見出し画像

【イベントレポート】「今まで北大総長にお会いすることなんてなかった」「アウトリーチはトップの仕事」北大が目指す開かれた大学が見えたトークセッション

 NoMaps2022メインカンファレンス期間の10/22(土)に、トークセッション「北大えぞ財団入団記念!北大のリソース、全部見せます!北海道大学が地域と繋がり、新たなチャレンジへ!」を開催しました。
 本学は今年7月にえぞ財団へ法人入団しました。このことを記念し、改めて両機関の連携活動を進めるうえで、本学のリソースと「北海道を良くするために、北海道大学が民間や行政と一緒にできることとは。」をテーマとしたトークセッションです。

■イベント概要

開催日時:10月22日(土)11:00~12:00
会場:NoMapsキタミライ祭ステージ(札幌市駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)北3条交差点広場) + オンライン配信
イベントページ:https://no-maps.jp/2022/program/22d1100/
アーカイブ配信:https://youtu.be/pAQmn2-6IBM

登壇者:北海道大学総長 寳金 清博
    えぞ財団代表発起人
     / サツドラホールディングス株式会社代表取締役社長兼CEO
                            富山 浩樹
    北海道大学大学院理学研究院教授 黒岩 麻里
    マドラー株式会社代表取締役 / えぞ財団団長 / NoMaps実行委員
                             成田 智哉

■セッション内容について

 セッション冒頭にモデレーターの成田氏から登壇者の紹介があり、富山氏の自己紹介では、当日着用していたサツドラパーカーが紹介され、和やかなムードでセッションが始まりました。続いて、えぞ財団の説明が行われました。

(左)富山氏がサツドラパーカーを紹介する様子、(右)えぞ財団の紹介

■大学はチャレンジするスタートアップ

 イントロダクションのあと、本学寳金総長から日本の大学業界の現状や北大の立ち位置、目指す未来やリソースについて、順に紹介されました。

 たくさんある北大の機能の中でも、本イベントでは、北大が実際に地域と一緒に取り組んでいる事例や、社会から求められる新しい人材育成システム、アントレプレナーシップ教育の仕組みなどが説明されました。

 そして、リソースとして博士課程学生の支援事業、産学官金連携によるスタートアップ創出事業をご紹介したところから、フリートークに移りました。

■旧帝大としての競争よりも、北海道大学≒グローバリゼーションに適した環境

寳金:NoMapsのどっかのセッションを英語にしてよと言ったんですけど、北大は18,000人の学生のうち2,000人が留学生で、外国籍の若い方があのキャンパスだけ2,000人もいるわけですから、私たちがそういう状況に対してコミットできるように考えた方がいいですよね。

富山:北大生が北海道で一番留学生が多くて、アルバイトとかでも受け入れ側に言語の問題があったりで困っているという話を聞いたことがあります。うち(サツドラホールディングス株式会社)が出資している会社にAWLというAIカメラの会社がありますが、そこは英語を公用語にしていて、13ヵ国くらいからの出身がバラバラなエンジニアが集まってます。英語を公用語にしただけで、本当にそういう人たちが北海道に集まってくる。北大でもそういう場がつくれるという。

成田:だから帝国大学の中での競争をやる必要はもうなくて、もしかしたら北海道だから海外の方々から注目されやすいというブランディングがあるならば、北海道大学≒グローバリゼーションに適した大学みたいなところで、北海道の企業もグローバルというキーワードで繋がりができるかもしれないですよね。

■北海道には、魅力があるのに仕事がない

富山:北大卒業生の7割くらいが道外に就職で出てしまうんですよね。

黒岩:日本人の北大生の特徴としては、北海道出身の学生さんが3割程度、それ以外が道外の出身なんです。人によっては地元の学生が少ないので寂しいという意見もありますが、それだけ道外の学生を惹きつける魅力が、北大や北海道にあるポテンシャルなんだという考え方もあると思います。

富山:それはアドバンテージですね。

黒岩:ただやっぱり道内の就職がないことで、結局関東圏に戻ってしまうところがあるので…

富山:北大卒の方と話すと、すごい愛着ですよね!やっぱりあのキャンパスとか学びの場だと思うんです。北海道出身じゃないけど、北大で過ごしたキャンパスを含めた思い出とかで北海道を好きになって欲しいですね。

