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サイエンス・フェスタ2022開催の様子

開催日:2022年12月17日(土)~18日(日)
会 場:札幌駅前通地下広場(チ・カ・ホ)
主 催:北海道大学大学院教育推進機構
対 象:小学生~大人まで
参加費:無料

イベント公式サイト↓

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イベントの概要

「北海道大学×チ・カ・ホ サイエンス・フェスタ2022」と題し、大きく2つのイベントを実施しました。

①研究成果でSDGsに貢献する発表会@チ・カ・ホ
本学の大学院博士課程学生が、「SDGs」と照らし合わせて「自身の研究テーマがどのように社会に還元され課題解決に繋がるのか」について一般市民の方にも分かりやすく説明したポスターを作成し、展示するイベント

②冬のサイエンスカフェ@チ・カ・ホ
「SDGs」をテーマとして、未来社会を担う小学生、中学生、高校生などを対象に、本学の教員や大学院生が講演を行ったり、その他、各種展示等により本学の取組を伝えるイベント

なぜサイエンス・フェスタ?

意外と思われるかもしれませんが、実は今まで北大では、市民の皆様に向けた大きな規模の複合イベントを、特定の学部や大学院の枠組みを超えて実施するということは、ほとんどありませんでした(学生が主体となって開催している北大祭くらい)。

他方で本学は、『大きく変容する社会を先導し牽引する高度な博士人材「知のプロフェッショナル」の育成、輩出の場となることを求められている』という社会背景を踏まえ、2022年度から戦略的施策の事業の1つに大学院改革を掲げていました。

本イベントは、その大学院改革事業における取り組みとして、まずは本学の博士学生が、どのような研究を行い、またその研究成果をどのような形で社会に還元しようとしているのか、を一般の方々に分かりやすく伝え、その研究の意義や社会的価値を理解してもらう機会が必要であるという観点から開催するに至りました。


イベントの趣旨

本学の掲げる「世界の課題解決へ貢献する人材の育成と研究力の強化」に直結する重要な要素の1つとして『博士課程学生(≒若手研究者)の研究発表スキルの向上』が挙げられます。この『博士課程学生の研究発表スキルの向上』を主な目的としつつ、合わせて広く一般市民の方々にSDGsを通じて「大学院での学び」を通じて科学(サイエンス)に触れ、関心を持っていただく機会を作るための施策です。
また、内包する2つのイベントのそれぞれの、より具体的な目的としては・・・

①研究成果でSDGsに貢献する発表会@チ・カ・ホ
博士課程学生が専門性の高い研究内容を一般市民の方にも分かりやすく伝えることで、研究成果が社会還元される姿をイメージしてもらいつつ、「大学院の研究って、案外身近なことに繋がってるんだな」と感じてもらえる場を作ることを目的としました。

②冬のサイエンスカフェ@チ・カ・ホ
小学生、中学生、高校生を対象に、研究や科学の「面白さ」、「楽しさ」、「魅力」、「やりがい」を伝えるとともに、SDGsに関心を抱いたり、自分にもできるSDGsな取り組みとは?を考えるきっかけを作ることを目的としました。


開催当日の様子

研究成果でSDGsに貢献する発表会@チ・カ・ホ~「博士学生が描く、66のミライ」

博士学生達は、「未来社会の開拓者」として活躍する将来の自分を思い描き、得られた成果で社会を変える、より豊かな社会を創る、そんな希望を抱きながら日々研究に没頭していることを1枚のポスターで表現しました。
一方、この発表会は、来場者のみなさまからの投票と、あらかじめ選出した学内外の審査委員によるコンテストも実施しました。

