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【観光①アブシンベル】鳥肌モノの壮大さ!アブシンベル神殿の魅力

カイロに赴任してからエジプトの主要観光地をほぼ回り切った私ですが、エジプト来たことない方に「一番良かった観光地は?」と聞かれてまず答えるのがアブシンベル神殿(相手がリピーターの方だったら海とか砂漠とか言うかもしれないけど)。

というわけで、観光地紹介初回記事は私の一押し、アブシンベル神殿について書いていきたいと思います!(2022年9月時点の情報)

1.概要:アブシンベル神殿とは?

アブシンベル神殿はエジプト最南部、スーダンとの国境近くにある神殿です。建造主は古代エジプトの建築王ラムセス2世(この方がいなければエジプトにこんなに古代神殿は残ってない)。建造されたのはなんと紀元前1,300年頃、ざっと3,000年以上前です。岩をくりぬいて作られているのですが、とにかく巨大な上にその造形がとんでもなく美しい…(ビジュアル的な魅力は後程詳しく)!

3,000年以上前に、当時の都テーベ(現在のルクソール)から500㎞近く離れた場所、しかも古代エジプトの敵ヌビアの領地の目の前に巨大建造物を建て、そのうえ現代まできれいに残っているというだけでものすごい遺産だと思うのですが、アブシンベル神殿をさらに有名にしたのが「お引越しプロジェクト」。なんと、神殿をそっくりそのまま60m垂直に移設してしまうというとんでもプロジェクトが実施されました。

アブシンベル神殿はナイル川に作られた巨大なダム湖(ナセル湖)沿いに建っているのですが、1960年のアスワン・ハイダム建設で水没することになってしまいます。これを救わねば!と立ち上がったのがUNESCO。世界各国の技術者が集結して、5年がかりで移設を成し遂げたそうです(この移設のすごさについては後述)。

このお引越しをきっかけに、「世界の危機に瀕する歴史遺産を保護せねば!」という機運が高まって、世界遺産の登録制度が生まれたそうです。アブシンベル神殿は世界遺産の生まれたきっかけ、ということですね。

2.アクセス:遠くて大変、でも行く価値あり

アブシンベル神殿は先述のとおり、エジプト最南端に位置しています。アクセス方法は主に①アスワンから車(日帰りツアー)、②カイロからアスワン経由の飛行機の2つ。私は①で行ったのでその時のことを書いていきます(今後飛行機で行く機会があれば追記します)。

アスワンからの日帰りツアー

カイロの旅行会社に頼んで、アスワンからの日帰りツアー(英語ガイド付き)を手配してもらいました。アスワンはカイロからナイル川沿いに南に900Km弱、飛行機で1時間20分。陸路でアブシンベルに向かう場合はこの町が起点になります(アスワンも良いところです、また別の機会に紹介します〜)。

起点の町といっても、アスワン~アブシンベル間は300㎞近く離れていて、車だと3時間半くらいかかります。暑い時期だったのもあり(9月)、できるだけ涼しい時間に観光しようと未明発でツアーをリクエストしました。

実際の行程はこんな感じ:
4:00 アスワン市内発
7:30 アブシンベル神殿着
    →大神殿、小神殿観光
    →神殿入口売店でランチ
10:30 アブシンベル発
14:00 アスワン着

4時出発!?という感じですが、アスワンでは日常茶飯事なのか、その旨ホテルに伝えたら朝食をミールボックスにしておいてくれました。ツアーガイドさんも行き帰りの車での説明は最低限にして寝かせてくれたし(個人手配だったので他のお客さんもいない)、何より夏のアブシンベル神殿の日差しは強烈なのでこの時間帯でよかったと思います。

ツアー料金は確か英語ガイド、昼食、神殿入場料、ドライバーさんへのチップ込みで220ドルでした。遺跡ってガイドのあるなしで面白さが全然違うので、個人的にガイドはお金をかけていい部分かなと思ってます(主要観光地であればだいたい日本語ガイドも手配できます)。あと客引きとかぼったくりとか気にしなくてよくなり、不要なストレスを防げるのもエジプト観光する上で大きなメリット。

3.魅力:鳥肌モノの壮大さ

さて、いよいよアブシンベル神殿の魅力について語っていきたいと思います!

坂を下ると…

アブシンベル神殿に到着して車を降りたら、インフォメーションセンターを抜けて坂道をナセル湖に向けて下っていきます。

ナイル川の巨大ダム、ナセル湖。
スーダンとの国境でもある

この坂道は湖近くでカーブしており、道なりに下りていくと…

どーん!!!!

岩山をくり抜いて作られたアブシンベル神殿。
伝われこの壮大さ…!

私はこれが目に入った時、本当に鳥肌が立ちました。後にも先にも、建造物を見て鳥肌が立ったのは初めて。それほど壮大です。写真で伝わらないのが本当にもどかしい。

真下で見るとこんな感じ。

岩山からこれを削り出してしまうって、本当に古代エジプト人の技術には頭が下がります…(それに引き換え今のエジプトは…)

これだけでもすごいのに、岩山をさらにくり抜いて中にちゃんと神殿を作っています。

大神殿内部。これくり抜いたってすごすぎない?
壁は一面レリーフで飾られてます

年に2回の特別な日

大神殿をまっすぐ奥に進んだ最深部には、4体の神様の像が並んでいます。

4体の神像。この光は朝日じゃなくて、ライトアップ

大神殿は東を向いて作られており、年に2回、4月22日と10月22日の日の出の際は、なんと神殿入り口から朝日が真っ直ぐ差し込んでこの神像を照らすんだとか…!

ちなみに、先述の通り現在のアブシンベル神殿は移設されたもの。ただこの朝日の現象は移設前のオリジナル時点で、計算されて建てられていたそう。つまり、60m引き上げたのみならず、神殿の向きまで寸分違わず移設したんだそうです…!(ガイドさん曰く、移設時の計算ミスで1日ずつ朝日の日がずれたらしいけれど。)

王妃に捧げた小神殿

大神殿の先には、ラムセス2世が王妃ネフェルタリのために作らせた小神殿があります。

小神殿。といいつこちらもかなり圧巻

ラムセス2世には信じられないくらいお妃様がたくさんいたんですが、ここまでの神殿を捧げているあたり、ネフェルタリは大切にされていたんでしょうね(ちなみにラムセス2世とネフェルタリの娘は、ネフェルタリ死後にラムセス2世のお妃になっているそうです…)。

なお、ネフェルタリはヌビア(エジプト南部〜スーダン北部の民族。古代エジプト時代はエジプトと敵対)の出身だったそうです。アブシンベル神殿はヌビア地方にあるので、ネフェルタリのための神殿を建てる場所としてふさわしかったのかもしれません(そもそもラムセス2世がここに巨大神殿を建てたのは、ヌビアに自身の威光を見せつけるためだそうですが…)。

さて、今回はここまで!
エジプトの中でもアクセスしづらいアブシンベル神殿ですが、時間をかけてでも行く価値あります。エジプト旅行の際にはぜひ忘れずに訪れてくださいね!

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