成田:弊社には、それこそ東京にあるグローバル企業から内定をもらってるような学生たちが、東京ではなくてわざわざ厚真町のうちの会社に入ってくれてます。彼らは、北海道でそういう企業を探しても見つからないから東京に行くとなっちゃうんですけど、もしそういう企業がもっともっと(北大と)えぞ財団で繋がってご紹介できるようになれば、もしかしたら北海道で活躍できるように変えられるんじゃないかなと。

寳金:そういう意味でも、えぞ財団がその辺りのプラットフォームになったらいいなと。えぞ財団に来れば何か情報を得られると。そういう場所ですよね?

富山:そうですね(笑)。北海道を出て行った方々は、北海道が気になっているけど、どういう人がいて、何があるのかが見えなくなってしまい、自分には戻るつてがないと思っちゃいがちなのですが、実際にえぞ財団の工作員(道外の団員)の方々は、えぞ財団を知ったことをきっかけに連絡をもらうことが多いです。そして、北海道に接点を持ちたいということで団員になっていただいて、北海道で仕事が増えてきたりすることが起きてます。

成田:場所は問わなくなってきた時代でもあるので、考え方とかアイデア次第で新たなチャレンジができるとか、世界を変えられるんだということに目覚めた企業がどんどん増えていくところを(目指して)えぞ財団で繋いていくのですが、北海道大学の学生さんにとっても、「東京に行かなくてもいいんだ」という選択肢の一つになれればいいなと思います。

チ・カ・ホ北3条交差点広場会場の様子

■色んな意味で「Never Challenge Never University」

富山:ちょっと話は変わって、総長はスタートアップにもすごく力を入れられているとおっしゃってました。

寳金:大学にとってスタートアップって関係なかったと思うんです。そんなところまで見切れないという意味で。ただ、スタートアップ頑張れというけど、失敗したらごめんねで済まされないので、どうやって拾い上げたらいいのかと。今まであまりちゃんとやれてなかったと思うが、ここを育てるのは大学として必要なことで、すでに取り組みを始めています。大学ファンドも、これから公募し始めるところです。

成田:そういった動きを大学で旗振ってやられていて、それに反応する若者たちが少しずつ出てきて、企業も応援している。そんな文化をつくっていくと。

寳金:あと一つ、黒岩先生もいますが。これは学生だけにやらせるということじゃないと思う。黒岩先生の研究のような分野は難しいかもしれないけど。私が言いたいのは、Never Challenge Never Universityというのは全員ではないんだけど、まずは教授からやって欲しい。チャレンジとか、チャンスとか、種があったら。

成田:総長としては、教員の方も学生も事務の方も含めて、どんどんチャレンジして、どんどん外へ出て、どんどん地域と溶け込んで新しい何かをやってこい。というメッセージですね。

富山:今まで北大総長にお会いする機会というのはなくて、せっかく北海道に北大があるんですけど、企業のみなさんは、北大と何をやりたいと思ってもどこにアクセスしたらいいんだろうというところでした。それが寳金さんになって、急にオープンになってアバターもつくられて(笑)。

イベントカバーの寳金総長がアバター画像に

寳金:これも言ってるんですけど、今日私どもは遊びに来てなくて、ビジネスの場と捉えてます。大学のアウトリーチ活動はやっぱりトップの仕事なんです。なので、今日は呼んでもらえなかったら富山さんに「呼んでよ」と声をかけるつもりでした(笑)。

成田:北海道大学にはとてつもないリソースがあると思っていますし、それがもっと解放されていく、もっと地域に染み出していっていろんなことをやっていくというところで、寳金さんとしても意見はウェルカムだよと。えぞ財団を通じて、北海道大学さんにも連絡させてもらうことができるかもしれない。

寳金:それはぜひ。やっぱり大学は発信力を高めなきゃいけないけど、聞く力が大事。誰かみたいですけど(笑)。双方向的に、みなさんが、社会が何を考えているのかを大学が受け入れるルートがあまりない感じ。なのでこういう場がすごく大事。

■自分が思うほど、なかなかみんなが変わるわけではない

富山:総長になられてから2年くらい経って、今までの北大から変わらなければというところで、大学内での戸惑いや、なかなか上手くいかないなということなど、課題はありますか?

