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北大にラボができました。その名は「おもしろ!北大Lab.」

大学院に進むと研究室の人としか交流しなくなる。大学院に存在するこんな悩み、みなさんはご存じですか?
研究を深めるにも、キャリアを考えるにも、広い視野を持っていたり、たくさんの相談相手がいた方が良いのに、なかなか機会を作れない。

こんな台詞から始まるネットラジオ番組があります。
大学といえば、多くの人にとっては授業や部活・サークルにアルバイトなど、幅広い人間関係が生まれる場所という印象があるかと思います。人によっては人生で最も交友関係が増えたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ところが同じ大学の中でも、どうやら”大学院生”には気軽に話せる学生仲間はいないようです。なぜなのでしょう?そしてこちらの番組は、どんな関係があるのでしょうか。今回の記事では制作担当者の私、内藤がご紹介します。

大学院は話し相手がいない?

世の中にはあまり知られていないかもしれませんが、同じ大学生でも学部生と大学院生はかなり学生生活が異なります。その大きな2つの理由をご紹介します。

1つ目は卒業・修了するために必要な行為が変わっていくことです。多くの方がご存知の通り学部を卒業するためには、決められた単位数を満たすために自身で選択した授業を受けていくことになります。どんな大学や学部に所属していても、必修科目を除けば自分の好きな時間割を作って、授業以外のプログラムや課外活動、アルバイトなど、どの活動にどれくらいの時間を割くのかは自分自身で自由に決められるのが特徴です。
一方で大学院では、自身の研究テーマの成果として学術論文を発表し、学位審査に合格する必要があります。逆に取得単位数はかなり少なくなり、博士課程では授業を受ける必要のない学生も出てきます。学術論文は、まだ世の中で発見されていないことや解明されていないこと、生み出されていないことをまとめる文書なので、執筆するためには相当数の時間と体力を費やします。この論文を目指し、大学院生は主に所属する研究室の指導教員の下で多くの時間を過ごすことになるのです。

2つ目は進学とともに友人・知人が離れていくことです。学部時代は様々な場面でネットワークが広がりますが、ほとんどの学生は卒業後に就職するため、就職先企業のある地域へ移ることになります。そのため大学院へ進学すると、修士課程で多くの友人が就職して北大を離れ、さらに博士課程へ進むと友達だった人はほぼ社会に出ていなくなります。そして研究室で過ごす時間が増えるため、外に出て知り合いが増える機会そのものが無くなってしまうのです。

(学部生と院生の一日を比較すると、実はかなり異なります)

だから「おもしろ!北大Lab.」

さて、前述したように大学院生が抱える問題として「研究室以外の友人・知人がいなくなってしまう」が存在しますが、その問題とネットラジオ番組「おもしろ!北大Lab.」はどのような関係があるのでしょうか。

番組を制作するのは学務部学務企画課大学院教育改革推進室です。2022年4月に設立された大学院教育推進機構を所掌する事務部で、「未来社会の開拓者」養成をキーワードに大学院改革事業推進を目指して様々な取り組みを行なっています。
本番組も事業の中の施策の1つとして実施していますが、その狙いは「総合知」を生み出すためのきっかけの中で、最も手軽に異分野人材と出会う機会の創出です。

政策などを背景に「総合知」や「越境学習」という言葉を介して、産業界やアカデミアでは異分野異文化との往来や融合が叫ばれています。しかしながら多くの時間を研究に費やす必要のある博士学生にとっては、自分自身で交流する場に赴いたり、場作りをすることは現実的に難しいという問題があります。そのため、ラジオをとおして”手軽に”、北大内で様々な研究をしている大学院生を知ることができたり、もし会ったときの話題となるツールとして使えるコンテンツにしています。

出展) 科学技術政策担当大臣等政務三役と総合科学技術・イノベーション会議有識者議員との会合(令和3年度)議事次第 令和3年9月30日

番組作りも大学院生と

さて、私が番組のプロデュース兼出演を担っていますが、番組の顔でもあるロゴの制作と、番組立ち上げからパーソナリティとして協力してくれているのは、本学の非公認サークル「+Dtips」と代表の大学院情報科学院修士課程学生の阿部拓真さんです。

(デザインサークル「+Dtips」のWebサイト)

+Dtipsのみなさんは、実は番組が始まる前からロゴの制作に協力してくれていました。昨年12月に突然連絡をしたところからコミュニケーションを取るようになり、サークルメンバー数人のアイデアを並べての議論を繰り返し、数ヶ月かけて素敵な番組ロゴを完成してくれたのです。
さらに阿部さんは、毎回出演するパーソナリティの1人としても、豊富な知識を活かして番組をともにより良いものにするために協力してくれています。
ゲストが修士課程学生の場合には、阿部さんとどんな授業を履修しているかという話題になることもあるとかないとか。

(「おもしろ!北大Lab.」初回の放送での掛け合い)

収録現場を覗き見

この日は大学院環境科学院修士学生の飯尾千賀子さんの収録日でした。この番組の収録は中央キャンパス総合研究棟で行われています。
実は画面に映らない裏側では、出演者にはカメラが3台向けられており、ガッチリと機材が組まれています。その光景にゲスト大学院生はみな驚きますが、収録が始まると緊張はほぐれて何度も会ったことのあるようなスムーズな会話になります。

(カメラと機材がびっしりなスタジオです)

毎回時間が足りなくなるくらい多くの話題が尽きません。研究の話から普段の生活の話、研究以外で熱中していることや将来のことなど、人によって多種多様な話が展開されるのはまさにダイバーシティとも言えるでしょうか。そして写真には出てきていませんが、もう一人の仕掛け人兼ディレクターによって、収録されたトークが編集を経てサムネイルが追加され、Youtube動画へと進化します。

(飯尾さんの放送のYoutubeサムネイル[2023.10配信])

熱中する人は素敵な人が多い

番組の収録の度に、本学の大学院生の新たな一面を知ることができます。研究に限ったことではありませんが、やはり熱中するものを持っている人たちは目が輝いており、自分の言葉で喋れることが豊富です。世間が持つ大学院生のイメージも様々なので”大学院生”と一括りにすることが難しいですが、こういった取り組みを継続することで北海道大学大学院には魅力的な人物が多く存在するという発信にもなるのではないでしょうか。

冒頭のとおり、大学院生には研究室以外の繋がりをつくれないという問題が存在しますが、決してコミュニケーション能力が低かったり、とっつきにくいわけではありません。普段はそれぞれの研究で忙しく、大学の中にいてもなかなか会う機会はありませんが、もしお話する機会があったら、ぜひ研究の話や夢中になっていることを尋ねてみてください。きっと興味深い答えがどんどん出てくるでしょう。

(それぞれの特徴的なトークを抽出したキャラクター性のあるサムネイル)


おもしろ!北大Lab.
毎月第2、第4水曜日の正午に配信


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