体で約600人の規模となると、3年後(2026年)にはグラミン日本が支援する実行団体のプログラムを受講した方が約1000人いることになります。さらに、グラミン日本自身が地方で実施しているでじたる女子やマイクロファイナンス事業を合わせると、3年後にはかなり大規模なコミュニティが生まれているでしょう。

このコミュニティで実現したいことが、二つあります。
 
一つ目は、グラミン日本の支援手法を全国展開することです。我々が培ってきた5人組の伴走支援、リードザジブンのようにまず自分の心を見つめることからキャリアを深めていくようなアプローチで、今までとは異なる新しいデジタルスキルを使った就労支援を日本全国で行いたいと考えています。デジタルリスキリングや、地方DX推進は日本の重要政策でもあり、まさに労働市場の構造転換が求められています。グラミン日本は、労働市場におけるDX人材不足とシングルマザーの貧困という二つの社会課題の解決に、デジタルスキル研修と就労支援を組み合わせた独自のアプローチで貢献していきたいと考えています。
 
二つ目は、プロジェクトの実績を積み重ねることで、雇用や業務アウトソーシングを通じてシングルマザーの経済的自立を促進する企業CSVモデルを形成することです。このモデルを私たちは、インパクト・ハイヤリングやインパクト・ソーシングと呼んでいます。生活困窮リスクを抱えている方を、福祉の対象としてしか見ないのは一面的です。適切な支援と機会が与えられれば、彼らはビジネスの重要な担い手となります。この考え方に賛同して、CSRや社会貢献ではなく、雇用や業務アウトソーシングによって生活困窮リスクを抱えるシングルマザーの経済的自立を支援する企業ネットワークを作っていきたいと考えています。休眠預金資金を活用した助成事業を通じて全国10団体、1000人規模でシングルマザー支援が成功すれば、このモデルが経済界に認知され、インパクト・ハイヤリングやインパクト・ソーシングという考え方に賛同する企業が増えてくることを期待しています。

終わりに

前編、後編を通してグラミン日本の休眠預金活用事業についてご理解いただけたでしょうか。グラミン日本は、自分と子どもたちの自立に向けて一歩を踏み出そうとするシングルマザーの伴走者として休眠預金事業に限らず様々な事業を展開しております。
この記事を通して、グラミン日本の活動にご理解とご賛同いただけたら幸いです。


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