寳金:(北大の構成員が)約20,000人いますから。やっぱり自分が思うほど、なかなかみんなが変わるわけではない。こういうことを内部に露出することも大事で、(視聴してくれてる方々に)北大の人もいると思うんですけど、それが重要かなと思ってます。

成田:そんな一瞬で変わるわけではないと思いますけども、確実に何かのインパクトはあるんじゃないですか?

寳金:北大や北海道に対してある種特別な想いを持っていらっしゃる方もいるんだろうと思っていて、そういう思いを持っている人たちはすごく大事なリソースなので、生かしていきたいなと思います。

富山:(スライドで紹介された)さきほどの自治体さんとの連携もそういったところですか?

寳金:ああいう方々から見ると、「札幌のことしかやってないじゃん」という意見もあります。確かに、キャンパスも札幌と函館にしかなくて、実は色々なところに研究林もありますが、あまり知られてないので、やっぱり色々な地域と本当にもっとたくさんのことをやりたいですよね。

■クロージング

成田:そろそろお時間になってきました。

富山:ちょっと一個お願いがあったんですけど、総長にも来ていただいたシェアオフィス「EZOHUB SAPPORO」が(サツドラ)札幌本社内にありますが、これを今度東京に出そうと思ってます。そこは自治体さんとか北海道企業と一緒に拠点をつくって、札幌とか北海道のスタートアップを生み出すのもそうなのですが、東京のスタートアップさんで実証実験の場がないとか、北海道とのネットワークを持ちたい企業さんを北海道に引っ張ってくるための拠点にしたいなと思ってます。そこにぜひ北海道大学さんにも入っていただきたいなと。

寳金:それはすごく大事。もちろん地域でやるのも大事なんだけど、やっぱり東京も東京で大事にして、強いコミュニケーションを取った方がいいと思う。このえぞ財団は北海道のハブなんだけども、その中にいろんなチャンネルを作っていくという。

成田:最後に、「こういうことをやっていきましょう!」ということで順番に締めていきましょう。では黒岩さんからお願いします。

黒岩:私もちょっと宣伝させていただいて(笑)。先ほど北大が大企業だという話がありましたが、学生と職員を合わせて23,000人くらいいるんです。これだけ大きな組織のトップなわけで、並大抵のことではないのですが、私はそれを広報の視点からサポートしたいなと思っていて、総長コラムということをしています。日々の想いとか、出来事なんかを本当に読みやすく面白く発信していますので、みなさんぜひご覧ください。「北大 総長 コラム」で検索すればすぐ出てきます。

富山:えぞ財団でもnoteをやっているので、ちょっと取材させていただいてそこにリンクを貼らせていただきます!

成田:ありがとうございます。ではつづきまして、富山さんお願いします。

富山:さきほどちょっとお話しの中でもさせていただきましたが、えぞ財団で色々なネットワーク作りをしているので、そこに北大さんがいるというのは心強いです。もう本当にいちいち巻き込んでいきたいなと思います。

成田:はい、ありがとうございます。では最後に、寳金総長お願いします。

寳金:やっぱり「Never Challenge Never University」。やらせてるだけじゃなくて、僕自身も大学をある種スタートアップさせる、そういう姿勢が学生さんや教職員(に響くと思う)。それから、ぜひ富山さん成田さんを始め、えぞ財団と繋がってもらって、スタートアップや新しい取り組みを始めるときにはえぞ財団に相談するということも選択していきたい。ぜひ、よろしくお願いします!

成田:ありがとうございます。以上でこのセッションを終わらせていただきます。

■本イベントに関する北海道大学の問い合わせ先
北海道大学学務部学務企画課
大学院教育改革推進室
〒060-0012 札幌市北区北12条西7丁目
E-Mail:daigakuin@academic.hokudai.ac.jp


いいなと思ったら応援しよう!