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問答無用。浮かび上がる残像に恋い焦がれて.....。

NOW&HERE#16
(佐野元春 & The COYOTE BAND 4th アルバム「Maniju」を聴いて…。)

ギブソン・レスポールのコードカッティングが
目の前の憂鬱な光と優し気な闇の束を切り刻む。

ここに漂う逃げ水のようなグラデーションを
まばゆい光が分断する。
その残骸を吸い込んだ鍵盤が現実のかたちを
なぞる様に揺らぎながら舞い上がる。

目がくらむ。 浮かび上がる残像。
目を閉じることなく踊る君。

日々繰り出される現実のボディブローに朦朧として、
よれよれになった君をファンクなBassとバスドラが叩き起こす。

あんなところにも、そんなところにもいた あの人。

月影を隠して闇を作るあの人。
そして、懐に訪れた優し気な闇。

くっきりと鮮明に記録された達磨詩人の言葉。
刃の刺さった言葉。
朽ち落ちそうな言葉。
ありのままの言葉。

肉体のダンス、魂のダンス。

謎が分解されてそれぞれの組み合わせで構成されるのを待っている。

昔々、よく見た夢を思い出した。

浮かんで移動する夢,空高く清々しく飛ぶのではなく、
ほんのちょっと助走をしてフワッと浮遊する感じ。

その夢の中ではとてもリアルにヒトとヒトの間を
すり抜けて移動しているが、
そのことに周りの人々は関心を示さない。

ぼくは、ただ、ただ、漂っていただけ......。

君のために残しておいたココナッツミルクは
あっという間に怪しい感じになってしまうんだ。
君と一緒に食べたかった冷えっ冷えのブルーベリームースは、
つまらないぼくの言い訳を積み重ねているうちに暖まってしまった。

でも、出発点は同じだったはず。
蒼い鳥はバックシートに大切な記憶を眠らせている。

物語は続いている。
途方もなく遙か昔から、そしてこれからも続いていく........。

あなたが唄って、彼らが演って、君が感じて、
あの娘が気付いて、ぼくが溺れそうになりながら
すくい上げて抱きしめる "Maniju"

星屑の少年が手にしている"Mani" 
いつかの君やあなたが手にしていた"Mani"

擦り切れていくばかりのプライド、
もともと根拠や基礎のないあてにならない自信。

川面が風にささくれ立ている、でたらめに散らかったこの世界。

でも、心配ない。

幸運にも災いをすり抜けた僕らが奏でる旋律こそが、
自由を求めて舞い上がるんだ。

今まで手にした確かなことや、ガラクタを持ち寄って、
君と一緒にまだ見ぬ朝をたぐり寄せられたらいいな。

今日も、凶だろうと、目を開いて一歩前に前進!!

そんな事を、アルバム「Maniju」は、僕に届けてくれました。

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