ポスター展示コーナーの様子

結果としては、来場者投票では当初の私たちの想定を大きく上回る1,009票(内訳:投票用紙818票、Web191票)ものご投票をいただきました。この投票結果と、学内外審査員の投票結果を踏まえ、最優秀賞、優秀賞、SDGs賞を決定しました。
驚きだったのは、すべての受賞者が農学院の学生だったことです!ですが、惜しくも受賞を逃したものの高評価だった研究発表も多く、参加した学生のみなさんも普段の研究では得られない学びがあったという感想もたくさんあり、今後も学生がチャレンジできる場を作っていかなければならないという使命を改めて感じる取り組みとなりました。

奥まで賑わうポスター展示

受賞者

最優秀賞
農学院 博士後期課程2年 中西登志紀さん
「新的な養蚕業で(カイコ×ウイルス×DX)で拓く、医療の未来」

優秀賞
農学院 博士後期課程2年 森田豪さん
「自動走行と遠隔操縦を 組み合わせた農業用トラクター」

SDGs賞
農学院 博士後期課程1年 浪江日和さん
「無肥料・無農薬水田が未来の地球環境を救う!? ‐江戸時代に倣う水田農法-」


ステージイベント

各分野を代表する本学の教員が、最先端の「知」や「科学」について語る2日間となりました。
「近未来の世界」、「錯覚」、「人工知能」、「北海道のワイン」、「折り紙」、「珈琲と椅子」、「数学」、「自然」など、一見すると何の繋がりも持たないようなキーワードの講演者が、最後に必ずそれぞれの立場から描く「未来社会」を語るという、実は全てのセッションが“ワンテーマ”へ収束していくという狙いを持ったステージイベントとして実施しました。

ステージイベントの体験授業セッション

その他、本学の大学院生や市内の高校生も成果発表を行い、若者や若手研究者も活躍している側面もお見せできたのではないでしょうか。いずれの講演もほぼ満席で立ち見が出るほどで、ご盛況のうちに終えることができました。

ステージイベントの大学院生セッション

特に、体験授業「10~20年後の近未来の世界、あなたは何を想像しますか?」やSDGsワークショップ「目指せ!みらい博士 ~明日を創るのは君だ~」では、小学生やその保護者の方から、「次回の開催はいつか?」という声が上がるほど、ご好評・ご期待いただきました。


感じる数学展

こちらは、2022年7月30日~9月25日までの期間に本学総合博物館で開催していた「感じる数学」の第2弾企画になります。

「数学」という一見興味を持ってもらうのが難しそうなテーマにもかかわらず、2日間、ほぼ絶え間なく、本当に多くの方にご来場いただきました。特に、来場者への展示ガイドスタッフとして携わった高校生、本学の学生は非常に分かりやすく説明する姿が目立ち、お子様から大人まで興味深く笑顔で展示を楽しむ様子が見受けられました。

ゴルトンボードを実演する様子

その後も2023年1月に、旭川科学館サイパルでも出張展示を行うなど、多くの方に楽しまれる取り組みとなっています。


水産学部LASBOS プロジェクトパネル展示等

地球表面の約70%を占め、深さの平均が富士山の高さとほぼ同じである「海」の中は、未知の宝庫であり、地球上のあらゆる課題を解決する可能性が無限に広がっています。

海を学ぶ北海道大学のLASBOS-ご案内-

こちらのコーナーでは、パネル展示やカードラリーを楽しんでいると、いつの間にか「海」の可能性を探求していた。という体験を狙いました。

カードを集めた小学生

特に、カードラリーは小学生に大好評で、多くの小学生が自慢気に見せ合う姿が見られました。何より、水産学部の先生や学生や、函館キャンパスの職員と一緒にイベントを運営できたことは、大きな組織である北大の私たちとっても、普段は部署間連携を取りにくい壁を乗り越えた「オール北大」のイベントとして印象深いものでした。

LASBOSスタッフのみなさん


SDGs ワークショップ 目指せ!みらい博士~明日を創るのは君だ~

SDGsってなに?どんなことをすればいいの?…そんな疑問に、カードゲームを通じて、答えるイベントを実施しました。
ワークショップ終了後には、「次、いつありますか?」、「楽しかった、また参加したい!」といったご感想が多数寄せられ、参加後のアンケートも非常に高評でした。


カードゲーム実施中の様子


札幌の木、北海道の椅子展 北海道大学の未利用木材を使って

北大の古い温室をフィールドにしたアートプロジェクト「アノオンシツ」。その活動の一環で、跨道橋の撤去で伐採した北大の木材を活かした事例をご紹介しました。
12月18日(日)に開催した、RITARU COFFEEとコラボしたオリジナル燻製珈琲「アノトキ」と、未利用材を用いて地元のクリエイターと椅子を作った「札幌の木、北海道の椅子展」についてのトークセッションとも連動し、2日間で2,000名程度の市民の方に立ち寄っていただきました。

美しく並んだ椅子


イベント全体を振り返って

アップルパイは大人気でした

当初、チカホでのイベントを計画した際に、「チカホは立ち止まらない」、「チカホは通路であり、集客は難しい」という懸念について指摘をいただいたが、結果として、2日間で延べ10,000人程度(推定値)の来場者を集めることができました。特に、本イベントのメインコーナーだった博士学生のポスター展示では、1,000票を超える投票があり、さらにポスターを作成した学生と対話した方や、ポスターをご覧いただいたの方の数を合わせると、投票数の3~4倍程度はご来場いただけたと考えられます。

このようなイベントは本学史上ほとんど実施例がありませんでしたが、多くの市民の方々に博士学生や大学の研究に興味を持っていただける、ということも実証できました。
参加した学生からも好評であり、「是非、次年度以降も継続して欲しい」という要望もあるため、今後も継続して実施していくことを考えています。

旭丘高校のポスター展示

結果として大盛況のうちに終えることができた本イベントですが、課題は多くあります。まず、急に決定したイベントであったため、協力できる人を集めて運営コアメンバーを組んだが、来年度も同じメンバーで実施できる保証はありません。また、実践して初めてわかる問題に対して、場当たり的に対応することが多かったため、新しいメンバーが加わったとしても、今年のノウハウを体系的に伝達できるほどの経験もナレッジも積めていません。
恐らく次年度も引き続き、本イベントを実施するとしても、実際にはほぼ新しいイベントを実施するような方法で実施せざるを得ないでしょう。この点は、非常に大きな問題としてすでに見えてきています。

集客や認知という観点では、来場者のうち、本学の学部生や修士課程の学生が少なかったことは、十分に広報できなかった反省点です。北大主催のイベントだからこそ、北大生に興味を持ってもらうべく、来年は学部生や修士課程の学生も参加できるようなコーナーを作るなど、学生間でも情報が広まるような仕組みを考えていきたいと思います。

上札内小学校との交流プロジェクト展示


本当にありがとうございました

本イベントは、北大が推し進める大学院改革の施策の1つとして、今までにない大学内の横の繋がりを生かして、市民の方々と交流することをメインに開催したイベントでしたが、当日を迎えるまで運営側の心情としては、不安そのものでした。しかしながら、多くの方々にご来場いただき、色々な視点で楽しんでいただけたことは、本当に恵まれていました。

また、開催にあたっては、教員、学生、職員、そして北大外から、多くの皆様に運営のご協力いただけたからこそ、充実した内容になったのは間違いありません。
さらに、報道機関の皆様、個人の皆様、学内各部局に置かれましても、広報協力いただいたメディアがたくさんあり、大変力になりました。
改めて、皆様に感謝を申し上げます。ありがとうございました!!

最後に、大学職員という素人集団が描いたイベントのイメージを、非常に短期間で、具体的かつ忠実に形にしていただき、さらに、チカホという特殊な会場で円滑に準備・運営していただいたイベント会社の方々には、深く、深くお礼申し上げます。


-サイエンス・フェスタ2022運営一同


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